1994年9月10日発売
赤坂絢子-ヒロイン「マナコ」を演じる女優が作者・寺脇滋有の目を惹いた。稽古から上演へと「マナコ」を介して、二人の関係は急速に深く濃密になっていく。一途に燃え盛る絢子の恋慕。狂おしい歓びと悔いの暗いうねりに翻弄される滋有。悲劇への予兆をはらんで二人の舞台は楽日へと突き進む。
生涯不婚。職をもたず、酒も呑まない。-その男。だが、森の奥に棲む動物の匂いがする。父親の親友であり母親とも微妙な関係にあったその男の、軽やかにも、深い断念をつらぬく生き方を見事に浮び上がらせた表題作ほか2編を収録。
中国春秋時代の大国晋の名君重耳に仕えた趙衰の子趙盾は、父同様晋の宰相となるが、自らが王に推戴した夷皐と対立せざるを得なくなる。王とは何か臣とは何か、義とは何か信とは何か。宰相として国を支え続け、歴史とかかわってゆく趙一族の思想と盛衰を、透徹した史眼と清冽な筆致で描いた長篇歴史ロマン。
聡とぼくは仮眠室の「起こし屋」。昼間の毒気を吐きながら、養分を貪るように眠るモーレツ社員たちを、うまく目覚めへと導くのが仕事だ。ところがある日、自動起床装置が導入された…。眠りという前人未到の領域から、現代文明の衰弱を衝いた芥川賞受賞作。カンボジアの戦場への旅を描く「迷い旅」を併録。
水滸伝に迫る興奮の活劇とミステリー。名判官包拯と義侠たちの活躍を描いた、清代の有名な講釈師、石玉崑の講談小説を完全翻訳。大宋帝国の四代皇帝、仁宗の御代、「猫と太子のすり替え」事件を始め、名判官包拯の冴えた推理が小気味よく悪を懲らしめる裁判小説と、個性あふれる南侠、北侠、双侠、五鼠ら十数名の義侠たちが縦横無尽に活躍する武侠小説。ご存じ、時代劇の定番、大岡政談のもととなった謎解きに、水滸伝のアクションをミックスした興奮の一冊。
水滸伝に迫る興奮の活劇とミステリー。名判官包拯と義侠たちの活躍を描いた、清代の有名な講釈師、石玉崑の講談小説を完全翻訳。大宋帝国の四代皇帝、仁宗の御代、盗まれた三宝を取り戻さんとする南侠展昭と、彼のあだ名、御猫が気に入らぬ錦毛鼠こと白玉堂の息詰まる駆け引き。皇帝の叔父でありながら朝廷に反旗を翻した襄陽王に対し、尽忠報国の正義、義侠としての大義を旗印に、開封の三侠五義ら英雄、好漢が相携えて立ち上がる。