1992年6月1日発売
人間の性欲を破壊的に膨張させる青い強力粉末-“チャイナブルー”。サンフランシスコのチャイナタウンで失踪したトーマス吉岡を激しい追跡の末、救出した貴島俊だが、青い粉末に溺れ変貌した吉岡の姿に愕然とする。さらに新たに依頼を受けた失踪者にも青い粉末の無気味な影が!青い粉末の元凶を壊滅せんと、単身、俊はマフィアが跋扈するチャイナタウンの暗部へ侵入。待ち受ける刺客との激烈な死闘が始まった。一方、続発する上流階級猟奇殺人の捜査もチャイナタウンへと集約されていく。セックス、暴力、幼児虐待、人種差別-。世紀末アメリカに蠢く暗部。強烈なエロスと圧倒的バイオレンスとを描く、新鋭の熱筆書下ろし全2巻、堂々の完結。
戦後一代で財を成した大富豪・美宗門康則は、本宅を関西の超高級住宅地芦屋市六麓荘に、妄宅を東京田園調布に構え、それぞれ西のお屋敷、東のお屋敷と称した。6月6日午後8時30分、西のお屋敷で、美宗門家の双子の娘の一人・美果が殺された。ベッドは血の海で、一かたまりの髪の毛と血に染まったパジャマがあるだけで、死体は消えていた。同時刻、東のお屋敷では、姉の美和が全裸で尼僧のように髪を剃られた凄惨な姿で発見された。誰が何のために、このような手のこんだ猟奇的演出をしたのか。大トリック&どんでん返しの妙。精神分析医・氷室想介の苦悩と名推理。好評シリーズ書下ろし第3弾。
集団就職した圭司はテレビタレントに憧れ、大阪から東京へ。運よく音楽事務所にもぐりこみ、「フォーウイングス」のリーダーとしてスターダムにのし上がる。人気で女性を自由にできた。が、スターは所詮、人形だ。人気は下降するが、大人の歌手として独立する実力もない。圭司は焦りを情事で忘れ、麻薬にすがる。彼は再び、王座に復活するか?著者会心の異色な野望の軌跡。
梅満開の熱海梅園で、暴走族のリーダー、安田の変死体が発見された。手には電話番号が記されたメモを握っていた。そしてその翌日、同じ梅園で安田の愛人でストリッパーの亜紀が殺された。さらに、動揺する熱海市民をよそに第三の殺人が…。連続殺人の謎を追う「週刊熱海」の北原は、驚愕の事実を暴く。推理文壇の大御所が奇想天外なトリックを駆使して描く。
白いブルーバードの中で男が3人殺されているー携帯電話から通報を受けた神奈川県警のパトカーが現場に急行した。だが、車内には血の跡が残されているだけだった。1分半もたっていない間のことである。一方3人の死体を目撃したヨコハマ自動車の社員・杉本千鶴は、6年前のある“できごと”に怯えた。千鶴をはげまし、死体消失のトリックに挑むOL捜査網。
寺田喬氏は、紡績会社の東京支社で課長をつとめる普通のサラリーマン。彼が四十一歳のころから、この物語、迷いと苦しみの日々が始まった。…まず体調の不安、そして会社での上司と部下の板ばさみ、勉強嫌いの息子と老いた親。山積する問題に、もがきあえいだ末、寺田氏は起死回生の脱出法を思いついた。それは…。サクセスのためのノウハウを秘めた実用小説。
春の飛騨高山。置き引きの現行犯で逮捕された中年男がいた。男は犯行は認めたものの、氏名や本籍を頑として黙秘する。が、余罪ありと睨んだ赤かぶ検事は、「本籍、不詳。住居、不定。職業、不詳。氏名、不詳…被告人は、年齢四十七、八歳。容貌、別紙添付の写真のとおり…」と、異例の起訴に踏み切った。-表題作ほか、法廷推理の真髄をユニークに描いた傑作集。
江戸での御前試合のため、沼田藩から5人の若い剣士が旅立った。試合は好首尾に終わったが、剣士たちは華の吉原でおいらん遊びの楽しさを知ってしまう。「我が城下にも小吉原を!」の要求で、藩内に奥方連も巻き込んだ騒動が起こって…。強いばかりが剣豪ではない。表題作など、血のかよった9人の剣士たちのほほえましい人間性に迫る異色の傑作剣士小説集。
E・A・ポーが書いた世界初の推理小説『モルグ街の殺人』の犯人は?そう、オランウータン。-以来、可愛くて獰猛な動物たちはミステリーの主役として大活躍してきたのです。そこで、今回のおもしろ推理パズルは、動物たちの魅力的なミステリーをお届けします。61問の難事件が解決するかしないかは、すべてキミの推理次第。ミステリー動物園へようこそ。
司祭館で秘書として働くフランシスは、過酷な労働に疲れ果てついに病に倒れてしまった。司祭の甥モンターギュのとりなしも虚しく司祭館を追い出された彼女は田舎の牧場に静養に出かけたが、後を追ってきたモンターギュとの恋の行方に心は乱れていた。そんな彼女の前に現れた一人の男。近くのテザーストーンズ農場を取りしきるその男は、謎めいた眼差しで彼女を捕らえた。“テザーストーンズ”-鎖の石。忌まわしい言い伝えが残る呪われた土地で、フランシスは恋の迷路をさまよい始める。
18世紀末の北部イングランド。エリエンヌは、父が連れてくる、財産以外には何の魅力もない求婚者たちにうんざりしていた。エリエンヌの心をとらえているのは、ただひとり-父を侮辱し、弟に傷を負わせた家族の敵、クリストファーだけであった。日ごとクリストファーに惹かれていき、結婚話に耳を貸さない娘に業を煮やした父は、ついに、エリエンヌを結婚を条件とした競売にかける。競売の日、エリエンヌをせり落としたのは、呪われた館の領主、仮面と黒ずくめの服で傷だらけの全身を隠したサクストン卿だった。
サクストン卿夫人となったエリエンヌは、ついに不気味な夫に身をまかせ、狂おしいほどの歓びにひたる。そして、夫の背中にある傷跡をたどりながら、わたしはこの人の妻なのだ、と自分にいいきかせた。しかし、ある夜、闇に浮かぶ夫の瞳にクリストファーの影を見て、歓びのさなかに、かれの名を口にしてしまう。静かにベッドを去る夫に、深く自分を責めるエリエンヌ。あくる日、夫の不在中に、夜盗との格闘で深手を負ったクリストファーが館にかつぎこまれた。ベッドに横たわるかれの背中にエリエンヌが見たものは、夫と同じ大きな傷跡だった…。
伊沢理恵は新宿新都庁超高層ビル街の眺望の利くホテルのレストランでの恋人との豪華なディナーをすませた後、彼のマンションに移って週末の夜の楽しい一時を過ごしていた。そしてこの夜、理恵は恋人からプロポーズされたのだった。そんな幸せな理恵の気持ちを打ち砕くかのように突然、電話のベルが鳴り響いた。いや、なぜか理恵にはそう思えたのだった。はたして、意外やその電話が恋人の身にもたらしたものは…。彼は殺ってない、殺人の容疑をかけられた恋人の無実を信じる理恵は、姿なき真犯人を求めてその跡を追うことになった。そんな理恵を支えるのは恋人への愛のみであった。愛が告白された幸せな夜を引き裂いて若い2人に訪れた災厄とは。ラブ・サスペンス。