1994年7月25日発売
ラグビーのチームメイト・宏樹を狂おしく想い続ける隆之、18歳。20歳の年上のカメラマン・北崎との関係に傷つく都、18歳。それぞれの悩みを共有しながら、ピュアな生を疾走する、みずみずしく切ない青春小説。
個性尊重の全人教育を唱え、昭和の初めに創立された玉川学園。園内に住む少年の眼がとらえた開戦前夜から終戦までの日々。都市部から離れているため、どこかのどかなところのある学園にも-戦闘機の空中戦、陸軍の装甲車の駐屯、農家への買出しや疎開-戦争は次第に、そして確実に忍びよってくる。幼き戦争体験を軽やかに描く傑作長篇。
駿河湾沖海戦で、アメリカ艦隊を撃破した藤原ら日本の自衛軍だが、双方の被害は甚大であった。さらにアメリカ側の巧みな情報操作で日本国内の世論は、自衛隊に対する非難も強まっていた。そうした四面楚歌の中で、藤原たちはアメリカ側の反撃を確信しつつ、新鋭戦闘機ランをスクランブル待機させていた。やがてアメリカは、状況打波のために、遂に核ミサイルを使うという噂が流れ出した。日米間は最悪の状況を迎え始める-。
サファイアの青のイメージで彩られた、西欧とオリエントの幻想的なからみ合いを描く表題作の他に、ユルスナールの実父の新婚旅行に想を得た「初夜」、イタリアを舞台に、地中海世界の呪縛からの解放をテーマにした「呪文」の三編を収録。初期の未発表短編を詩人の清新な翻訳でおくる。
OL三年目にして会社を辞めた麻子は、旅先で美しく有能な女性・ヨーコに出会う。同い年でありながら仕事も結婚もスマートにこなすヨーコは、麻子の自慢の親友に。ところが、そのヨーコが妻子ある男との不倫に溺れはじめた。しかも相手は口先だけの男。次々と繰りだされる嘘にこりもせず一喜一憂し、次第にボロボロになっていく…。“愛さえあれば他に何もいらない”彼女の涙を前に、麻子はうんざりしながら思う-一体それは愛なのだろうか?