1994年発売
大東亜戦争も4年目に突入した年の瀬、横須賀港に沈黙したままの軍艦があった。時代に取り残されたといわれる超弩級戦艦『扶桑』である。そしてそれを見つめる男がひとり。大日本海軍提督・犬田文璽。彼も時代に取り残された存在だった。彼は『扶桑』と同じく活躍の場を失った『山城』、『伊勢』『日向』に「死に場所」を与えようと、極秘作戦を画策していた。それは行き詰まった戦局を打開する日本の最後の手段であったのだ。彼の元に組織からはみ出した無頼が集まった。アメリカ帰りの参謀・犬坂、次席司令官・犬村、天才飛行機乗り・犬飼、水雷屋・犬山、砲術屋・犬川、魚雷艇乗り・犬江、駆逐艦艦長・犬塚、そして次席参謀の金碗…。それぞれの思いが交錯するなか、四戦艦は太平洋へ乗り出す。物量で戦局をリードするアメリカ軍を相手に、はたして彼らは勝利を得ることができるのだろうか。戦艦マニアの著者が自信をもって描く迫力の海戦小説。読者興奮の歴史キャラクターノベルズ第2弾ここに登場。
隠密絵師として九州から江戸へ上る朝霞桔梗之介は、山陰・津和野の寺で一夜の宿を借りた。ところがそこの住職が、かつて斬殺した女の呪いに取り付かれ、奇妙な病に苦しめられていることを知る。助けを求められた桔梗之介は一計を授けるが…。出雲路、袖振りあった人々の悩みを解決し、悪人を懲らしめながら、色事絵師の旅は続く…。長篇痛快時代小説。
朱佐と再び会う為に乗った飛行機内で秋士は意外な男と会う。そして東京の喧騒の中で再会。人の愛憎が隠れた街。12年前に別れた母に求められて再会。人の思惑に絡まれた時。偶然が偶然を誘い、一人の少女を巡って事件が起きる。巻き込まれた秋士。こんな街でもこんな時でも朱佐の側に居られるなら。近端夏也子が貴方に贈るロマンチックサスペンス。こんなに愛しているのに、と誰かが言った。
東光ショッングセンターに勤める斑尾恭一は帰宅途中に妖物に襲われる。そこを救った花王良汰は新入社員。運命の出逢いだった。二人の禁じられた恋を怪奇事件が阻む。美男上客、九曜辰巳が恭一に迫る。レジを打ちながら禁断の三角関係に悩みながら妖物と闘う。なんで俺が、なんで営業中に。明かされる東光SCの秘密。絶えない苦労。野梨原花南が貴方に贈る愉快痛快奇々怪々恋愛小説。
昔、外国はファンタジックワールドだった。想像してドキドキした。外国映画のスターに憧れた。キスシーンを夢みた。今、もうドキドキしない。想像しないから、できないから。いつから異国での恋、異人との愛はできなくなったんだろうか。ファンタジックワールドは存在できなくなったんだろうか。と思っていたら、それは同人誌即売会に存在した。そこに恋する国がある。愛する人がいる。昔も今も変わらない恋愛がある。現実からもっとも遠く近い何処か、ファンタジックワールドは何時も存在する。ドキドキする為に…。
この本の主人公織田大介は、法律学究で、少林寺拳法の達人である。彼は「法の死角にこそ、弱者を救う道がある」と考える。彼の奇略は、六法全書の中にひそむブラックホールに仕掛けられる。そして弱者の立場を見事に逆転させる。現代版〈仕掛人〉の誕生である。
トンデッリの処女作は、ボローニャ周辺の青春群像を描く、6つの短編から成っている。作者の体験が投影された同性愛の世界が、ごく自然な、現実的な世界として、スラングを多用した独特の話言葉で語られる。セックスとドラッグ、学生運動と放浪に明け暮れる70年代の若者の姿が、リズミカルな話し言葉を基調とする、過激でセンティメンタルな文体でつづられる。登場人物の多くが同性愛の青年たち。かれらは、かれらなりの自由を求めてヨーロッパを旅する。読者はゲイ・ロード・ムーヴィーとでも言うべき世界にいざなわれる。
元警察官で探偵事務所を開業する橋本のところに、奇妙な位頼が舞い込んだ。廃線となった広尾線幸福駅の切符を買い、駅の壁に絵馬をかけて来い欲しい、というのだ。切符を届けに位頼人の部屋に入った橋本を待っていたのは、飛び散る血痕と、事件を捜査している十津川警部だった。表題作他4編の傑作短編集。
長い年月の底に沈澱した複雑怪奇な人間模様、エゴと欲望に憑かれた男女の群れ…。病院再建に取り組む医師を待ち受ける、怖るべき陥穽と陰謀。日本最大規模の福祉法人の秘められた荒廃をミステリアスに描き、福祉の未来を問う衝撃の書き下ろしノンフィクション小説。
V・I・ウォーショースキー、キンジー・ミルホーン。今やミステリーは女探偵の時代。しかし、かつて探偵は男の専売特許だった。1864年、女探偵が初登場。南北戦争時の10セントノベルから、本格ミステリー、ハードボイルド、サイコサスペンスまで、120年間300冊に描かれた女探偵を徹底分析する。彼女たちの犯罪解決法は?仕事と私生活は?恋愛と結婚は?物語にうつしだされた女性像を解き明かし、新しいミステリーの可能性を提示する、刺激的な評論。
カレン・ニューマンはニューヨークに住む有能な会社役員。ハロウィーンの夜、彼女は娘と電話でおしゃべりを楽しんでいた。ところが、その途中で娘の家にチンピラ集団が押し入り、残忍なレイプのあとで娘を殺害する。この犯罪の一部始終を電話で聞き、伝聞証人となったカレンだが、アメリカの法は彼女に冷たかった。カレンはやがて、実質的に犯人を守ることもある法に業を煮やし、自讐という考えにとりつかれていく。かつて、ほのかな恋心をいだいたFBIマンを敵にまわし、みずからスパイとなってまで、自讐活動にのめりこむカレン。はたして、その行く末は…。都市暴力に悩まされる現代女性の心理をこまやかに描く、サイコロジカル・サスペンス・スリラー。
29歳のハンサムな青年クリシュナン・ヘムカー通称サニーは、LAの病院に医学実習生として勤務しているが、実は彼がアラブ系テロリストであることは誰も知らない。その彼のもとにある日、電話が入る。「ニューヨークにアパートが見つかったわ」長年待ちわびた任務遂行の日がついに来たことを悟ったサニーは、すぐさまニューヨークに向かい、次の指示を仰ぐべく新聞広告で見つけた司令塔の女性の部屋を訪れる。「7月1日に行なわれるカナダ自治記念日の祝典か、あるいは7月4日の独立記念日に自由の女神像の前で行なわれるセレモニーのどちらかで、彼を仕留めるのよ」そう言って渡された1枚の写真。そこに写っていたのは…。超高速テンポで読ませる暗殺スリラー。
ベッドでみつけた博美の股の付け根にある親指大のヤケド。以前、グレていたときチンピラに入れ墨されたので、タバコの火で焼いた跡だという。鈴木はビビる気持を鎮めて、その傷にキスをした。なんといっても銀行の渉外係の彼にとって、博美は毎月定期預金を積んでくれる客なのだ…。ホステスから人妻・OLまでを狂わす銀行マンの巨根と絶頂テクニック。