1994年11月発売
長い平和の時代は終わった。また修羅の世界が-。縄文時代より連綿と絶えることなく戦い続けてきた超能力者たち。宇加美秀彦は、そういう特別な血のつながりの秘密結社の中枢「生樹御門の会」のリーダーだ。彼の娘、史織が、敵対する「八代の悪舟」に誘拐され、凄絶な戦いの火蓋が切って落とされた-。
奇寿部の柳斎の大鐘乳洞を隠密裏に改造したアジト奇御戸を「生樹の者」たちが人質史織の救出に急襲。瞬間移動、念動力、精神感応、空中浮揚、さらに得体の知れない妖獣・夷獣。それらを駆使しての、縄文人の戦いを彷彿させる、華麗、妖艶、惨烈極める戦いが両者の間に繰りひろげられる-。
空海、弁慶、佐助ら妖鬼退治の旅へと出発した一行と別れて、現代に戻って来た大学院生、高梨葉子は古文献を調べている途中、恐るべき発見をする。記述の中から、三蔵法師の足跡を示す部分が消失してしまったのだ。これは三蔵が本来の歴史に反して、死亡してしまったことを意味するのか。冒険ロマン第2弾。
21世紀、〈超恐慌〉に喘ぐアメリカ合衆国はローン債務者が激増。失業率は30%となった。そんな国民の窮乏をよそに政府の金の一部が不正に動く。通常のコンピュータでは手に余る、DNAの遺伝子配列の組み替え。その神の領域に挑戦すべく“自分で考え学習する”コンピュータが設計される。しかしその陰でうごめくグループには、第二次世界大戦で日本軍が行った細菌実験に異常に執直をもつ男が。第二のジュラシック・パークの呼び声高いテクノ・スリラー堂々登場。
パラヴォルヴ社にもぐり込んだマイケル・ライリーは“自分で考える”コンピュータのなかに“知能を持った”新しい命の胎動を感じる。一方、新種のウィルスを合成する研究所に、衛星モデムを経由して遺伝子を守ろうとするイントロンが侵入した。絶対に漏れないはずの細菌が外へ…。細菌兵器用の媒介生物は蝿にとりつき、DNAを吐きだし、ひとつの破壊命令を伝えながら恐ろしい速さで進化していく。最新のテクノロジーの恐怖が不気味なリアリティで迫る21世紀スリラー。
なげきつつひとり寝る夜のあくるまはいかに久しきものとかは知るー「あなたを幸せにする」そう約束してくださったはずなのに。持ち前の男ぶりの良さで人望と女たちの愛とを一身に集める夫、兼家への想いに身を焦がす日々。美貌の才女として知られた「蜻蛉日記」の著者、藤原道綱母の生涯を平安の王朝に鮮やかに染め上げた歴史物語。
ひとつの言葉が世界を変えた-万能著述支援用マシン“ワーカム”を結ぶニューロネットワークに、ある時、異次元言語空間が生まれた。ネット内で変容し増殖する異次元は、人々の言語中枢を侵蝕していく。そして世界は…。
江戸一の狂歌師になった塩売りの喧嘩政。美男の薬売りに恋焦れる独り身の裁縫師お若。悲しい時、淋しい時、人々が心を寄せ、身を寄せる、木戸番小屋のお捨・笑兵衛夫婦。出世作『深川澪通り木戸番小屋』を超えるたのしさ。江戸の下町を描いてNo.1。直木賞作家北原亜以子の泉鏡花賞作品『深川澪通り木戸番小屋』につづく傑作。江戸が流れ江戸が匂い江戸が溢れる長篇時代小説。
カナダを訪れたアンジェリクは、三十年ぶりに長兄ジョスランと再会することができたが、喜びも束の間、ケベック警察の執拗な追及の手が迫り、不安に脅かされる。しかもその背後には、三年前アカディアの森で殺されたはずの魔女モードリブール夫人が今も生きてるという恐ろしい疑惑が…。