1992年2月発売
黒ミサ異聞黒ミサ異聞
19世紀末、自然主義小説から出発したユイスマンスは、デカダンスの極致『さかしま』を経て、悪魔主義の森へと彷徨する。本書は大作『彼方』から、ジル・ド・レエ譚とともに黒ミサの夫人と主人公との奇妙な逢瀬に焦点を当てた、もう一つの『彼方』である。
ダイヤモンドダストダイヤモンドダスト
高原の病院に様々な過去を背負った男たちの生と死が交錯してゆく。逝く者と残る者、心と心で交わす思いのたけのキャッチボール。--表題作の他、「冬への順応」「長い影」「ワカサギを釣る」収録。
耳なし芳一からの手紙耳なし芳一からの手紙
下関から新幹線に乗りこんだ男が「あの女にやられた」と叫び、突然の死を遂げた。あとに残されたのは「火の山で逢おう」という謎めいた手紙。そして差出人は“耳なし芳一”となっていた。偶然車中に居あわせたルポライター浅見光彦は、嫌疑をかけられた漫画家志望の家出娘池宮果奈、と自称ヤクザの高山に救いの手を差し伸べたばかりに事件にかかわることになってしまった。「あの女」とは誰なのか、“耳なし芳一”が企む過去からの復讐とはー。絶好調“浅見光彦シリーズ”舞台は長州下関へー。