1991年9月発売
邪魔者は配下の「社員」を使って消す…海千山千の実業家・黒河は、例えば、保育園園長から高級外車を購入した際、その妻の美貌に狂い、自分の愛人を夫と関係させて、交換に女を手に入れ、とどのつまりは夫を殺害。一事が万事、相手の命と引き換え。不倫がばれれば夫を殺し、事業の競争者は次々に抹殺。だが「逆らうと殺される」との噂も立ち、破滅の日は意外に早く…。衝撃の異色犯罪ノベル。
南青山のなみだ坂を上ったところにある“ピエロ”は、メンバーが警察勤務のジャズバンド“泣き虫ピエロ”の溜り場。今日は、バンマスの小宮の三回忌。殉職した小宮警部補をスタンダードで偲ぼうというのだ。演奏でメンバーの気持ちがもり上ったその折、一人の危ない香りの女が店に顔を出した。ドラマーの白バイ乗り正木健が、その晩、女を泊めてしまったのが事件の始りだった…。書下し長篇ミステリー。
幕府小姓組番頭を失脚し、絵師となった朝霞桔梗之介は、絵修業のため奥の細道を旅していた。だが道程は、景観を画布におさめるどころではなく、群れるように現れる悪党を斬り、色香漂う女とたわむれる有様であった。一寸先も見えぬ旅空の下、桔梗之介が触れた人間の業と存在無用の武士。抜き討つ刀が悪を両断し、また新たな辻へと立ち入る…。
夢の酒を造るため、集まった江崎恭平、棚橋藤子ら十四人。いよいよ最初の吟醸酒ができあがった。ところが、その酒「修羅の露」に絡んで、密室状況で二人が殺された。さらに銘酒コンテストの会場でも、衆人環視の中、大胆な殺人が…。マスコミによってスキャンダルが仕立てあげられる中、江崎たちは真相を探る。しかし、容疑者は二転、三転。その間にも、さらに殺人が…真犯人の目的はどこに?日本酒をこよなく愛している著者が、深い造詣を傾けながら情趣豊かに描いた、まさに香り高く味わい深い本格ミステリー、渾身の書下ろしで登場!
西村香織。丸の内にある鉄鋼会社に勤める普通のOL。が、給料は同僚の女性たちよりもかなりいい。彼女の語学力が買われ、外国からのお客さんの接待係も任されているからだ。いつもは観劇などへの同行であったが、そのアメリカ人の場合は違った。米軍基地に連れていられた彼女は、銃を撃つように言われた。しかも全裸で…。
「満たされないわ。満たされないわ」すべてに恵まれていて、思う存分自由奔放に生きている孔雀警視が、突如、結婚願望におそわれた。すかさずつけ入ったのは、何やらいわくありげな精神科医。三人の妻が死ぬたびに、多額の保険金を受け取っていた男、しっかりしろ笙子。虎田警視監の命を受け、笙子の恋人ヒロシは初秋の北海道へ飛ぶ。超人気シリーズ第21弾。
浜名湖に近い別荘で、所有者の江沢清彦が何者かに全裸で殺害された。一緒にいた女性は忽然と行方を絶ち、さらに近くのモーテルからも男の死体が…。ひと晩に、眼と鼻の先で起きた二つの殺人事件。果たして、同一犯人による仕業か。カウンセラー、特別秘密捜査官と、二つの顔をもつ赤垣美晴が、男女の性の葛藤を捌く、大好評“赤い闇の未亡人”シリーズ。
「いい加減にしなさいよ。いったい自分を何様だと思っているの。離婚しましょ!」翔子の搭乗便で、成田離婚ならぬ、機内離婚騒ぎが持ち上がった。とばっちりを受けた翔子は、新妻からは相談され、夫からは逆恨み…。ところが、成田到着の数日後、二人が相次いで死体となって発見され、翔子にも容疑が。今度はオーストラリアで大活劇。好評シリーズ第二弾。
銀座で般若の面を付けた男の絞殺死体が発見された。被害者は能登の町役場の嘱託で、町おこしのために「鬼の棲む里」キャンペーンを促進していた民俗研究家。ちょうど、その町に取材に出かけていた旅行ライター・江本は、町の観光化をめぐる、町長派と反対派の暗闘をかいま見る。「鬼女伝説」に隠された秘密とは?書下ろしミステリー力作。
「信長には何人も女がいたんだ」と言うと、ほとんどの人が、疑わしそうな顔をする。しかし信長には男女合わせて23人の子がいたのである。女性は、7人か8人かいたが、とりわけ愛し合った女性がいた。その女性吉乃が、産後の肥立ちが悪く29歳で死ぬと、信長が一晩中、泣き明かし、小牧山城の望楼から、墓の方角を望んでは涙ぐんでいた。
ご存じ、赤かぶ検事が光文社文庫に初登場。しかもシリーズ初の長編書下ろしで、名推理。赤かぶ検事と行天燎子警部補は、出張の帰途、信州・更埴市の「あんずの里」に立ち寄った。二人はそこで、髪をバッサリ切られた若い女の変死体を見つける。一方、松本で、その女の髪の毛を用いた京人形が、男の他殺体とともに発見された。人形をめぐる奇怪な連続殺人。
英秘密情報局局員サムソンの妻フィオーナの裏切り、KGB高官の亡命、莫大な公金紛失事件、そして東西の暗闘の渦中で消されたいくつもの生命…。過去十年にわたり発生した、これら一連の事件の黒幕は誰か。深謀を巡らし、仕掛けられた“シンカー作戦”とは。ベルリンの壁崩壊の真相がいま…。-’83年の『ベルリン・ゲーム』以降計七冊。訳文総量8100枚。巨匠レン・デイトンの最高傑作、史上最長のスパイ・ストーリー遂に完結。
親子ほど年の離れた州統監ストナーム卿との縁談に、レディ・アイオナは困り果て、一番心を寄せている乳母に相談しようと、家出した。しかし、大富豪ウルフ・レントン卿の家で働くことになっていた乳母は翌日、急死してしまう。
「テキーラを5杯!」セレナはバーテンが驚くのもかまわず告げた。なにしろ、フットボール好きの兄の趣味が高じてリーグ最下位のチームを買うはめになったのだ。セレナは酔っ払いたい気分だった。すると、隣に座っている男が声をかけてきた。「ぼくをクォーターバックにしてくれないか」セレナは驚いて男を見つめた。
ハイウエーで事故にあったキルシーはグレッグと名乗る男に助けられた。キルシーは、彼の親切に心を許しふたりはたちまち意気投合した。だが、グレッグは実は麻薬取締官。キルシーに近づいたのにはある目的が隠されていた。
ケッコー薬品熊本営業所の五人組はクーデターのただなかのスモジランド王国へスタミナドリンクの売り込みを命じられる。とびかう弾丸。誤解の嵐。言葉は分からん事態は分からん敵も味方ももちろん分からん。五里霧中のサラリーマンたちの不条理な冒険が大笑いのうちに始まる。