1994年11月発売
3432年、銀河中枢リング部に位置する惑星アンコロートにイワン・イワノヴィッチ・ゴラチンが派遣された。謎のスーパー・ミュータント、リバルド・コレッロの陰謀が進行中との報告がもたらされたのだ。敵の動きを探る双頭のミュータントの前に、やがて正体不明の球型船が出現、コンタクトを求めてくる。だが、呼びかけに応じたゴラチンを迎えたのは、敵戦闘部隊の圧倒的な砲火だった。ゴラチンは必死の反撃を試みるが。
広い宇宙に不運な男は数あれど、メイ船長は特別だった。短気な性格が災いしてか、儲け仕事はすべてフイ。相棒の副操縦士にも裏切られ、辺鄙な惑星にとり残される始末。このまま泣き寝入りしてたまるか!とばかりに酒場で出会った若者デュークを副操縦士に雇い入れ、一攫千金狙って再出発したはいいものの、これがさらなるトラブルニつながろうとは…!?ユーモアSF活劇〈エンジェルズ・ラック〉三部作、堂々の開幕。
探偵稼業を選んだからには、気負わず事件にあたるのが解決への早道だ。それにしても、新年早々、どうしてラマに咬まれなきゃならないんだ。盗まれた羊を探すためだけに、動物園へ来たというのに。犯人は動物園に隣接する森に羊を隠したのか。わたしは森の奥へ踏みこむが、そこには予想もしない麻薬事件が待ち受けていた!ウェスト・コーストの風にジョークを乗せ、自然体で生きる私立探偵ヴィクター・ダニエル初登場。
四国の寺に生まれた光真は、既に三歳にして死を事実として認識していた。また育った時代も特異なものだった。就学前は戦前、小・中学校は戦中、高校・大学は戦後と大波に翻弄され通す。そしてその度に常識が価値観がクルクル入れ替る。そんな中で恋を求め主義を求め生きる光真の姿を詩情高く謳いあげた注目の問題作。
スイスから原爆情報をもって帰国した品川大尉は、横空勤務となる。捕虜の過去をもつ品川を、普通の部隊には配置できない。品川はここで、新鋭機のテストの合間に、対B-29戦闘の研究に励む。横空に次々に送り込まれる試作機は、いずれも画期的な翼たちだ。烈風、陣風、景雲、そして秋水と橘花-。サイパン奪取に失敗した米軍は、機動部隊で帝都・東京を襲う。これを迎え撃つ横空、厚木空の戦闘機は、多数の試作機で反撃する。
医師ジーキルは自ら発明した秘薬によって兇悪な人物ハイドに変身するが、くり返し変身を試みるうちにやがて恐るべき破局が…。人間の二重性を描いたこの作には天性の物語作家スティーヴンスン(1850-94)の手腕が見事に発揮されており、今も変ることなく世界中で愛読されている。映画化されること実に70回という。新訳。
殺人の疑いのある死に際会した場合、検視審問を要求するべきか否か。とある料理屋でピーター卿とパーカー警部が話し合っていると、突然医者だという男が口をはさんできた。彼は以前、診ていた癌患者が思わぬ早さで死亡したおり検視解剖を要求したが、徹底的に分析にもかかわらず殺人の痕跡はついに発見されなかったのだという。奸智に長けた殺人者を貴族探偵が追つめる第三長編。
うちのニワトリ小屋を荒らしているやつがいる。ショットガンを手に飛びこんだ農夫の前に、そいつが立ちはだかった。巨大な爬虫類のような頭部、鋭い鉤爪のついた前肢、太く長い尻尾。デイノニクス、はるか太古に滅びたはずの恐竜。やがて、次々に現われた恐竜たちはイギリスの片田舎の町を襲いはじめた…彼らは、いったいどこから。正真正銘、恐竜パニック小説の決定版。
K大学付属病院で医者をしている進藤潤は、職場も仕事も同じ大堂高史を想い続けていた。だが、学生時代より天才と称えられ、その整った顔立ちから、「冷たい瞳の皇太子」と異名を持つ大堂は、潤にとって遠い存在だった。そんなある日潤は盲腸で倒れる。何故か執刀医は大堂が受け持つことに…。お互いの胸の内を明かし、両想いだったことに気づく二人だったが、潤の不安は消えなかった-。同時収録「幸せになりたい」を含む、ふゆの仁子のハートエイクラブストーリー。
近頃、体の調子はいかがですか。京都で、マルセイユで、台北で…。疲れた女性たちに導かれて、世界各地で“癒し”のパワーを発揮する気功師雷蔵クン。彼の正体は。不思義なパワーの源は。芥川/三島賞作家が贈る、日本初のヒーリング小説、ついに登場。
暇と熟れきった肉体を持て余す、弓恵。夫は海外に単身赴任中。彼女の密かな楽しみは、出張ホストを呼ぶことだった…。女子大生の沙貴の元に、ある日ダンボール箱が送られてきた。送り主は不明、開けてみるとバイブレータとビデオがぎっしり詰まっていた…。29歳の梨絵は上司と二人きりでサイパンに不倫旅行に来ていた。マンネリ化した二人のセックスのカンフル剤として、若い娘を引っ掛けて3Pをしようとする魂胆であった…。友季子と夫とは冷えきった仲だった。学生時代の同窓会の帰り、ふらりとホテルのバーに立ち寄った。そこで初めて売春をしてみたが…。欲望に疼く女達が、次々貶められてゆく。