1991年5月発売
竜崎三四郎の率いる竜崎軍団といえば警察庁特捜部でも最強チーム。その名を聞いただけで悪党どもは震えだすほど。そうとも知らずに盾ついた悪辣財閥、たちまち猛反撃を食らってしまった。それにもこりずアメリカのシンジケートに泣きついて青い目の助っ人を依頼。奴らは射撃のプロで人殺しなど平気の平左。さすがの竜崎軍団もピンチを迎える…。
ソ連大統領を乗せた特別機が北極上空で謎の爆発。米海軍原潜〈ディファイアンス〉は、急拠墜落現場への出動を命じられる。一方、ソ連軍強硬派の中心人物ミハイル・ハリコフ海軍元帥は、大統領機の墜落は米国の謀略によると主張。ブラック・ボックスを回収し、米国に核の報復をすべく、最新鋭原潜〈ネヴァ〉で北極に向かう。厳寒の海を舞台に、米ソ両超大国のパワー・ゲームが展開される。
ロラン・バルトのお教えを受け、しかし師に先んじてポストモダニズムの金字塔『文化行為としての性交(フォルニカシオン)』を世に問い、そしてパリの知的シーンから忽然と姿をくらました謎の思想家アンリ・マンソンジュ。不在のリーダー、我らがひれふすべきその足下を求めて、ブラドベリ教授の困難な、だが輝やける探査行が始まる。たのしい思想小説。
ひょんなことからAVの脚本を書くことになった売れないマンガ家大日向陽。AV界の大御所文字監督に無理やりいわれ、陽は脚本どころか出演まで引き受けるはめになった。カラミの相手は陽にぞっこんの美少女クララ。ロケのためひなびた温泉宿にやってきた一行は、さっそくベッドシーンから撮影を開始したのだが、そんなかれらの目の前で怪異な現象が…。知らずに化物屋敷に足を踏み入れてしまった陽とクララたちを襲う亡霊の正体は。書き下ろし長篇サスペンス。
ミステリー小説翻訳家の黒部滋人は、旧友ヨナスらとキャビン・クルーザーに乗り込み、ノルウェーの港町ベルゲンからフィヨルドの景観を楽しむ船旅に出た。だが、ソ連国境近くのバレンツ海にさしかかった時、突然、前方にソ連の巨大原子力潜水艦が浮上。その瞬間から黒部は熾烈な国際謀略戦の渦中の人となった。長篇スパイアクション。
ヨーロッパを舞台にした小説から、寓意小説、抗日戦争時の小説まで。他の近代中国の作家と作風を異にする巴金の純粋なヒューマニズムに裏付けられた作品を収録する。近代中国文学の再発見をうながす恰好の短篇集。
「性」以前の澄明な精神を求めて、自らを〈僕〉と称する女子高生徒。17歳のうつろいやすい魂とジェンダーのうっとうしさを描いて、時代の皮膚を垂直に刺す第9回「海燕」新人文学賞受賞作。
一通の手紙からはじまった奇妙な旅。旅先で出会うのは愛すべきおかしな連中ばかり。アーヴィング、ヴォネガットに続く異才が放つ、パワフルでユーモラスなロード・ノヴェルの傑作。
南アフリカ北西部のとある閑静な漁村。この平和な土地にある犯罪者を追って圧政者イネス署長が乗りこんできたことから、物語は意外な展開を遂げていく。-漂流者や流れ者などさまざまな人々のるつぼのような架空の村を舞台に繰り広げられる、魔術的リアリズムに満ちた異色小説。
ヒーローでもヒロインでもないし、腹心の友でも悪漢でもないが、オペラで大団円をもたらすのに必要不可欠な役柄は「五番目の男」と呼ばれていた。カナダの小さな村で生まれたダンスタン・ラムゼイは、悪友がいたずらで投げた雪つぶてがもとで、人生の歯車が大きく狂っていく。第一次大戦への参加、聖人研究の旅、奇妙な魔術団との出会い、さまざまな女性遍歴。奇々怪々なこの一篇の物語の中で、「五番目の男」の役割を果すのは一体誰なのか?カナダ文学界の大御所ロバート・デイヴィスの代表作、本邦初紹介。
愛する高校生の息子をめぐって、妬み、悲しみながらも、惜しみなく女体を開く二人の母。義母・季里子…三十二歳、実母・彩子…三十七歳。円熟した女の色香が漂う二人には、息子に抱かれる背徳の意識は消えていた。あるのは、女の業、確執、愉悦を貪う魔性…。そして、悲劇はすぐそこまで迫っていた。