1994年4月15日発売
温泉旅行に出かけようと長距離バス乗り場にやって来た三姉妹。ところがバスはとっくに出発してしまっていた上に、長女・綾子が強盗に遭遇、人質として連れ去られてしまった。次女・夕里子と、その恋人国友刑事、三女・珠美のドタバタ捜査が始まった。綾子は無事なのか?強盗の正体は?好評第八弾。
小さな社宅を出て、郊外のモダンな団地へ引っ越したナオコ一家。オリンピックを目前にして、エネルギッシュに変貌してゆく昭和30年代の東京を舞台に、少女の目を通して語られる街の表情、時代の息吹き、そして友だちや家族の肖像。団地第一世代の著者が、みずみずしい筆致で描くシックスティーズ・メモリアル。
国王によって、故郷ポアトウの邸に謹慎を命じられたアンジェリクは、地元の新教徒を弾圧する軍隊の暴虐に耐えかね、ひそかに反乱の首謀者たちと手を結んだ。しかし、そのためにある夜、竜騎兵の一群に自邸を襲われる。凌辱され無残に愛児を殺された彼女の絶望の闘いが、この時からはじまる。
ポアトウの反乱の首謀者として追われるアンジェリクは、幼い娘オノリーヌを連れて放浪をつづけていたが、港町ラ・ロシェルの新教徒の商人に救われ、その家庭に身をひそめる。だが、日一日と身辺の危険はせまり、ついに国外へ脱出する決心をする。その時、入り江に一隻の正体不明の船が…。
ハリウッド、ローマと映画界のきらびやかな世界に生きてきたジャック。中年にさしかかり実績を残し、煩わしいながらも平穏に結婚生活を送ってきた。ある日、仕事でヨーロッパを訪ねたジャックは旧友と会い、過去の記憶をたどっていく。過去は現在と重なり、魅惑的な恋物語を紡いでいく傑作恋愛長篇小説。
洋子の叔母・みどりは自由に、奔放に生きる女神のような女。洋子は叔母のように生き切れず、結婚を選んだ。しかし、その結婚が破れた時、洋子が戻ってきたのはみどりと、その仲間たちが棲む花園だった。既成の恋愛関係、男女関係という概念とは無縁に生きようとする男女の喜び、悲しみを描く恋愛小説。
デヴィッド・リンチの『ワイルド・アット・ハート』から闇という闇をぬぐいさったら?そんな白痴的な光の世界がここにはある。ヘヴィメタルな真夏の太陽の下、光の彼方へ駆け抜ける世紀末の最強ロード・ノヴェル登場。
“仮面”を替えたまま日常空間で演じる、妖しい魅力にとり憑かれた小川弓子と小川五月の“女ふたり”。魔訶不思議な世界を精巧な筆致で描く、直木賞作家の長編幻想ミステリー。
高名な詩人を父に持つ武井遵は複雑な生い立ちとつねに犯罪の影がつきまとう男だった。父の名は金素雲、詩才豊かなばかりでなく日韓文化交流にも多大な貢献をした人物でもあった。その武井が実生活では宝石強奪強盗殺人事件、史上空前の26億円ニセ札事件と立て続けに引き起す。武井の屈折した人生の軌跡を丹念に辿り犯罪に至る過程をあぶり出す。
「天使の技」を駆使して快勝を続ける、天才プロ・ゴルファーの八百長疑惑。次々に起こる死と脅迫。その謎を追って行きついた所は、山奥の小さなゲイの町だった。元ロック・シンガー、死の商人、スキンヘッドのドラッグの売人たち、性転換者…。異様な人間が交錯する奇想天外な殺人劇とプロ・ゴルフ公式戦での八百長トリック。まったく新しいミステリー誕生。
盛夏を感じる七月下旬、熊谷の荒川河川敷きで溺死体が発見。県警の捜査で、上流にある八高線鉄橋付近で列車から転落した可能性が推測された。その数日後、高崎市内でマンション住人が花火大会を観ていて墜落の通報があり、事故死と確認されたが、何故かその部屋は密室状態であった。何の関連も見られない二つの事故と思われた出来事が、調査の結果、保険金殺人事件と通底する事を突き止めた捜査陣だったが…。
都心へ向かう私鉄沿線の駅を降り、繁華街を抜け、ゆるやかな丘陵を十分ほど歩いて行くと、甘い花の香りに包まれて、その白いマンションはあった。都会近郊のどこにでもあるようなこの集合住宅に住む人々の生活を、もしあなたがなにかの拍子で垣間見たとしたら…。人間の深層に圧し隠された願望そして欲望の扉が解き放たれたとき、そこに見出すものは、存在したかもしれない、あなたのもう一つの別の人生…。