1992年11月発売
商社マン野々村省三は、銀婚式の旅に25年前に新婚旅行で訪れた能登を選んだ。妻・文恵との思い出を辿りながらの旅だったが、思いもかけぬ戦慄の旅行となってしまった。省三の突然の死を知った娘の万里子は、寝台特急で能登へと向かったが…。姿を消した母に夫殺しの嫌疑が。母の無実を信じる万里子は、両親の旅の足跡を追う。万里子の前に、ひとりの女の影と25年前の新婚旅行に秘められた驚愕の真実が。25年前に何があったのか。錯綜する過去と現在。読者待望のトリック・テラー久々の登場。書下ろし長編推理小説会心作。
異常気象で連日霧の立ちこめる東京・世田谷区では、少女誘拐未遂事件が多発していた。武藤類子がパソコン売場を通りかかった時、少女たちが「何よこれ!」と騒いでいる。ディスプレイを見ると「悪魔の警告!」という文字が浮かびあがり、続いて殺人を予告する奇怪な文面が出現。次の日、天才囲碁棋士で類子のB・F牧場知久の周りでも異変が生じた。対局相手の桃井4段が失踪したのだ。さらに世田谷区では12歳の少女が次々と殺されて。桃井の失踪と殺人事件の関連は。智久と類子が挑む連続少女殺人事件の驚愕の真相は?本格推理の鬼才が放つ戦慄のサスペンス&推理書下ろし傑作。
夫の二階堂警部と“奥の細道三百年”で沸く東北へ旅行を計画していた日美子。友だちの梅枝葉が訪れ、娘・真里の安全を占ってほしいという。日美子は、「サンタ芭蕉」というプレゼント企画で、東北旅行に参加する真里をタロットで占ったが、カードは不幸を予言。芭蕉の足跡を辿る真里たちに魔の手が…。名作『奥の細道殺人事件』と並ぶ、著者会心の長編旅情推理。
木でできた重いドアを開けてみる。そこは、自分がより温かくなれる場所。いろんな人のいろんな人生が、薄暗い照明に映し出されている。恋に迷う女たち。新しい生き方を求め、新しい出逢いを探すひと。でもただひとつ、はっきりしていることがある。「ノーワン・ノーラブ」-誰もが皆、恋をする。とあるバーを舞台に、やさしいまなざしで描かれた恋の物語。
手にした者は必ず幸せになれるという香水、「シンデレラの夢」。風子、撫子、虹子のもとにそれを捜してほしいと依頼がきた。風子の嫌な予感は的中し、やはり香水には、あの〈PW〉が混入されていた。人の心の成長を止め、世界を破滅に導く危険な物質だ。日本征服を企む謎の組織“麗しの美族”の登場で事態はますます大混乱。現代の聖母3人娘が大活躍の第2弾。
「銀行冬の時代」を迎えた。東京に本店を持つ大友銀行、その頭取、大友尚久は、突然に大蔵官僚の意思決定として、金融再編成の話を聞かされた。具体的には、東京に地盤作りを目指す関西のライバル銀行への吸収合併を意味していた。その場では、何の条件も出さずに「了承」を装った大友であったが…。醜くも権謀術数の限りを尽くす、新銀行誕生の裏側を敢然と描破。
奥州一帯に強大な勢力と文化を誇った藤原秀衡。頼朝に追われた義経を匿ったため、鎌倉幕府の追及厳しく、屈服か、決戦か。秀衡の死後、次代を担うべき嫡子泰衡と、国衡・忠衡ら一門は足なみも揃わぬまま、怒涛のごとき幕府軍を迎え、熾烈な戦いを繰り広げる。-独自の文化を築いた平泉のがわから初めて書かれた藤原氏滅亡の謎。’93年下期NHK大河ドラマの世界。
