1992年11月発売
江戸を制圧した石田三成は、小田原城主に宮本武蔵を据えた。慶長18年関東が豊臣氏の版図になってから、天下は一見静かに見える。だが、奥州の地で渦巻く炎のような勢いでのし上がっている武将がいた。独眼竜の若き大名、伊達政宗である。徳川の残党は柳生一族の力を借り、幼君家光を沼津城より伊達領に脱出させ、新たな巻き返しを謀ろうとしていた。天下に再び戦乱の禍が…。
推定球速・時速160km以上。17歳にしてベーブ・ルース、ルー・ゲーリッグら米大リーグを圧倒し、日本初のノーヒット・ノーラン、最高殊勲選手、永久欠番。プロにおいて、生涯被本塁打数8。「沢村賞」にその名を残す、悲劇の超豪速球投手・沢村栄治の生涯。戦争の波間に浮かぶ家族の運命と、日本プロ野球の誕生と苦難の道を描く、渾身の書き下ろし500枚。
その夏わたしは、ひとり暮らしの老人に暖かい夕食を届ける、地元病院のボランティアを引き受けることになった。配達先の老婦人は、みなそれぞれに聡明で優しい人たちばかり。だがほっとしたのも束の間、ある夜わたしは、彼女らのひとりが略奪され、殺害される現場に行きあわせてしまう…。駆け出しミステリ作家マロリーの活躍を描く、ノスタルジック・ハードボイルド第一弾。
地球=アルファ星系の星間戦争はとうに終結していた。だが、敵国アルファ系帝国の領地であるその衛星には、地球人の精神疾患者達が今もとり残され、連絡を断ったまま独自の文化を形成していた。この地を再び地球のものとすべく、地球側は調査部隊を送り込む。だが独自の思惑をもつCIAは、調査隊に一人の人造人間を潜入させた。著者が精神疾患への関心をもとに取り組んだ名編。
大永一年戦国時代。人々は殺りくと略奪に目を血走らせ、戦いに身を投じていた。『愚かなり人間』地上に渦巻く欲望と憎悪の念に引き寄せられた鬼が再びよみがえった。その名も“黒夜叉道鬼”という魔道士は、この世を闇の世界に変えるという野望のもと、地獄から妖魔どもを召喚する。一方、この刻を待つひとりの男がいた。かつて、道鬼を封じ込めた鴉天狗の子孫“カブト”である。彼は、妖剣“飛龍”を手に入れ、守護神“四神”を集結して道鬼を迎え撃つ。カブトと道鬼は光と闇、決して相容れることのない宿命であった。かくして、時代を越えた二人の男の永遠の戦いが始まる。
雪の夜、新進作家の山路昌夫が妻ともども惨殺死体となって発見された。山路は聖徳太子ガン死亡説をめぐる殺人事件をテーマにした作品を書きあげていた。容疑者として浮かんだ人物は、山路と対立していた先輩作家・吉岡だったが、吉岡には鉄壁のアリバイがあった。-アリバイ・トリックと暗号を駆使して存分に本領を発揮した著者会心の代表作。
時は戦雲迫る昭和初期、南満州鉄道が誇る特急「あじあ」号の中で日本人が刺殺された。次の日、北満新報の記者香崎鋭介は社長の密命を受け、その「あじあ」号から消えた男を探そうとするが憲兵隊に阻まれる。どうやら背後にはドイツ、ソ連、日本、中国の国家機密が隠されているらしい。そして各国が血眼で追い掛けている古代“火神伝説”の謎とは?
智久・典子姉弟と大脳生理学者・須堂の素人探偵トリオが、囲碁、将棋、コントラクト・ブリッジ、チェスの幾何学的迷宮世界の中で、ぎりぎりと脳髄をしぼるような複雑怪奇な謎に挑む。ミステリーとゲームの頭脳的融合傑作集。
平安中期、匂うばかりの美しさで、五節の舞姫に選ばれた天女の生まれ変わり、空前絶後の美女。小野小町は仁明帝・東宮・在原業平・僧正遍照など男たちとの恋に懊悩しながら、情熱的な和歌の才をますます発揮し、六歌仙の一人となる。書き下ろし長編歴史ロマン。
日系三世のミツオはロスの私立探偵。ベトナム戦時代の直属の上司カゾー曹長が、在米ベトナム人に刺殺された。戦後、九年の時を経たとはいえ、プロフェッショナルな兵隊だった男が素人に刺殺されるはずはない。ミツオは信頼し敬愛したカゾー曹長のために、“依頼者のいない捜査”に乗りだす。多民族国家アメリカの複雑な社会構造のなか、真相を究明する男の生き様。
社長秘書から、後妻として年齢の離れた社長の許へ嫁いだ真紀。しかしそれは、性の奴隷への道程だった。2人の息子とその友だちに犯され、娘の借金の肩がわりに証券マンに強姦された真紀。彼らの巧みな責めに、若き継母の花芯は無意識のうちに潤い、次第に快楽の淵に堕ちていく…。