1993年9月30日発売
「本当の楽園だったときのペポニにいたかった」ペポニにまつわる話を集めるブリーンに思い出を語る者は、一様にそういう。惑星ペポニースワヒリ語で楽園を意味する名前のこの星に、人々はなにを求めたのか?宝石の眼を持つ大型獣の狩猟に命を賭けた凄腕ハンターのハードウィク、独立を望む原住異星人と人類の闘争の時代を生きた女性作家アマンダ…。さまざまな時代の生き証人たちが語る、楽園という名の惑星の年代記。
少年王ケルソンの右腕、モルガンとダンカンは、デリニの血を引くことを理由にとうとう教会から破門されてしまった。それからというもの、グウィネド王国ではデリニに対する人々の憎悪が再燃し、反乱は拡大の一途をたどった。そしてついに事件は起きたー。ケルソンの叔父の率いる王国軍が反乱軍に襲撃されたのだ。さらに、内乱に乗じて王国を侵略しようと、デリニを王に戴く隣国が戦の狼煙をあげた…。シリーズ完結篇。
おれの困った元上司・杉山が行方不明になったと、同居人の正雄が文字どおり泣きついてきた。どうやら失踪前にのめりこんでいた新興宗教団体が関わっているらしい。いくら困り者でも、行方不明とは穏やかではない。おれと麻美と正雄の三人は、杉山捜索作戦を開始した。倒立して瞑想すれば天上界に行けるという教義を信奉する世界倒立教会の中枢に、杉山救出のために潜入した三人を待ち受けるものは。シリーズ最終巻。
大富豪だった伯父が、わたしを遺産相続人に指名していた?売れないクラブ歌手のジェインには願ってもない話だった。これで貧乏暮らしともさよならできる。だが話はそう甘くなかった。遺産を受け取るためには、解決の見込みのない難事件を探し出し、独力で解決しなければならないというのだ…。史上初のボランティア世直し探偵登場の、新シリーズ第一弾。
老後を送る裕福な人々が住むフロリダ。ここにはその金持ちたちを狙って、さまざまな詐欺師が集まっていた。それを取り締まるため、新たな捜査機関が創設され、警察や財務省などからメンバーが派遣されてきた。その一人、女性警官のリタ・サリヴァンは、不思議な魅力をもつ天才的な詐欺師デイヴィッド・ラスボーンの調査をする囮捜査官になった。もぐりの証券業者、密輸関係者など、ひと癖もふた癖もあるラスボーンの仲間たちにも、捜査官が割り当てられた。やがてラスボーンは、仲間と共に、ふたつの大仕事に取りかかる。捜査官たちは彼らをぴったりとマークしていたが、ここで思わぬ事態が起きた。リタがラスボーンに心を奪われてゆき、捜査に支障が生じてきたのだ…。ありとあらゆる手を使って繰りひろげる巧妙な詐欺。そして、リタとラスボーンの危険な大人の恋。人気作家がしゃれたタッチで描くサスペンス長篇。
岡っ引の勘兵、人呼んで悪勘兵。飛田の廓でちょいと女郎に悪さして、長屋に帰れば同心・鮫島様のお呼びである。今日は新しいお奉行が江戸からお出でだ。畏って平伏したが、これで奉行が務まるんかいな。色白で頬はポッチャリ、膝を崩して横座り。こりゃ絶対に、隣のお小姓とでけてるで。おまけに名前が菅丹波守、ついた仇名がすかたん奉行。すかたん様、こんな平和な浪花の町で、あっと驚く大事件を探し出して解決させろなんて無茶を言う。勘兵、飲み友達の読本作家・西鶴爺さんに知恵を絞ってもらいに行くが…。
第二次大戦に第三帝国(独)が勝利した世界で、太陽の帝国(日)と対決する仮想テーマで1985年に発売された傑作ゲーム「レッドサンブラッククロス」を総集して誌上に復活する。
新劇女優の村上冴子は、アルバイト先の銀座のクラブで奇妙な探偵コンビに遭遇した。“眠り猫”と呼ばれる元刑事の仁賀丈太と相棒で元ヤクザの長田勲だ。仁賀は仏さまのように柔らかい表情を浮かべているが、やけにごつい体格をしている。一方、長田はまさにその筋の雰囲気だが、意外に繊細である。今までつきあってきた生半可な男たちとは明らかにちがう。この得体のしれない二人組に惹かれた冴子は、いつのまにか暴力団同士の抗争に巻き込まれ…。哀しくも凄絶な愛のかたちを活写する傑作・長篇探偵ブルース。
“人界は牢獄なり、ひとはこれ獄囚なり”聖徳太子の『未来記』の謎を追う神異僧・明恵は、淫道外法を操る尼将軍・北条政子と激しい戦いを繰り広げた。はからずも、高天原の秘密に迫る明恵は、闇の祭主・本霊日別が率いる高千穂御先衆につけねらわれることとなった。津軽の石塔山で、またしても太子の墓所を発見した明恵は、夢界の謎を探るため夢渡りを行ったが、それが原因で廃人同様になってしまっていた…。一方、平家の侍大将・悪七兵衛景清は、壇ノ浦に沈んだはずの三種の神器を追う。
父を亡くして憔悴しきっていたアンセラは、亡き父の友人フェリックス医師の勧めにしたがって南フランスへ向かった。ロシアの貴族フェオドローワ・セボロフスキー妃が、話相手になる看護婦を求めているという。だが、到着する早々驚くことばかり-。アンセラは散歩の途中で、社交界に渦巻く、唾棄すべき陰謀を耳にしてしまったのだ。その夜、モンテカルロのカジノを訪れたことから、アンセラはその渦の潮流に呑み込まれていく。