時は1812年。ナポレオン軍の侵攻迫るモスクワを離れ、ペテルブルグの知り合いの家に身を寄せていたゾイアは、イギリスからきたウェルミンスター公爵に出会った。ゾイアの弾くピアノの音に、公爵は深く感動し、ふたりはたがいに強くひかれあうのだが、突然ゾイアはモスクワへ送りかえされてしまう。あとを追いかけ、モスクワへ向かった公爵は、途中で重傷を負い、くしくもゾイアの家に運びこまれた。
あるときはかたむいた遊園地、あるときは7,900年後の海辺、またあるときは空っぽの水族館。電報を巡って、会えないあなたとわたしがくり広げる、谷山ファンタジーのメリー・ゴーラウンド。
18世紀、霧のロンドン。最高の贅沢を身につけた誇り高いレディ.シャナは、今、窮地に陥っていた。21歳の誕生日までに結婚相手を見つけなければ、父にどんな男を押しつけられるかわからない。一代で豪商に成り上がり、今やカリブ海に浮かぶロス・カメロス島の領主となった父の野望は、シャナを名門に嫁がせ、由緒ある家柄を手に入れることだった。約束の日を目前に、追いつめられたシャナは、死刑囚との偽りの結婚で父を欺くことを思いつく。「あとは悲しみにくれる未亡人のふりをすればいいわ」。選ばれた男はルアーク。彼は、傲慢にも一夜を共にすることを条件に、シャナのプロポーズを受け入れた。
ルアークが生きていた。父を欺くため、死刑囚との偽りの結婚を遂げたシャナだったが、死んだはずの“夫”ルアークが奴隷としてロス・カメロス島に送り込まれてきたのだ。彼女は不安に捕らわれながらも、次第に彼に魅せられていく。しかしシャナは、ルアークへ言い寄るミリーへの嫉妬から、心とは裏腹に彼を島から追放してしまう。そんな騒ぎの中、海賊の島メアズヘッドに捕らえられたシャナ。欲望にぎらつく海賊たちの目、目、目…。「逃げ出さなくては」。穴の中に突き落とされ、弄ばれ、もうこれまでという時、目の前に差し出されたのは、あろうことかルアークその人の手だった…。
江戸城大奥で中〓@62E4夏乃が秘蔵する不思議な名器ー仲秋の名月の宵、月光に当てるとその表面に隠されているある秘密の文字が浮かぶという皿『満月丸』を奪わんと侵入した黒覆面黒装束の片目の怪人と、それを阻止せんとする白装束の美女と二匹の犬。るるとろろの忠犬二頭を従える美女は、上州安中三万石板倉伊勢守の娘美弥姫であった。数奇な運命の美弥姫は、実の父ー海の弥太郎が秘匿した十万両の謎を解かんと、仇敵竜巻権五右衛門一味と対立した。姫を助けて活躍するものに峠弦之丞があった。時に田沼意次が絶大なる権力を持つ時代であった。美弥姫の悲願ははたして成るか。-十万両と木曽川治水工事設計図の埋設場所の謎を秘めた名器をめぐる争奪の結果は。
ロンドンのビッグベンを象った大時計の完成式典で、針が十二時を指した時、仕掛け人形のかわりに死体が飛び出した。死んでいたのは奇矯な行動で知られる時計作家弥武大人。出馬を要請された作家探偵霞田志郎の苦悩を嘲笑うかのように、さらに殺人は続いた。地元有力者高野の屋敷で、大人作の巨大な砂時計の中から孫娘あずみの死体が発見されたのだ。やがて事件の背後に横たわる巨大な悪意に気づいた志郎は…。『上海香炉の謎』に続く人気本格推理シリーズ待望の第二弾。
むかしむかし、ではなくて、みらいみらい-。中年の男から奇妙な動物をあずかった若者は…。(「回転ペット」)。世紀末のセックスはどんなふうに…。(「東京だよ落下傘」)。月へ赴任することになったおれは、任務を知らされぬまま…。(「月面シャワー」)など、傑作14編。