1991年12月1日発売
「はじめてお手紙さしあげます。個人的なことで、お話ししたいことがございます。広場にレストランがございます。わたくしの名前や顔はおわかりにならないでしょうから、テーブルに、黄色いくじらをのせておきます。毎週土曜日の午後六時ごろ、そのレストランでお待ちしております」亡父に宛てた差出人不明の手紙が始まりだった。廃材から生命を創りだす二人の男の、魂の再生を描く長篇力作。
凄惨な殺戮を繰り返し、全米を震撼させた男、マックス・ソルターが刑務所から脱走し、血に飢えた牙を剥き出した。各地では、生け贄となった市民のボロ布の様な死体が発見されている。犠牲者の中に、ブルー・ヤザキの息子もいた。復讐に燃える、〈賞金稼ぎ〉ブルーは「組織」の高級娼婦をしているマックスの恋人を誘拐することに成功。しかし、「組織」の容赦ない報復と、マックスの不気味な影が執拗に襲いかかる…。SEX、ドラッグ、バイオレンスの過巻くアメリカで、熾烈な殺人ゲームが始まった。
山頂から滑走してきたソリの上に、人間の首が!開校初日のスノーバード・スキー・スクールは大混乱に陥った。が、それは精巧にできたロウ人形だった…。悪質なイタズラに胸騒ぎを覚えた副校長・平田均の予感は的中する。突然の吹雪、インストラクター・秋山の発狂、首と胴が離れた幽霊の出現…。〈このスクールは呪われている〉不気味な噂が囁かれた時、首を切断された生徒の死体が発見された。雪に閉じ込められた山荘を恐怖が覆い、やがて第2、第3の殺人が…。気鋭が仕掛けた大型トリックの妙。
酒に酔って妻に暴力をふるう夫を、同居の義父が殺害した。目にあまる娘婿の横暴を止めようとして、逆に襲いかかられた末の悲劇であった。過剰防衛か殺人かを争う法廷に立つ証人たちの口から、次々と意外な事実が明かされ、裁判官同士の判断にも微妙なズレが生じ始める…(「許された殺意」)。ほか。
極秘計画の推進本部長・矢住が殺害され、その立案書が略奪された。会社首脳部は情報室長の刀根明にプランの奪回を命じた。好色漢だった矢住の身辺から調査を始めた刀根は、まず矢住の秘書を己の肉体の虜にし、愛人、部下、そして矢住の妻たちを大胆に、奔放に、性の快楽に溺れさせながら事件の真相を追及してゆく…。長篇官能サスペンス。
八面六臂、神出鬼没、当意即妙-小麦色の肌、スラリとした長身、大きなバストを誇る野性的美人、姉小路久美子。彼女の職業は結婚詐欺師!弁護士に化けて証券マンからまんまと大金を頂戴した久美子の次の目標は、コンピューター会社のSE。ところがオペレーターになりすました彼女は、相棒の葛西修が指名した本命原田ではなく、新人のSE関畑に一目惚れ。修の忠告にも耳をかさず、“御曹司”関畑青年を相手に、お屋敷を1軒借りて3千万円奪取の秘策を練るが…。「小説すばる新人賞」受賞の気鋭の女流が書き下ろした、波乱万丈、奇想天外なサスペンス・ミステリー!
片山と妹の晴美、石津と三毛猫ホームズは、久々に自宅で夕食をとっていた。そこへTV局に勤める片山の友人が訪れて、出演を要請。ポルターガイストの起こる屋敷で“有名タレントと1晩を過ごす”という企画に、公平な第三者として参加してほしいというのだ。もちろん晴美とホームズは大乗り気。片山は事件の予感に怯えたが、案の定…。代表的シリーズ16弾。
密出国を謀った二人のソビエト領事館員が、海上保安庁に逮捕された。だが、何者かの圧力によって二人は釈放され、釈放に反対した警備救難監・後世が死体で発見された。次々と保安官が殺される。犯人の目的は何か?海上保安庁最大の危機。元海保・特別警備監の関守充介は、海保を守るため特命追跡監として、敢然と立ち上がった。最高潮“渚シリーズ”第四弾。
世界初の女性警視総監誕生、美貌の弁護士・鳳美雪は、新首相の強い要請でいきなりトップに。だからといって、椅子に座ってられる性分じゃない。政界、証券界、ギャルに人気のスモウ界をまきこんでの殺人事件が発生。男装したり、女の魅力をふりまいたりで、現場捜査にのりだした。-人気大爆発、まだまだ続く「孔雀警視シリーズ」の姉妹シリーズ、開始第1弾。
推理トリック研究家の久我京介のところへ、女子高生から手紙がとどいた。「父が青酸カリで毒死、警察は自殺と断定しました。でも、わたしには信じられません…」完全な密室、しかもトリックは、久我の本に書かれたとおりだった。-密室、ダイイング・メッセージ、アリバイ。推理小説の3種の神器を駆使した功妙なトリックの数々を、久我が飄々と解明する。
事件はクリスマスに起きた。父母のいない淋しい聖夜を過ごすひろむは、サンタクロースと街で出会った。が、その正体は、看守を撲殺して脱獄をした岩野昌造だったのだ。人質にとらわれた無垢な幼児と、サンタに扮した殺人鬼。緊迫の逃走の結末は?(表題作)-。逝去した後も、根強い人気を博す著者の〈最後の事件簿〉。卓抜な心理を功緻に描いた美しい結晶の数々。
プレイボーイ、コランタンと気のいい愛妻家の相棒ブリショーのコンビが見事に解決してゆく兇悪事件の数々は、実はフランスで実際に起こった犯罪に材をとり、その生々しさは比類がない。夜のパリにうごめく性倒錯者の群れ、欲望に翻弄される歪んだ人間模様、悲鳴、そして血。残虐な犯人と魅力的な主人公の対決、彼を支える風俗取締部特捜課の面々、さらに全編をいろどるセクシーな女性たち。本書は都市の生理をあばきながら巧みなストーリー展開をみせる。