1994年11月発売
年二回開催されるマンガファンの祭典・コミックマーケット。数十万の人出で賑わうその会場でサークル「大きなお茶屋さん」のメンバーが次々と殺された。推理小説のファンクラブ「大きなお茶屋さん」では、美少女戦士が活躍するSFミステリ「ルナティック・ドリーム」の完結を前にして、各人が予想した結末をまとめた同人誌「月に願いを」を発行していたが、殺人鬼“影”は、大胆にも、その中に殺人予告状を挿入していたのである。その正体は何者なのか、動機は。狂気にいろどられた惨劇は、やがて意外な展開をみせはじめるが…。すべての謎をとくカギは、「月に願いを」に収められた7つの短篇ミステリに隠されている。同人誌をまるごと一冊挿入するという異色の構成で読者に挑戦する、新鋭の書下し「超」本格ミステリ。
時は22世紀。人類は反物質エネルギーの軍事転用に成功し、未曾有の最終兵器である対消滅炉を創り出していた。ところが、ふとしたきっかけで対消滅炉は誘爆を起こし、地球は大陸を失い、小さな島々を残すのみとなる。事件の背後に潜むのは、地球の支配を目論むゾルゲフ大帝。地球解放軍の若き司令官エリックは、劣勢ながらも敢然と征服軍に立ち向かうのだが…。地球の命運やいかに。
ついに大野木寛が冒険文庫に登場だ。ギャグ、ギャグの嵐、嵐なのだ。テンポのいいギャグは大野木寛ならではの面白さ。銀河の鉄人、大宇宙の剣侠児。ジャスティン・ザ・ロケッツを中心に巨乳を持つネエちゃんたちが崑崙山を目指して繰り広げる冒険の数々。変なキャラたちの変なギャグはこの世知がない世の中のビタミン剤となっておおいに笑わせてくれるはず。
ガウロンドラバス帝国からの脱出に成功したライジィ、プリム、ローエン、アーティカの4人は、圧政をしく皇帝ラーケンに反旗を翻すべく立ち上がった。反帝国軍とともにリグマハーン大陸をゆくプリムたちを待ち受けるものは何なのか。これまで描かれることのなかった、ワースの神話の時代を記した『神聖刻記ブリーダーズ・ワース』が、ここに堂々の完結を迎えようとしている。
日本初の有人スペースプレーン・天翔の第一パイロツト・篠原は、第一回目のフライトで、壊れた人工衛星の回収を命じられる。第二パイロット・吉野の不注意で、危うく宇宙空間に放り出されそうになりながらも、無事に初フライトを成功させ帰還した篠原達だが、回収してきた衛星に重大な事実が判明する。何者かによって故意に破壊された形跡があるというのだ。いったい誰が、何のために、どうやって。謎が深まる中、天翔の第二回フライトのメンバーが発表された…。
子供の恐怖心を煽る「怖い童話」は、何故語り継がれてきたのか。-童話のなかに潜む残虐さと暴力、死と性のイメージを浮き彫りにし、人間にとっての恐怖の意味を探る、斬新なメルヘン論。
互いにそれと知らぬまま、莫大な遺産相続をめぐる奇妙な争いに巻き込まれてゆく従兄弟のジョルジュとフレッド。犯罪都市パリに繰り広げられる抗争は、アルプス山中の銃撃戦というクライマックスに向けて加速する。スピーディーな場面転換と全篇を彩るブラックユーモア。鬼才エシュノーズが放つスリリングな物語。
京都洛西、苔寺として知られている西芳寺の門前にある茶店の娘秦春香は、子犬の鳴き声が気になって外へ出た。竹林で鳴く子犬を追って行くと、そこに朱鷺色の和服を着た三十歳前後の女性が死んでいた。その女性と子犬は関係があるのか、警察は事件の解決に動きはじめたが、子犬は春香が引きとりモクベエと名づけた。ようやくモクベエの飼主を春香は探しだしたが、事件解明は進展せず、茶店の客の縁で宮之原警部の登場となった…。
フードゥーの呪い、怖るべし。グランド・キャニオンのようなでっかいエゴをもてあまし、非道の限りをつくす白人牧場主に天誅を下すべく、ループ・ガルー・キッドは秘伝のフードゥー教の呪いを発動させた。シュールなブラックユーモア、過激なパロディ…、現代アメリカ黒人文学最大の鬼才、イシュメール・リードが放つ、黒い笑いに満ち満ちたオカルト・ポップ・ウエスタン小説。
失恋からコンピュータ犯罪の片棒を担ぐにいたる微妙な女性心理の動きを描く表題作。『火車』の原型ともいえる「裏切らないで」。切なくあたたかい「ドルシネアにようこそ」など6編を収録。日々の生活と幻想が交錯する東京。街と人の姿を鮮やかに描き、爽やかでハートウォーミングな読後感を残す。宮部みゆきワールドを確立し、その魅力の全てが凝縮された山本賞受賞前夜の作品集。
紀元一世紀のブリテン島。ローマ軍の侵攻によりケルト諸部族は次々と平定され、いまや島はローマ化の一途をたどろうとしていた。そんななかで、ケルト穏健派の大ドルイド僧の孫娘エイランは、ローマ人の青年士官ガイウスと出会い、恋に落ちた。しかし、対立する民族の血をひくゆえにふたりは結ばれず、エイランは巫女になる道を選ぶが…。滅びんとするケルト人の運命を描き、〈アヴァロンの霧〉の前史をなす三部。
アメリカ南部の都市チャールストンで、戦慄すべき連続殺人事件が発生した。一見何のつながりもない九人の老若男女が殺し合いを繰り広げたのだ。捜査を担当するジェントリー保安官と被害者の娘ナタリーは、訪れた精神科医のソールから驚くべき事実を打ち明けられる。事件には、人の心を自由に操る能力者、マインド・ヴァンパイアが深く関与しているというのだ。ブラム・ストーカー賞をはじめ数々の賞に輝くホラー超大作。