1994年4月30日発売
ニューヨークのマンハッタンにとつぜん黒い謎の飛行物体が何機も現われ、高出力のレーザーを発射しはじめた。都市全体を土地や建物ごと陸地から切りはなそうとしているのだ。つづいてマンハッタン全体をシャボン玉のような膜でおおった。さらには、直径百キロメートル以上もある巨大な黒い宇宙船が出現し、マンハッタンをまるごと吊りあげて地球外へと運びだしてしまった。異星人の宇宙船に誘拐された人々の運命は…。
巨大宇宙船の内部に都市ごと収容されたマンハッタンは、透明なドームで密閉されていた。宇宙船内に広がる灰色の大平原には、同じように他星系から誘拐されたドーム都市がいくつもあった。この宇宙船は知的生命体の都市を集めているのだ。ここは、巨大な動物園なのか、それそも実験室?ほかのドームの異星人とコンタクトし真相を探るべく遠征隊がドーム外へ抜けだすが…破天荒な設定と壮大なスケールで描く冒険SF。
不仲だった息子を殺され、父親として何もしてやれなかったことを悔む弁護士ライアンに意外な依頼が舞い込んだ。殺害容疑者である息子の妻ジェニファから弁護してくれと頼まれたのだ。彼女は無実を主張していたが、事件の直前に息子と口論しており、有罪であることはまず問違いない。だが、ジェニファが息子の赤ん坊を宿していることを知ったライアンは、わが子を殺したかもしれない女の弁護を引き受けることを決意する。
ジェニファの有罪を示す証拠が続出し、弁護側の旗色はわるくなる一方だった。そんな折、ライアンとジェニファは何者かから狙撃される。一命はとりとめたが、彼女は腹部に弾丸を受け、赤ん坊は即死。ライアンは彼女を弁護する理由を失ってしまった。だが彼は無実を叫び続ける彼女に心を動かされ、弁護し続ける。果たして彼女は無実なのか。ライアンは無罪を勝ち取れるのだろうか。全米ベストセラーの法廷サスペンス。
中立国スペインのカディス港に停泊するドイツ商船カイザーホフ。その正体は、50隻の小型潜水艇を収容する潜水母艦だった。もしこれが出撃すれば連合軍にとって大きな脅威。キャメロン少佐は海軍情報部より同船奪取の命を受けてスペインに潜入する。だがそこで待ち受けているのは、敵味方さえ定かならぬ諜報戦。しかも折悪しくカディス沖には米海軍機動部隊が接近中だった。はたしてキャメロンの奪取作戦は間に合うか?
第二次大戦中にゲーリングが集めた高価な絵画。その一部を買った人物のリストを、国際テロリスト、ユルゲン・シュトラッサーが手に入れた。シュトラッサーは、東ドイツの情報機関シュタージでテロリストの訓練教官だったが、東西ドイツが統合されシュタージが消滅すると、独自に活動を始め、西ドイツ赤軍派の再建に取りかかっていた。シュトラッサーは、リストをもとに新たな活動資金を得る計画を立てた。リストに載った人物を襲つて絵画を奪い、闇のマーケットに流そうというのだ。が、CIAとモサドの共同作戦により、二人の情報部員が彼の後を追い始めた。一人は、CIA対テロリスト課の精鋭マイク・セムコ。元デルタ・フォース隊員でシュトラッサーに殺された同僚の仇を討とうと心に誓っていた。もう一人は、モサドの女性部員レイチェル。彼女もまた、この作戦に特別な感情を抱いていた。だが、共同で追跡を始めた彼らのほかに、ロシアの対外情報部SVRもシュトラッサーを追っていた。壮絶な追跡の末に、やがて明かされる衝撃の事実とは?熾烈な情報戦の中で、プロフェッショナルたちが繰りひろげる果てしなき死闘。ひねりの効いたプロットで描く白熱の冒険アクション。
欲望秘書課長・野見山将介は、前から狙っていた大物代議士の美人秘書を口説き、濃蜜愛を交わした後、彼女から相談をうけた。野見山の親友・藤田の死についてだ。藤田は一週間前、秋川渓谷をドライブ中、誤って転落死した。彼は代議士の山荘へ五億円の闇献金を運搬していたのだ。事故後、現場から現金は消えていた。表沙汰にできない事件だけに内密に調べてほしいという。早速、藤田未亡人を自慢の巨根で蕩けさせ事情をきくと、事故当夜、車には女性が同乗していたらしい。しかもその女は巾着の持主ということだった。
