1992年6月発売
接待マージャンのメンバー集めに四苦八苦している営業マンの、伝票合計がどうしても合わないOLの、パソコンから会議資料を取り出すことができない中間管理職の助けを呼ぶ声にこたえてやってくる、ドブネズミ色のスーツを着たさえない男。彼こそスーパーサラリーマン。高いビルもひとっ飛びで救いの手をさしのべるサラリーマンの味方を描く表題作ほか、短篇の名手がサラリーマンSFに挑戦する力作短篇11篇を収録。
ハリウッド最高の人気女優マリリンの凍結卵子が、ニューヨークの病院から盗まれた。彼女の資産に目をつけた借金苦の競馬狂が、100万ドルを脅しとろうと企てたのだ。だが犯行現場をマリリンの熱狂的なファンが目撃したことから、盗まれた卵子は思わぬ運命をたどることに…。マフィア、大泥棒、映画プロデューサー、そしてCIAをも巻き込んだ奇想天外な卵子争奪戦を、当代随一のベストセラー作家が軽妙に描く会心作。
KGBがアイルランドに送り込んだ休眠工作員ケリイ。その任務は、テロによって英国とIRAとの和平の動きを妨害し、紛争を激化させることだった。偶然入手した情報から彼の存在を知った英国情報部は、元IRAの闘士デヴリンの手を借りて、その正体究明と抹殺に乗り出す。だが、ケリイは追及を察知して逃走した。次なる暗殺を阻止すべく、デヴリンは必死の追撃を開始するが…。硝煙の世界に生きる男たちの姿を鮮烈に描く。
アメリカとNATOの依頼を受けた英国は、ソ連がバレンツ海に敷設したソナー網の位置をつかむために、画期的な対ソナー装置〈レパード〉を搭載した原子力潜水艦プロテウス号を出航させた。そんな折り、〈レパード〉を開発した科学者クインが突如失踪した。ソ連側に拉致された可能性は充分にある。SISの工作員ハイドは捜査を開始する。やがて重大な事態が起こった。プロテウス号がソ連の周到な罠に落ち、捕獲されたのだ。
プロテウス号は、バレンツ海に面したソ連の軍港に曳航された。機密を守るために、〈レパード〉を一刻も早く取り戻さなければならない。奪回作戦の指揮をとるSISの副長官オーブリーは、アメリカ海軍情報部のクラーク大佐をその軍港に潜入させる。そして彼を援助すべく自らも、連れ戻したクインと共に対潜哨戒機に乗って飛び立った。北の海に展開する息づまる奪回作戦の成否は?名手がスリリングに描く傑作冒険巨篇。
アメリカ探偵作家クラブがミステリの発展に寄与した各分野の優れた作品に対して栄誉を与えるエドガー賞。本書はそのうち1981年から88年までに最優秀短篇賞を受賞した作品を年代順に網羅したアンソロジーである。フレデリック・フォーサイス、ルース・レンデル、ローレンス・ブロックをはじめとする、現代ミステリ界最高の作家たちによる多種多彩な短篇を結集したファン必携の書。『エドガー賞全集』待望の続篇。
ピンチョン捜査官の身辺で事件が相次いだ。別れた妻が館長を務める図書館で司書が殺され、さらに恋人のアンナが何者かに誘拐されたのだ。二つの事件にはどんな関連が?自分に恨みを抱く者が復讐を企てているのか?アンナの安否を気遺いながら必死の捜査を続けるピンチョン。しかし彼を嘲笑うかのように犯人は次なる殺人を…。頑固者の捜査官と狡知にたけた誘拐犯との熾烈な闘いをサスペンスフルに描くシリーズ最新作。
うまそうな料理の匂いが漂う浜辺の別荘で愛する家族と至福の時を過ごす。わたしはこの週末を心待ちにしていた。ところが長男ジャックの友人が殺され、息子に容疑がかけられたのだ。幼い頃、浜に打ち上げられた瀕死の鯨のために涙を流した我が子が殺人犯だなどとは。冤罪を晴らすため、わたしはひとり事件の真相を探りはじめた…。冒険に憧れる中年男ドク・アダムズの活躍を描いた注目の冒険小説、文庫オリジナルで登場。
