1992年5月1日発売
本書は、作家デュラスの真の処女作というべきものであり、のちに『愛人』『北の愛人』とともに、深化・発展させられてゆく仏領インドシナでの自らの少女時代の体験を素材としたデュラス流の「失われし時を求めて」をかたちづくる傑作である。
本書は米国の作家、批評家として活躍し、いちばん古いシャーロッキアンの団体〈ベイカー・ストリート・イレギュラーズ〉の創立者のひとりとして知られるヴィンセント・スタリットが1933年に発表したエッセイである。系統的、総合的視点からホームズ物語全体を扱った批評として名高いこの書物は、今日でもその価値を失わない古典的作品として有名である。
東大出のエリートサラリーマンの夫は給料日になると妻に特別な性の儀式を要求していた。だが、ある日を境にアチラがすっかり役立たずになってしまった。再起を願って夫婦交換を試みた二人だったが、とろけるような味を知った妻は、うずく肉体を抑え切れず、いけないと思いつつもあの歓びを求めて次次と夫以外の男と“火遊び”を続けていく。長篇官能小説。
人の理性を破壊し、欲情のみを昇華させる青い強力粉末“チャイナブルー”。その青い粉末を廻る失踪事件解明の依頼が貴島俊のもとに。俊は、サンフランシスコの暗部をその卓抜した知性とクンフーで刳り取る男。折りも折り、サンフランシスコの暗黒街には無気味な胎動が。青い粉末を廻るチャイニーズマフィアの抗争、連続猟奇殺人の発生、要人の失踪…。続発する事件の中、俊の瞳がチャイナブルーの陰に潜む蠱惑的な女を捉えたとき、殺し屋、“猫食い”が俊を急襲。倒錯的エロース、壊滅的暴力、そして、救済的温もり…。世紀末世界で、ヒューマニズムとバイオレンス、エロチシズムを極限融合させる、大型気鋭が全力で描く、極上の書下ろしエンタテインメント超弩級全2巻。
魔道が吹き荒れ、暴力のみを法とする〈魔界都市“新宿”〉。この街をも震撼させる犯罪を、最凶の妖術師ガリバルディが実行に移した。連続虐殺事件をくり返しながら逃亡するガリバルディを、新宿署最強の刑事・屍と鬼顔が追う。その二人に、さらに羅漢興業組長・羅紋の刺客が迫る。妖物、魔人入り乱れる死闘、淫戦。捕えられた鬼顔を救出するため、死地に飛びこむ屍。ガリバルディが企む「究極の殺人者」とは?そして世界を破滅に陥れる計画とは何か?魔界のエロス&バイオレンスを超高速連射。満を持して放さ興奮の痛快長編書下ろし全2巻、ここに圧倒的迫力で完結。
玉井タマ子は葬儀社の経営で5人の子どもを育てた。双子の礼子と智子はもう18歳。二人で香港旅行を楽しむ。事件は帰国中の機内で起こった。ツアー参加のおばさんが、中国人から荷物を預かり、税関を通過したがそれを紛失。物は麻薬だ。怪しい人がおばさんの命を狙う…。そこで、旅の誼からタマ子と双子チームが国際無法組織に挑戦。鬼才の筆が冴える会心作。
時は大正時代の中頃。文車伯爵家の令嬢(お姫さま)桃子は活発で束縛されるのが大嫌い。じつは秘密の恋人がいるのだが、まだ結婚なんてしたくない。ところが、宮家の貴公子が桃子を見初めてプロポーズ。有力な妃殿下候補はほかにいるが、なにやらスキャンダルの臭いが…。このままじゃカゴの鳥だ、というわけで、桃子は真相解明に乗り出したのだが。
「今度のフライトはすっごいハード・ラックよ」ミステリー大好きのスチュワーデス・紅翔子は、親友の貴美子から占いを聞かされた。せっかくのマドリッド便乗務なのに、そのせいか、機内では失敗ばかり。おまけに、乗客のオリンピック選手が、東京の殺人事件と関わりがあるとわかって、持ち前の探偵趣味が。国際的陰謀に立ち向かう翔子の活躍。シリーズ第4弾。