「よし、Z旗一旒!」大和のメインマストに赤黄青黒四色のZ旗が翻った。「皇国の興廃この一戦にあり。各員、一層奮励努力せよ」を意味する、連合艦隊の勝利と栄光の象徴が掲げられるのは、この大戦で通算3度目そして史上通算4度目だ。第一艦隊を率いる近藤信竹大将は、ウィリス・リーの第一任務群と遭遇していた。正面の空には、グラマンF6Fヘルキャット約200機が双眼鏡に認められた。日本海軍誕生以来、最強の戦艦群を率いて米海軍の最新鋭戦艦と戦う一大決戦。完結篇。
スルターニアはイル・ハーン朝の時代に夏の宮廷が置かれた北ペルシャの美しい都である。二人の従者を連れた男は、スークの一遇にある奴隷商人からトルコ系の美少年を買い求めた。それより前、男はエルブルズ山脈の鋭い稜線に落日がかかる二基の小塔に影を落していた。塔は白茶けた髑髏で覆われて暗い眼窩に鬼火が点っていた。ナービルと呼ばれた男は尊師の命を受けて、奴隷を買い付けにやって来たのだ。彼の眼にはティムールへの激しい憎悪が燃えていた。その頃、ビザンツの鷲アレクシオスの一行も都に旅装を解いていた。
リアチュールは、花枝と癒しの場に満ちあふれた至福の街であった。火の神ベイモットに初めての献花をささげる成人の披露目の感謝祭を一週間後にひかえたその日、王女ガレイラは氷の魔王グラーダスの呪いの矢を胸にうけてしまった。魔王の花嫁となったガレイラは、父王、母王妃を惨殺して圧政をしき、花の都はみるかげもなくなった。泉の国キアンの王子ゼスを戴いた同盟諸国の使節団が、リアチュールの様子をうかがいに荒廃した街へとやってくるが…。
泉の国の第二王子ゼス・キアロス率いる同盟国軍は、氷雪吹きすさぶ極寒の地シュラバーンを、氷の魔王グラーダスの居城へと向けて苦難の遠征を続けていた。魔王の花嫁となった氷結の姫君ガレイラと、花枝の化身リアチェとに引き裂かれた奇しき運命の魂は、果たして救われるのか?快活な火の巫女ヴィルの恋の行く末は…?同盟国軍の前に立ちはだかるのは、魔王の狡猾な下僕たちばかりではなかった。星雲賞連続受賞で注目を集める著者が、渾身で綴りあげる異世界ファンタジーの精華。
地中海でのリビア攻撃作戦からの帰途、超巨大空母「米賀」はメッサーシュミットME109を主軸とするリビア空軍機とウイスキー級潜水艦の攻撃を相次いで受けた。今やカダフィにとって「米賀」と日本はイスラエルやアメリカと同じ憎むべき聖戦の相手となったのだ。カダフィは空母3隻と駆遂艦12隻を擁する大機動部隊を「米賀」追撃のために派遣。リビア機動部隊はマラッカ海峡を越えて北上し、マレー沖海域に至った。第7の空母「米賀」の藤田提督は、新型栄エンジンに換装した零戦百機からなる攻撃隊の出動を決意。南太平洋の空に一大航空決戦の火蓋が切られようとしていた。
エロスと死、残酷と幻想、毒と禁忌、悪意と愛-マンディアルグの世界は三島由紀夫や谷崎潤一郎との接近によってさらに豊穣な実りをもたらした。神秘的な女主人公の死の儀式を執行する四人の日本女性に捕えられた男の体験を描く「薔薇の葬儀」をはじめとして、作者晩年の傑作を収録した短篇集。
尾崎紅葉と幸田露伴の初期作品各一編「二人比丘尼色懴悔」「対髑髏」について簡潔明解な頭注を付け、ハンディーなテキストとして編集。補注並びに同時代評を付け、巻末には略年譜を添えて読解の便をはかった。
チャイコフスキーコンクールで優勝を果たしたクラレスとスターシュ。名器「レギナ」を手放したスターシュに、クラレンスはグァルネリ作の「ディアボロ」を紹介した。憑かれたように練習を続けるスターシュをクラレンスは案じていたが、彼らは素直になれずケンカ別れをしてしまう。気まずいままスターシュはデビューのためNYへ飛び立ち、クラレンスはショパンコンクールへ向けて猛練習を重ねた。そんな時、クラレンスはジョルジュから意外な告白を受ける…。