田中幸太にも、病院研修二年めにして、ついに後輩ができた。だが、この後輩というのが、とんでもないヤツだったのだ!コンピュータを駆使するデータ至上主義の後輩に、正しい医学の道を教えようと悪戦苦闘する幸太だったが…。「いよいよ神経内科」ほか2篇を収録ー。医者、看護婦、患者、その誰もがちょっと変。現代医学の常識を超えた羅門堂病院を舞台に、研修医・田中幸太の活躍を描くホスピタル・コメディ第二弾。
わたし、キンジー・ミルホーンはオフィスとしてカリフォルニア信用保険会社の二階の一室を使っている。そしてそれと引き換えに、ときおり型どおりの保険調査を行ない、不正な保険金請求がないかどうかを調べて、社に提出する。十月末のある午後、こうした疑わしい保険請求の一つがまわされてきた。それはもともと、しばらく前にジョギング中に殺された若い保険精算人が扱っていた一件の書類だった。人的傷害をともなう自動車事故で、ビビアンナ・ディアースなる女性が、むち打ち症、頭痛、筋肉の痙攣などの症状を訴えている。わたしはこの女の実際の居所を追いはじめたが、どうやら女は悪質な保険金詐欺グループとつながりがあるらしい。狡猾きわまりない保険金詐欺の実態を暴くため、わたしは別の女になりすまし、おとり捜査に身を投じることになる。南カリフォルニア、サンタ・テレサに立つ爽快な風、女探偵キンジー・ミルホーンの魅力が爆発する全米ベストセラー最新作。
日本企業ナカモトがロサンジェルスに建設した超高層ビル〈ナカモト・タワー〉で、美人モデルが殺された。階下のフロアでは、マドンナやトム・クルーズをはじめとする日米の有名人ばかりを集めたオープニング・パーティーが進行中だった。緊急連絡をうけた渉外担当官のスミス警部補は、日本人がらみの事件に豊富な経験を持つコナー警部とともに現場に急行する。しかし、ナカモトの現場責任者イシグロは、なぜか強硬に捜査を拒む。しかも、犯行時の現場が映っているはずの警備用ビデオテープは、謎の日本人によって持ち去られていた。経済摩擦で緊迫する日米関係を背景に、捜査は困難を極めるが…。刊行と同時に全米でセンセーショナルな話題を巻き起こし、ベストセラー・リストの第一位に躍り出た大型サスペンス。
小説づくりの名工。端正緻密な小説世界。これこそ人生通の、大人の物語。日本人なら忘れがたい、愛惜さそう情趣のすべてがここにある。市井小説短篇。
河上の花都・開封。春3月の空に客を引く大道芸一座の声が響いていた。「さあさ、都で今、評判の、舞剣の花娘の双剣だ。こんな見物は、めったに見られぬ。ご用とお急ぎでない方はとくとごろうじろ…」。緑の毛氈の中央に立つのは、ひとりの少女だった。風を切り、左右交差する真剣の刃。固唾をのんで見守る観衆のなかから紋身の酔漢が襲ってきた。そのとき、正体不明の白面郎と白載星と名乗る若者が、彼女を救った。数奇な運命の糸が回わりはじめる、これが第一歩であった。新星・井上祐美子が放つ新シリーズ巨篇。
「花咲村」での凄惨な事件は一応の収束をみたが、父、耕之介の残したメッセージは、次なる事件の到来を予言していた。推理作家である朝比奈耕作の作品のテレビドラマ化の話がもちこまれたのだ。舞台は伊豆諸島の南端、青ヶ島。そこには、深い緑に囲まれた鳥啼村があった…。ドラマ化の打合わせに出かけた朝比奈は、プロデューサー、柿沼正二の変死体を発見した!ますます深まる謎また謎。好評シリーズ第二弾。
灼熱の砂漠とロンドンを舞台に展開される、本格戦争アクション。黄金のバラのペンダントを残してスチュワーデスが消えた-。そしてシャマル(砂嵐)が、男の野望と女の愛を、真っ黒に覆いつくした。