1993年9月発売
1948年、ロサンゼルス。飛行機工場を馘になった黒人労働者イージー・ローリンズは、家のローンを返すため、どんな仕事でも引き受ける気でいた。とはいえ、自分が探偵の真似事をして人さがしをすることになろうとは、思ってもいなかった。さがす相手は、黒人のもぐり酒場に出入りする美貌の白人女ダフネ・モネ。なにやら厄介ごとの匂いがぷんぷんした。だが、仕事の選り好みをしている余裕はない。イージーは手はじめにジャズ関係者が集う非合法のナイトクラブ〈ジョンの店〉を訪れ、そこでダフネを知っている黒人女を見つけだした。ところが、ダフネの居場所を聞き出すまえにその女が無残な撲殺体となって発見されたことから、事件は思わぬ方向へ。アメリカ私立探偵作家クラブ賞、英国推理作家協会賞の処女長篇賞をダブル受賞し、クリントン大統領からも絶賛された衝撃のデビュー作、ついに登場。
赤壁大戦の“反間の計”をはじめ、“草船で矢を借りる”“連環の計”“苦肉の策”などお馴染みの名場面が、中国の講談を通して興奮の人間ドラマに。曹操は徐庶〓@70AA統に裏切られ、孔明、周瑜の計略に切歯扼腕し、周瑜は孔明を蹴落とそうと策謀に忙しい。それぞれの思惑のそれぞれの赤壁を中国通の著者が活写。繊細と非情、機知と狡猾など人間味あふれる曹操が盛りだくさん。
赤壁大戦の“反間の計”をはじめ、“草船で矢を借りる”“連環の計”“苦肉の策”などお馴染みの名場面が、中国の講談を通して興奮の人間ドラマに。曹操と対峙しながら、周瑜は魯粛、〓@70AA統を巻きこんで、孔明と見えざる火花を散らす。それぞれの思惑のそれぞれの赤壁を中国通の著者が活写。碧眼に魅せられた周瑜、魯粛、陸遜ら賢才たちの素顔。呉三代の名華は赤壁の炎より赤い。好評、蜀・魏・呉三部作、完結編。
穏やかだった高円寺北口「純情商店街」にも変化の波が訪れた。スーパー・マーケットの進出計画が持ち上がったのだ。商店街は浮足立ち、反対運動を始めることを決めた。前後して「江州屋乾物店」では、ばあさんが脳溢血で倒れてしまい、隣の「魚政」は店をたたんで吉祥寺でラーメン屋を始めることになった。少しずつ街は変わり始め、正一少年もまた一人悩みを抱えるのだった。
一家の暗い宿命を負って生きた母が、九十一歳で長かった辛い人生を終えようとしている。その死の前後を静謐な文章で淡々と綴った、母への絶唱「愁月記」他、久しぶりに肉親たちや著者自身に関わる作品ばかりで編んだ待望の短篇集。七篇の収録作は、それぞれ『忍ぶ川』『白夜を旅する人々』など、著者自らの運命の系譜を辿る諸作品に連なるもので、短篇の名手が遺憾なく真骨頂を発揮する。
門を作った張本人、その名は山下啓次郎。おーまいごっど、オレのじいさんが建築家だと。ルーツ探しに旅行けば、出るぞ鹿児島、やっぱり西郷。山下清も乱入し、時空を越えた大騒ぎ。官軍、逆賊を叩っ斬れば、洋輔、ピアノを叩っ弾く。門を壊しちゃならねえと、反対門前コンサート。住民一気に盛り上がり、かつぎ出されたピアニストー。日本文壇をしゃばどびと震撼させた奇著を読め。
注意深く耳を澄ませば、海のうめきが聞こえてくるー。汚染、埋め立て、乱獲によって痛めつけられた海、浜を追われた漁師たち。着々と進む大規模な環境破壊は、人々の心をも確実にむしばんでゆく。浜辺の町に、腕利きの漁師である父親と二人で暮す少年健太と、都会からの転校生可南子、担任の若い教師紀子先生との交流を鮮やかに描き、海の素晴らしさを高らかにうたう心温まる物語。
恐怖のリストラが始まったー。全米有数のTVネットワークであるUSBは、財政悪化の難局を経費削減で乗り切ろうとするが、大実業家による乗っ取りが電光石火の早業で敢行された。解雇、自殺ー。同僚たちの悲劇に打ちひしがれ、自らも窮地に追い込まれた花形プロデューサーは、乗っ取りの黒幕に復讐を誓う。報道のあり方と企業買収の非情な論理を問う大型ビジネス・サスペンス。
禁忌の愛に取り憑かれた兄と弟の地獄絵…。誰をもその人外の官能の虜にする謎の少年の正体…。血まみれ芝居の一座で繰り広げられる愛憎の惨劇…。薄紫色に閉ざされた異次元の扉の向こうに足を踏み入れてしまった僕ら-。背徳の召喚歌に惹かれて魔術師の庭園に迷いこんだ、美しき生贄たちの六編の物語。
危険すぎる“恋”だから触れてみたい男・50歳・一流商社部長・妻子あり女・21歳・旅行代理店OL・独身一瞬の出逢いから二人の中に熱い時間…。この甘く危険なラブストーリーを小説化。
ネオナチの台頭に揺れる今日のドイツ的状況の萌芽はどこにあったか。西ドイツ過激派と国家の緊張が頂点に達した1977年秋、のちのドイツ右旋回の端緒となったルフトハンザ機のハイジャック事件が起きた。本書は、ハイジャック機に乗り合わせた女性科学者の克明な心理描写を通して、戦後西ドイツと今日の統一ドイツの底に一貫してうずまく〈暴力〉の問題に正面からメスを入れた、ヨーロッパで話題のアクチュアル・ロマンである。