1994年5月15日発売
江戸日本橋の袂で晒し者にされた3人の女の肌に朱書された「公方様御側妾棚ざらえ」の文字。将軍吉宗に赤恥をかかせんとする尾張宗春は、甲賀忍者御土居下組と尾張柳生に密命を下す。対するは江戸柳生と伊賀忍群。幻怪眼を奪う忍法戦。
徳川治世転覆を狙う森宗意軒の大陰謀に対決しうるのは十兵衛のみ。生前の剣豪の面影など微塵もなく、殺戮マシーンと化した「転生衆」たちの凶刃に如何なる技で立ち向かうか。忍法帖の金字塔、壮絶無比の大死闘は、いよいよ最高潮に。
故国フランスを逃れて、アンジェリクは新教徒たちと共に、海賊レスカトールの船で新天地に向ったが、船の行き先をめぐって、海賊と新教徒の間に不穏な空気が生じる。苦悩する彼女を船室に呼んだレスカトールは、不意に黒い仮面を外した。恐怖の声を上げたアンジェリクが見たその人の顔は。
氷の海、嵐、新教徒の反乱…。多くの危機を乗りこえ、アンジェリクたちの船は、虹のかなたの約束の地にたどり着いた。船上で再会した最愛の夫、ペイラック伯爵ジョフレの指揮の下、未開の土地で新しい苦難に満ちた生活がはじまるが、そこにはまた、二度目の奇跡の出会いが待ちうけていた。
1930年代、アメリカは貧しかったが人々の心は暖かった。レキシントン通りの半地下で育ったクロード坊やはアパートの窓から道ゆく人の足を眺めて大きくなった。部屋にはなぜか白い小さなピアノと壊れかけたラジオが置いてあり、少年はやがて不思議な音楽の世界へと引き込まれていく。やがてー。
タクシー・ドライバーをしている逞しい母の手で育てられた天才ピアノ少年クロードは、近所の楽器店の主人の手助けで著名な音楽家の知遇を得、世界的なピアニストに育っていく。美女との目くるめく愛、ライバルとの確執、そしてカーネギー・ホールに至る華やかな道程を描く愛と感動のサクセスストーリー。
重役いうのも、ツライもんでっせ。いびられ、こき使われて三十年。大阪の商社の総務部長が肩書で、春闘に株主総会、ゴルフコンペまで、気ィの休まる暇もありません。エゴは上司に共通で、これにヒステリーまで加わると、下の者は堪まりません。念願の取締役の末席に就いて、二年首がつながったものの、その間に常務に昇格せんと会社に残れるかどうか…。ここだけの話、サラリーマン重役の本音、教えたげます。
フィリピンの有力な貿易商が京都清水寺で刺殺された。ガイド・森麻子の一瞬の隙を狙っての犯行だった。麻子の夫・一郎は、特ダネをものにして名声を得たいと焦っているルポライター。友人のライター・石川利一の協力を得て事件の取材に乗り出す。一方、京都府警・狩矢警部の捜査が始ったやさき、石川と、前年に商社員の夫を事故でなくした野村亜矢子の死体が哲学の道で発見される…。長篇本格推理。
単身赴任で独り暮しが始まった風見淳太郎にとって、最大の悩みは“退屈”だった。なにせ酒は飲めない、スポーツは嫌い、ギャンブルも体質的に駄目とあっては時間の潰し様が無いではないか。ふとした事で他人の手紙を盗み読みした瞬間、無上の悦楽を感じますますその悪癖にのめり込んで行く。しかしそれが連続殺人につながり警察の目が光り出す…。
京阪神の新興都市・城南市が導入した最先端のコンピュータシステムにトラブルが続出した。住民票の改竄に始まり市の事務処理が大混乱に陥ったのだ。何者かがコンピューターに侵入、データを改竄しているらしいーやがて姿なき犯人は五億円を要求してきた。警察の必死の捜査にも拘らず犯人たちの姿は見えてこない…。ハイテク犯罪に鋭く切り込む長篇推理。
新宿派出所は、婦人警官ばかりで、そのソフトな雰囲気は人気があった。派出所には、英明玖美警部補以下5人の婦警がつめていたが、彼女たちには裏の顔があった…。交通事故で知った女性が、見知らぬ男性に自宅を乗っ取られたと訴えてくる。明玖美たちが裏で調べ始めると、金と欲に汚れた人間関係が露に。彼女たちが、鋭敏な頭脳と美貌で悪人を出し抜き、不動産を乗っ取り返して大金を手にする、華麗なる泥棒世界。