1993年4月発売
慶長十八年五月。伊達政宗の軍事力をバックに、豊臣方に反旗を翻した下総佐倉城主・松平忠輝(家康六男)は、猪鼻城後詰めに一万二千の軍を送った。手薄になった佐倉城は、宮本軍に属する猿飛佐助、霧隠才蔵の働きで落城。武蔵は西上をはじめた政宗を討ちとるが、それは影武者だった。泰然自若と猪鼻城に拠る忠輝。後手に回った宮本・真田幸村連合軍は、猪鼻城の強固な出城、堅牢な砦を攻めきれず苦戦を強いられる。さらに江戸湾には伊達水軍が…。
17歳の女子高生が自宅で保健所の医師と名のる男にインフルエンザの予防注射を打たれたあと、その男の車で連れ去られた。客の急訴にハマの県警本部は色めきたつ。誘拐か。が、1日たち2日たっても犯人側からは何の要求もない。不気味だ。4日目、ついに公開捜査に。折も折、シティホテルの支配人から「強盗傷害で指名手配中の男が女連れで宿泊している」と。待機中の特捜星班が出動し包囲作戦をとったが、男はなんと…。-臨場感あふれる著者渾身の警察小説。
プロ棋士・真城寺欽弥は金沢支部の大会出席後、新聞記者・苗場とカメラマンの瀬能を誘って越前岬の老舗旅館に冬の名物カニを食べに寄る。その夜、真城寺を訪ねて、おでん屋の女将・睦美がやってくる。睦美を一目見て、瀬能は以前見た覚えがあると洩らす。翌日、気になることを調べたいという瀬能を残して真城寺と苗場は東京へ帰る。だが、二日後、瀬能が小松のホテルで殺されたとの報が入る。事件後、睦美もプッツリ姿を消す…。冬の北陸を舞台に描く書き下ろし旅情ミステリー。
新興宗教団体「闇の光」の狂信者立花冽子は兄弟と共謀し内縁の夫を“悪魔祓い”儀式の生贄にする。逮捕された彼女らは長期懲役の判決を受ける。しかし、それを不服とする三人は護送車から脱走、琵琶湖の遊覧船ミシガン号を乗っ取って、船上での“やりなおし裁判”を要求する。応じなければ五分間に一人ずつ乗客を射殺するという脅迫に、赤かぶ検事は決死の覚悟を決めるが…。
神話と伝承に彩られた惑星イマキュラータ。13歳の少女ペイシェンスは、幼いながらも有能な外交官兼暗殺者として、父とともに王家に仕える身だった。だが彼女には重大な秘密があったー。太古の予言はペイシェンスこそ人類の救世主であり、神を産む聖母になると告げていたのだ。父の死後、放浪の旅に出た彼女だが、その行く手には予言の成就をはばむべく恐るべき敵が待ちうけていた…。人気作家カードが描くSF冒険譚。
初代アリは複製の育成のために、公私にわたる莫大な記録をのこしていた。後見人である叔父との確執、仲間の子供たちとの駆引き、性のめざめー。多くの悩みを抱えるアリに、初代アリはコンピューターを通して語りかけ、アリは初代アリの人生をなぞるかのように成長していく。いっぽう防衛庁内部では、テープ製造を独占しているリシューンの国有化を主張する一派が台頭し、アリの立場を脅かしはじめるが。ヒューゴー賞に輝く傑作巨篇第三巻。
ケルソンは、デリニの貴族モルガンとダンカン神父の力を借りて、魔女チャリサとの果たし合いに勝利をおさめ、王位についた。だが王冠を手にしたケルソンを待ち受けていたのは新たな陰謀だった。デリニに反感を持つ司教たちが結託して、モルガンとダンカンを追い落とすべく画策していたのだ。おりしも王国辺境では、ケルソンの統治に不服を唱える者たちが反乱を起こそうとしていた…。少年王の活躍を描くシリーズ第2弾。
恒星間宇宙船。ここで過す者は宇宙空間ではなく、偽の風景を見て暮らす。だが、少女の部屋の窓はもう何年も前から雨の風景しか映し出さなくなったー。宇宙船に閉じ込められた少女の運命を描く表題作ほか、自ら創造したキャラクターが模型となって動き出すことになった少女の心の動きを描き、絶賛を浴びた「そばかすのフィギュア」、著者の原点ともいえるデビュー作「ブルー・フライト」など7篇を収録した新鋭の初作品集。
自暴自棄になっていたアダムは、リーとサミュエルの真摯な心に触れ、再び自己を取り戻した。双子にアロンとカレブ(キャル)と名をつけ、立派に育て上げると誓ったのだ。その間にも時はたゆみなく流れ、いつしかサミュエルも不帰の客となっていく。唯一変わらぬものは、アダムの胸中に宿るキャシーの美しい幻影だった…。やがて多感な思春期を迎えたアロンは、愛らしい少女アブラと出会い、ほのかな慕情を抱いてゆく。
アダムは子供たちに教育を受けさせるため、サリーナスの町なかへと居を移した。アロンとアブラの仲はいっそう深まり、弟キャルの胸には孤独感がつのってゆく。そんなある日、キャルは母の消息に接して驚愕する。だが、その秘密を知ったが故に、やがて自分が兄を悲惨な運命に追いやろうとは夢想だにしなかった…。『怒りの葡萄』で知られるノーベル賞作家が、原罪からの人間解放を旧約聖書の物語に託して描く畢生の大作。
真夏だというのに窓を閉めきった書斎で、飛行機の爆発事故の取材中の新聞記者が撲殺された。そばには、凶器と思われる真鍮の電気スタンドが落ちていたが、書斎は中から鍵を掛けられており、犯人が出入りできたはずはない。記者の死は、取材中の事故と何か関係が?休暇中に事件と出くわした統計コンサルタントのマギーは、犯人探しに乗りだすが…。好奇心あふれる人情家の素人探偵が、密室殺人の謎に挑む本格ミステリ。
夏の日の午後、私とレイシーは退屈な大学の研究室を出て、魔法瓶にジン・トニックをつめ、古いキャデラックに乗りこんでメキシコ国境へ向かう。国境の町の売春宿へ。妻とうまくいっていなかったレイシーは、そこで出会った美しい娼婦と恋に落ちるが-。表題作「娼婦たち」をはじめ、『さらば甘き口づけ』の続篇の冒頭部分「メキシコのリュウキュウガモ」、農夫だった祖父の葬式のためにテキサスへ帰郷する男を描く「石の墓標」、創作の秘密を語るインタビューなど、独自の男の世界がひろがる11篇。
麻薬密輸の取り締まりに命をかけるハードキャッスルとゲファー、ハマーヘッズの司令官となったエリオット将軍と副司令官マクラナハンたちが繰り広げる死闘。そして、大空に展開する迫力溢れる航空戦。全米でベストセラーとなった超大作軍事スリラー。