1993年1月31日発売
遥かな未来。惑星国家カムルーの王子ニキの運命は、ある日大きく一転した。わずか数時間のうちに愛する家族をことごとく惨殺され、みずからも命を狙われる身となったのだ。政権奪取を狙う銀河の一大勢力〈調和連盟〉の陰謀だった。単身カムルーを脱出したニキは特殊手術を受け、宇宙船の電子回路と神経を直結させたゲシュタルト・パイロットとして生まれかわるのだが…?新鋭がはなつニュー・スペースオペラの快作。
稀代の天才歌手ハリスの依頼を受けて、ニキは惑星ラミアに急行した。ラミアはもっか調和連盟の監視下にあり、外部の者の出入りはおろか交信すら禁じられ、住民は餓死の危険にさらされている。待ち受ける連盟艦隊をうちやぶり、ラミアの封鎖を解除するのだ。だがその間にも、ゲシュタルトに必須のドラッグの作用で、ニキの体は着実に蝕れつつあった。迫りくる死の予感に怯えながら果敢に仇敵に立ち向かう彼の運命は?
1999年。世紀末アメリカ。衰えた国力は回復しようもなく、国民は耐乏生活を強いられていた。貧困と麻薬と伝染病がひろがり、人々の不安を食い物にする新興宗教がはびこっている。その不安をあおるように、アメリカ各地でUFOの目撃例が急増、人間そっくりの謎の存在が超自然的事件を引き起こしていた。巨大ネットワーク局の記者ジョージはこの事件に注目して取材を開始したが、やがて恐るべき確信を抱くようになった。
なんとしても異星人の存在をあばき、地球侵略を未然に防がなくてはならないー。ジョージはそう確信した。千年王国到来を訴えるテレビ伝道師ギルレイもまた、異星人来訪を確信していた。西暦2000年の訪れと同時に、キリストを司令官とする宇宙船が降臨、最後の審判が始まるというのだ。多彩な人物が狂気のドラマを織りなすあいだにも、新千年紀は刻々と近づいていた。悪意と哄笑と風刺に満ちた、米SF界俊英の野心作。
ジョン・トムはエレキギターが趣味の大学生。ある夜マリファナでトリップしていたはずが、ふと気づくと、ロビン・フッドそっくりの格好をして言葉を話す動物たちが暮らす世界へと転移していた。その世界の魔法使いのカメが、迫りくる悪を一掃するためにジョン・トムを呼び寄せたのだ。動物たちをお供に連れ、ギターを魔法の楽器に持ちかえて、ジョン・トムの大冒険が始まった。-抱腹絶倒の傑作ユーモア・シリーズ開幕。
ノルマンディ上陸作戦前夜、Dデイの最高機密を握る連合軍将校が演習中に行方不明となった。やがて、彼がナチ占領下のジヤージイ島に漂着したことが判明した。機密漏洩を恐れる連合軍首脳部は、英国陸軍大佐マーティノゥと島出身の女性セアラを救出に差し向ける。だが、身分を偽装して島へ潜入した二人を待っていたのは、驚くべき謀略を心に秘めた“砂漠の狐”ロンメル元帥との出会いだった。著者会心の戦争冒険小説。
ニューヨークでコンサルタント業を営む元OSS局員ダービーは、昔の仲間から緊急の警告を受けた。第二次大戦中、オランダでの秘密作戦に参加したOSS局員が次々と殺害されており、ダービーも狙われているというのだ。その直後、彼の妻が何者かに襲われ、無残な死を遂げた。復讐を誓ったダービーは、事件の鍵を求めてオランダへと飛び、やがて驚くべき真実を探り当てる。だがその時、暗殺者の魔手は彼の身辺に迫っていた。
うだるような暑さのなか、住民はまんじりともしない不安な一夜を過ごしていた。閑静な住宅街に押し入って銃を奪った3人組が、駆けつけた警官を射殺して逃走したのだ。賊は現金には手をつけておらず、銃器だけが狙いのようだった。捜査を始めたピンチョン捜査官は、事件にからむテロ組織の存在を知るが…。東部の田舎町を舞台に、頑固者の中年捜査官が凶悪な敵を相手に獅子奮迅の活躍をみせる、人気沸騰のシリーズ最新作。
その女は死んだはずだった。ススキノのバーで飲んでいた〈俺〉に電話で奇妙な依頼をしてきた女は、コンドウキョウコと名のった。依頼を果たしたあと何者かに殺されそうになった〈俺〉は、関西の暴力団につながる右翼団体がからむといわれる地上げ放火で、近藤京子という女が殺されていたことを知る。一体電話の女の正体は…。札幌の街を酔いどれ探偵が行く、クセになる面白さの軽快ハードボイルド。
ニューヨークに本店をもつ高級宝石店の創立者、ルイス・スターレットが、ある夜、何者かに刺殺された。300万ドルの保険金が掛けられていたため、保険会社は調査員ドーラを派遣する。スターレット家を訪れた彼女が見たものは、同家に取り入る怪しげな男女。しかも宝石店では、謎の金地金取引が行なわれていた。マンハッタンの富豪一家に何が起きているのか?色と欲のベストセラー・サスペンス。
「あなたはダニューヴ川から生まれた空の妖精にちがいない…」。その言葉が、心を躍らせるハンガリーの旅の始まりだった。社交界デビューを控えた18歳のアリサは、父のバクリントン伯爵から、貴族の娘は結婚相手を愛情では選べないと言われ、ショックを受けて衝動的に家を抜け出したのだ。旅先で初めて出会ったハンガリーの男性の面影はアリサの心に深く刻みつけられた。
1863年、南北戦争のさなかのアメリカ。南部の由緒正しき家に生まれたアライナは、17歳にしてこの世の地獄をすべて見尽くしたかのようだった。戦禍で両親と兄を亡くしたばかりか、スパイの烙印を押され、北軍に猛獣狩りさながらに追われる身となってしまったのだ。彼女は愛する故郷バトン・ルージュに別れを告げ、少年の姿に身を変えて伯父の住むニューオーリンズへと向かう-。さらに苛酷な試練が待っているとも知らずに。港に着いたとたん新たな苦境に陥ったアライナを浮浪少年と信じて救ったのは、憎むべきヤンキーの大尉コール・ラティマーだった…。南北戦争を背景に、喜び、悲しみ、そして愛を壮大に描く、ウッディウィスの大河長編。
アライナの従姉ロバータの術中に陥り、ロバータを妻にしたコールだったが、そんな結婚生活が幸せであろうはずはなかった。一方、アライナは、娼婦のふりをしてコールと愛し合ってしまったという、あまりにも重い秘密を独り胸に抱きながら、自分が本当は女性であるということさえ告げられずにいた。ある夜、舞踏会に出かけたロバータの部屋を片付けていたアライナは、たくさんの豪華なドレスを前にして、思わず“少年アル”でいることを忘れてしまう。そこへ突然、コールが帰ってきた。透げ場もなく、ついに正体を見破られてしまった彼女は、行く当てもなくクレイグヒュー家を飛び出す…。