1991年6月発売
ベテランの須貝と新人類の山中の凸凹コンビ刑事が勤務する東京・調布中央署管内で、美人タレントが殺された。眉間を拳銃で撃ちぬかれた死体と、壊された水槽に飼われていた熱帯魚の一尾にペーパーナイフが突き立てられていたのは異様な光景だった。間もなく、使用拳銃が千葉県下の警察で盗まれたものであることが判明した。両刑事の地道な捜査の結果、数カ月後に千葉県で開催される海洋博に絡む種々の思惑が見えてきた。そのイベントの目玉は、大水槽に活きた鮫を放つことだった。その後、イベントのキャンペーン・ガールも殺され、広告業界を背景とする事件はますます複雑な様相を呈した…。
一ノ瀬大地は同族を求め寒村に分け入った。その帰り道、首なし殺人事件に巻きこまれてしまう。被害者はこの地方に建立された巨大仏像の関係者らしい。警察の調べにも一ノ瀬の口は重い。実は彼も同族も超能力を持つ鬼の末裔だったからだ。巨大仏像は各地に続々建てられるが、そこには恐るべき陰謀を秘めていた。鬼一族は総力を結集し立向うが…。
世界大戦のあと、文明は失われ、地表にはどこからか現われたモンスターがうろついていた。ボクの夢は戦車を駆って最強のモンスターハンターになること!!伝説の赤い戦車ーレッドウルフの姿を胸にだきながら、ボクは冒険の旅に出る。進路は南、出力120%で全速前進!
ソ連の宇宙戦略に不可欠の存在で、世界的に有名なロシア人科学者シャライェズ。妻の不貞が原因で窮地に陥った彼は、西側への亡命を考え始める。折りしも恋仲になった美しいイギリス娘ルシンダとの暮らしを夢見たせいもあった。しかも、幸運なことに彼はスウェーデンの学会に招聘される。が、すべては英国の謀略だった。KGBに監視された彼を亡命させるべく、特殊部隊SASに密命が下った!
英国、スウェーデン、アメリカ、ソ連など、各国の思惑が複雑にからみ合う中、シャライェズ亡命工作は崩壊の危機に瀕していた。ついに英国情報部は最後の賭けに出る。その結果、SASはスウェーデンとノルウェーの国境の峨々たる山岳地帯に派遣された。待ち受けるのはソ連特殊部隊スペツナズの精鋭。猛吹雪の中でプロ同士の死闘が開始された!英国で人気沸騰の俊英が放つ冒険アクション。
聖なる大河を中心に、きらめく水晶山脈に囲まれた七王国のひとつ、デラン。クリスはデラン王バジの勇姿に憧れる、平凡な少年だった。だが、風変わりな男ダダに知らされた出生の謎が、彼の運命を変えた。水晶山脈が岩山にしか見えない目を治すには、魔界のミディネ神殿に行って女司祭に頼むしかない。ダダに教えられ、クリスは神殿への旅に出た。酔いどれの天才剣士を仲間にし、三つ目の鬼と闘い、たどりついた神殿には異変が待ち受けていた。新鋭・荒井潤が挑む、新たなファンタジー・ワールド。
十歳の少女だった〈私〉がみつめた高校生シェリルとリックのひたむきな恋。あれから数十年、自らの結婚に苦い思いをかみしめる〈私〉がいまいちど、あの愛を甦らせる。60年代初めのニューヨーク郊外の街を背景に、うつろいゆく愛のきらめきを結晶させた現代小説の秀作。
1812年10月25日、ディケーター艦長の指揮する合衆国フリゲート艦ユナイテッド・ステーツ号はイギリスのフリゲート艦マシドニアン号を激戦の末、捕獲した。その功績でファビアン・マーカム1席将校はブリッグ艦の将校艦長に昇進する。イクスペリメント号艦長ファビアンにあたえられた命令は大西洋岸をセント・ローレンス湾まで巡航し、敵の私掠船を捕獲あるいは破壊してアメリカ商船を保護せよというものであった。その作戦に従事していたある日、イクスペリメント号はバナナの皮などのごみが数海里の幅に広がって流れていくのにぶつかった。大船団がとおった跡だ。ファビアンは追跡を決意する。
アメリカの伝奇作家ナサニエル・ホーソーンには、ある作品の中でも書いている呪われたいくつかの現実があった。私(奈良井啓悟)は自分のルーツさがしの中で、それらを知っていくや、驚愕した。緻密に描かれたミステリーのパズル。全篇にちりばめられた〈37の謎〉はあなたの知識への挑戦状。
性のモラルを重層的に展開する表題作「藻を刈る男」をはじめとする「詩的恋愛」「上海から来た愛人」で、旧い伝統的モラルを批判し、また「春蚕」「質屋」で、世界恐慌と外国列強の中国侵略を背景に中国農村の疲弊を描き、力強い社会批判を試みる茅盾のリアリズム作家の本領を伝える待望の短篇集。
ダンディズムと軽さのエレガンスを基調とする渋沢文学の出発を告知する表題作ほか、才能の萌芽が燦たる処女作「撲滅の賦」、功緻で〓@56F5洒な小品「錬金術的コント」の三篇を収録する。著者自らが、死の直前に発掘を予言していた最初期作品集。
最愛の子を失い、夫の浮気も発覚して意気消沈するドロシー。そんな折りも折り、海洋調査研究所から逃げ出した謎の怪物「アクエリアス」が彼女の前に現われる。身長2メートルはあろうかという、海陸両棲の蛙男。ドロシーはその怪物を海に帰してやろうとするが…。哀しみの果ての優しさを描いた表題作ほか、倦怠期にさしかかった中年夫婦と新婚カップルの奇妙なやりとり(「聖ジョージとナイトクラブ」)、公園のベンチで終日夢想に耽る男の話(「置き去りにされた男」)の2篇収録。
1926年5月のある嵐の日、ドイツの小さな地方都市ピューリッツ(現在はポーランド領)で女の子が生まれる。父親のいない私生児。ポーランド人の祖母はマレンカ(雷)と呼び、ドイツ人の母はマルゴットと呼ぶ。1939年に勃発した第二次大戦終戦の混乱の中で、彼女は死んだ親友になりかわり、偽りの人生を歩むことになるが。-戦争によって国家も、家族も、自我さえも引き裂かれたドイツの悲劇を躍動感溢れる文章で描く、ベストセラー作家の代表長篇。
口からでまかせ、ウソ八百の父親と、そんな父親を軽べつし、他人を信用せず平気でウソをつく息子。史上最悪な親子がきずなを取り戻せる日は来るのか?東芝日曜劇場小説化。