1991年5月発売
本選集は日本推理作家協会が、1990年に雑誌等に発表された夥しい短篇推理小説から、すぐれた19篇の傑作を選出して、推理小説界とSF界の1990年の展望と共に収録した代表作アンソロジー「決定版推理小説年鑑」です。
極秘開発中だった特殊戦闘ヘリコプターが奪取され、その行方を追う巨大な機関と、それを妨害する謎の組織。この二大組織の陰謀で父母を惨殺された美少女・美里は、仇と狙う両方の頭目を追って、壮絶な闘いの渦へー。一方、彼女を守って、大市街戦の只中へ躍り出たのは、かの伝説の英雄・矢沢高雄。
大手スーパー「ドライブ」が狙う、次の標的は中堅の「白梅」。社長の二本柳太郎は、ニヒルな男・平尾剛に密命を下した。手段を選ばず、どんなことをしてでも乗っ取れ!スーパーマーケット戦争が始まった。生きるか喰われるか、攻めるものと守るものの虚々実々の駈け引き、激烈な舞台裏を描いた経済小説。
猿沢秀彦、古丹神人、比嘉隆晶、遠田宗春のジャズ・カルテットが、ハリウッド・ジャズ・フェスティバルに招かれた。が、宿泊先のモーテルで米人女性が殺され、猿沢が逮捕される。被害者の夫には恐るべき過去が。4人の超能力者は復讐鬼との死闘に臨む。『般若』の能力を生まれ持つ猿沢の思念が冴える。
恋人を京都駅に見送りに来ていて知り合ったOLふたり。麻子は結婚を切望してその資金作りに躍起。そしてまゆみは不倫の恋の相手と別れ話の最中にある。お互い順調に進まぬ恋に悩みながら株に走るが、やがて奇怪な殺人事件が相次ぎ、ふたりは疑惑の渦中に…。株ブームと推理を融合させた好長編。
「あなたが父を殺した。なぜ、なぜ行かせたんです?教えてください」少年の声は歓呼にかき消されていた。人人は立ち上がって、喝采を送りつづけている。だが、少年は2度と昔の彼に戻ることはないのだ。-湾岸戦争の「大勝利」に酔う先進諸国の読者に贈る、汚い台所を描いた傑作戦争小説。
神はいかなる過ちを罰するために中東の地に資源を、そしてその地の人民に悲惨な運命を与え給うたのか。エリトリアで起きた戦争は内乱寸前のソ連、経済破綻に喘ぐ米国、石油ショックの日本にリンケージして、世界大戦へと突き進んでいく…。大佐フォーガティは無言で死地に向かって旅立っていった。
孤独の彼方の一筋の光のごとき夢…。都会の片隅、一人の若い女性の心の中にひっそりと咲く夢を描き、ひとのかたちとひとの棲む此の世のかたちを清澄な筆致で確実に捉える純文学連作長編小説。
一枚の絵のために祖国ロシアを追放された画家バラノフ。ヒトラーのドイツからも追われアメリカに渡るが…亡命生活を送る画家の悲哀を描く「緑色の裸婦」他六編。第二次大戦から冷戦へ。時代を読みながら、芸術家、中年夫婦、若者たちのすがたをドラマチックな構成力としゃれた語り口で活写するショーの傑作短編集。
空前のヒット商品となったディス・コン・ゲーム「ライフキング」。ある日、そのソフトをめぐる奇怪な噂が子供たちのネットワークを駆け抜けた。「『ライフキング』には呪われた第5のバージョンがある」。学校で、塾で、そして電話回線の中で噂は増幅し、変貌し、ついに臨界点がやって来たー。世界を破滅から救うため戦闘を開始した子供たち。今、彼らはゲームを越えた。
若い愛人が電気屋につくった借金を返すため、心ならずも再びジャガーを狩る羽目になった中年インディオは、謎の美女に導かれて異界へと足を踏み入れる…。現代の南米を魔術的リアリズムで描く表題作のほか、全長200メートルの巨大な竜をめぐる途方もないファンタジー「竜のグリオールに絵を描いた男」など、全米SF界を瞠目させた驚嘆すべき珠玉作全8編。世界幻想文学大賞受賞。
KGB大佐ササノフの亡命を成功させ、彼と結婚したダビナ。が、2人の居所を突き止めたKGBによってササノフは爆殺される。傷心のダビナはSISに戻り、報復を決意。折も折、アメリカ政府高官の妻が、ワシントンのイギリス大使館に駆け込み、夫はKGBのスパイだと訴えるという事件が起こる。彼女の学友だったダビナは相棒のロマックスとワシントンへ飛んだ。シリーズ第2作。
いつもと変わりなく月曜日がやって来る。10時間つづけて眠り、ようやくきみは目を覚ます。日曜日のことは誰も知らない…。ニューヨークの一流出版社調査課に勤めながら、毎夜ナイトクラブに通い、コカインに溺れる「きみ」。きらびやかな大都会に生きる若者の姿を静かな声で語って絶大な反響を呼んだ、「心に真っ直ぐ突き刺さってくる小説」。80年代アメリカ青春小説の金字塔。
木曽川・長良川・揖斐川の合流する伊勢湾河口地帯に、無数に浮かぶ輪中(わじゅう)=水の砦-。阿弥陀仏を信じ、自由を求めるその土地の民百姓を、天下布武のため根絶やしにしようと押し寄せる信長軍-。門徒勢の若き鉄砲組頭を主人公に、5年にわたって信長を押し返し苦しめた長島一揆の壮絶果敢な戦いを、初めて正面から活写した力作長篇。