深夜、家路を急ぐ男が、自分の影に襲われた。影は、黒い甲虫のような物に姿を変えて男の口から体内へ侵入…。その途端、男の身体は裂けて吹き飛んだ。深夜の失踪事件はその後頻発。カメラマン助手の宇和野守人も正体不明の黒い生き物の群れに遭遇した。死を目前にした守人は、妖しい魅力を放つ美女ラナに救われる。戦憐の恐怖と清新な官能が満載の傑作ホラー。
青山の表通りの閑静な住宅街に、カミュという小さなバーがある。入口に“Camus”というプレートのあるこの店が、小説の舞台である。カウンターのなかにいるマスターの秋月の目からみる、人間模様はクールである。常連客とは一線を引く秋月だが、いつしか渦中に巻き込まれ…。
20世紀初頭、ロシア帝国華やかなりし頃。若くして未亡人となったタマラは、名付け親の公爵婦人の招きに応じ、真冬のペテルスブルグへと旅立った。運命の糸に手操り寄せられたかのように-。一瞬の出会いで彼女の心に消えることのない炎を燃え立たせた男、グリツコとの再会が待っていたのだ。専横で気性の激しいロシアの大富豪のグリツコに反発を覚えながら、いつしかタマラは抑えがたく激しい愛の思いに捕らわれていた。華麗なロシア帝国を舞台に繰り広げられるヒストリカル・ロマンス。
キングズウッド公爵の目下の悩みは、いとこで後継人のリチャードが、社交界で浮名を流す女性に惑わされて婚約し、そのうえ、殺人事件までひきおこしたこと。そんなとき、公爵の前に現れたのは、旅の途中で病に倒れた牧師の娘、ベネディクタだった…。
関ガ原の合戦で敗れたはずの石田三成が、白髪の老人として生きていた。玄南斎と名のる世捨て人の老人がそれであった。その玄南斎の子飼いの若者に、青十郎と影法師がいた。江戸神田連雀町の軍学者、張孔堂由井正雪と金井半兵衛の両人が玄南斎のもとを訪ねた。しかし、玄南斎には、正雪らの徳川幕府に対する反逆の企てに加わる気はなかった。江戸城内本丸の厳重な警戒網をくぐって天守閣に忍びこんだ影法師は、家康の木像の首を切ってすてた。影法師の行くえを探索する徳川方忍者の頭領は服部半蔵であった。影法師を恋する吉野屋芳左衛門の娘清野は、春日局に望まれて江戸城大奥へと連れ去られた。男子禁制の大奥へ不敵にも忍びこんだ影法師は、次々に中〓@62E4を犯していった…。
通信社のカメラマン長友卓也の眼前で、妹・静香が待つミュンヘンのカフェが一瞬にして吹き飛んだ。が、修羅場と化した現場から、妹は忽然と消えていた…。自ら撮影した爆破写真を手掛かりに捜索を開始した長友だったが、やがて彼の行く手に、妹が探し求めていた18世紀の宮延音楽家の、時価4億といわれる幻の楽譜「水晶コンチェルト」が浮かび上がった…。
おれの名は佐分利健。妾腹ながら服部半蔵の18代目の末裔だ。伊賀の里は油日岳の隠形谷から東京に来ていた忍法の師匠玄爺の、最愛の若妻が何者かに拉致された事件を追っていたおれの前に、インド魔術を思わせる全裸美女の空中浮遊死体が…。
東京アンナ、17歳。日本人の父親とアメリカ人の母親の間に生まれた混血児で、職業は、なんと内閣直属の秘密組織に属する殺し屋。仕事の指令を受けると、日本人ばなれしたプロポーションと美貌を生かして標的に近づき、鮮やかに任務を遂行してしまうから、狙われた方は大変だ。