1992年4月1日発売
ストウ侯爵はバーナム卿の夫人と、秘密の情事を重ねていた。ところが、妻の浮気に気づいたバーナム卿は、情事を逆手に、妻に離婚を迫り、真相を暴露すると脅迫し始めた。スキャンダルの渦中に巻きこまれるのを恐れた侯爵は、バーナム卿の疑念を晴らして、窮地から逃れるため、侯爵自身、実際に誰かと婚約することを思いたった。
1816年、ナポレオン戦争の余波を受け、イギリスでは相次いで銀行が閉鎖。ランボーン卿一家は、全財産を失いまさに崖っぷちに立たされていた。そこへ持ち込まれたのが、卿の娘カミラをメルデンステイン王国の皇太子妃に、という願ってもない縁談話。カミラは父母を救いたい一心で、不安を胸に、見も知らぬ皇太子に嫁ぐ決心をする。しかし、王国までの護衛官として遣わされた男を見たカミラは、ひそかに驚きの声を漏らしていた…。
突然の両親の死によって、メリンダは不幸のどん底に突き落とされた。叔父の家での惨い仕打ちに耐えかねた彼女は、行く当てもなくロンドンへ向かう。親切な貴婦人が一夜の宿を申し出てくれた上、莫大なお金が手に入るチャンスがある、という。そこが娼婦の家であるとは清純無垢なメリンダが知る由もなく、彼女はチャード侯爵との偽りの結婚式を挙げる羽目になる…。メリンダは今、甘く危険な人生の罠に翻弄されようとしていた。
光と闇に分かれた世界を舞台に、冒険を続ける4人の若者たち。今回は力強い助っ人とともに、遺跡の町ファラムへ…。大好評「光と闇のレジェンド」シリーズ第4弾。シングの宿敵“凶眼のマーシー”もついに登場、物語はクライマックスへ。
ユカ、ちょっと来てくれない。これから招かざる客と会わなきゃいけないんだけど、立ち会ってほしいんだ。というクラスメート浜島香名江の電話に二つ返事で彼女のマンションに駆けつけた矢車ユカだったが、ユカがそこで見たものはなんと首にビニール紐を巻きつけられて殺されている友人の無惨な姿だった。彼女の仇討ちにと犯人捜しに乗り出したユカの調査に、つぎつぎと明らかになっていく翔びすぎた友の思いもかけない乱れた私生活。そして、またもや殺人が…。いったい、だれが何のために?懸命の奔走に浮かび上がった複数の人物。しかし、彼らにはそれぞれに動かしがたいアリバイがあった…。-お茶目でキュートな女子大生探偵と元警視庁の鬼警部だった祖父の名コンビが惨劇に挑む。ユーモアタッチで描かれた若山三郎の好評シリーズ作、青春ミステリー第4弾。
暗闇の部屋のなかで裸で男を待つという興奮が、しとどに彼女を濡らしていたらしい。敏感な隆起を舌で捜し当てて愛撫してやると、ついにこらえきれなくなって来たらしく、みじかい声を発した。澄みとおったソプラノだ。(「甘い声」より)。漆黒の闇の中で、顔も名前も知らない女の“美しい声”に官能の極みを発見する表題作を始め、女性の深淵を探る著者初の官能傑作集。
軍隊と戦争の罪悪を、エピソードを盛り込み劇的な構成でスリリングに描き出す、ショー初の長編小説。三人の主人公(ナチスに投じるオーストリア人、ユダヤ系アメリカ人、芸術を愛するアメリカ人)は、それぞれ前途に漠然とした不安を抱きながらも、青春を愉しんでいた。そこへ開戦。三人とも戦地に送られ、人間性は破壊され、堕落していく人々をまのあたりにする。
二人のアメリカ青年は、戦争の体験から戦友として信頼しあうようになるが、ナチスを信奉するオーストリアの青年は、有能な兵士になるにつれ人間性を喪失してよく。やがて三人は、バイエルンの森で運命の対決を迎える。『武器よさらば』『禅者と死者』と並ぶ戦争を舞台にした青春小説で1958年には映画化された。
ホリーは21歳で過去の人、か。ひょんなことから迷いこんだモデル業だったが、撮影中事故にあい、引退を余儀なくされた。あのニューヨークの街並みから、風光明媚な水差しの町へー。だが、静養がてら岬のお屋敷で働き始めた時から、ホリーは不思議な事件に巻きこまれることになった…。シャーロット・マクラウドがもう一つの名前で描く、ちょっぴり怖い、心のサスペンス。
探偵事務所を営むわしの前に、昔刑務所送りにした男の女房が現れた。出所してきた亭主の無実を晴らしてほしいと言うんじゃが、自分が解決した事件の再調査を何でひきうけにゃならんのか。けれどその夜一人の女が殺され、わしは過去の縁に眼をむけざるをえなくなった…。死の影に雄々しく立ちむかう心優しき老探偵の姿を活写する、面白うて、やがて哀しき私立探偵小説の逸品。
星間商人だった祖父の突然の死が、一人の女性パイロットの運命を変えた。ここは特異なまでの科学理論と星間航法に支配された宇宙。恒星船は、天上物質ハルモニウムによって音楽をかなで、音響竜骨をきらめかせて天へ舞い上がる…。とある恒星船船長との出会いによって、やがて星間戦争のただなかへと導かれてゆく彼女の数奇な冒険劇を描いた、渾身の錬金術的スペース・オペラ。
大宇宙をさすらう宇宙海賊ロドロン・チャンは、銀河を人類と二分する異種族ストリールから掠奪した不可解な“レンズ”に見入っていた。そこには大仕掛けな映画のごとく、次から次へと様々な光景が浮かんでは消えていくのだ。しかもこのレンズは、連中にとって貴重極まりない品らしい。彼はいったい何を手に入れようというのだろう?ベイリーの処女長編にして遠大なる宇宙SF。
最初は何の変哲もない、よくあるデスクワークの一つに思えた。60年前の遺言状というのがいささか好奇心をかきたてたが、それとて退屈な仕事を彩る軽いアクセント。だが、ひとたびその農場の相続人が現れるや、私は生死を賭けた危険な謎解きゲームの渦中に巻きこまれた…。灼熱のオーストラリアを舞台に、冴えない青年弁護士とタフな女陸軍大尉が展開する決死の探索行。名手がポップな筆致で描く、スリル満点の痛快冒険活劇。
その男は合衆国上院議員、将来の大統領とまで目されていた。だが彼には宿敵がいる。通称〈ドラゴンマン〉、国際的な企業家だ。しかもこの二人は恐るべきパワーを秘めた超能力者でもあった。やがてある日、一人の少女が彼らの前に現われた。史上最強の超能力少女。彼女を手に入れれば、地上の王となることができるのだ。ついに世界を二分する争奪戦が始まった。そして、愛する娘を守るため父親もまた闘いの渦中へ…。大型スリラー。
ブッカー賞作家による『ロビンソン・クルーソー』の大胆な読み変え。クルーソーの島にひとりの女が流れついた。フライデイとともに帰国した彼女は、みずからの体験に言葉を与えてくれる作家を追い求める。作家の名はダニエル・フォー…。厳しく精緻な輝きに満ちた寓話。