1994年発売
31年間、母国へ帰ることなく徳島の地で果てた作家が、1910年から1929年までの20年間、妹へ綴った絵葉書。孤高の文豪モラエスが肌で触れた明治大正昭和のニッポン。
凋落・明の援軍要請を受けた江戸幕府は鎖国令の中、苦肉の策として浪人数百人を鄭成功に差し向けることに-。日中混血の英雄がサムライとともにいよいよオランダから台湾を奪取。「朱帆」に続く、鄭成功一代記の後半生。
アンネは「日記」のほかに童話とエッセイを書き遺していた。空想の翼をうんと広げて、スターにハリウッドへ招待される話や、汽車の旅で三十男をからかうお茶目な話…これを書いているとき、アンネはどんなにか自由だったことだろう。そしてどの話にも、胸の奥から噴出するキラリと光るものがある。書かずにはいられぬ何かが…。
四百年の時を越えて甦った伝説の黒魔道術士オーガスタ・ディーがついに動きだした。ザーン皇室の皇帝が急死し、オーガスタ・ディーの魂を宿すカミル皇子が次の皇帝に即位する、というのである。時を同じくして、シェスタの盟友アムスィル率いる小国エリアルが、突如近隣諸国に攻め入り、領土の拡大を始めた。シェスタ自身、商業都市ヴァリの三分の一が失われるほどの、炎魔バルログの激しい襲撃を受ける。その赤い瞳に予言された乱を呼ぶ“蛍星”の運命が今、成就しようとしていた。
江戸は黒門町の大店伊勢屋の一人娘お新と浜松屋の一人娘お菊は同い年の十八、近所でも評判の仲よしだった。その一人、お新が奇妙な相対死をとげた。心中の相手は以前から身をもちくずして勘当されていた兄の喜三郎であった。そのことは幼なじみのお菊が証言した。伊勢屋の主人は番頭利吉をいずれはお新の婿養子として身代をゆずる気でいたが、お新にきらわれていることを知る利吉にとっては邪魔な二人、いっそ殺して。動機は充分だ。浜松屋の長屋に住む浪人柊左近は、不審の利吉を洗っていったが、その見込みはみごとはずれた。が、毎日、伊勢屋の居間に人知れず送られてくる不気味な黒十字のついた殺人予告状。事件には三十五年前のどす黒い怨念がこめられていた。はたして事件の黒幕は。
「あなた、役者でしょ!SMのストーリープレイもできないなんて、だらしないと思わないの!」芝居の演出をしているときより、ずっと迫力が加わったお叱りだった。すでに桜田レイの顔は、女王サマにふさわしいものになっていた。「わかったよ。言うとおりにする…。」俺はレイの申し出を、全面的に受け入れた…。AV男優・早坂純と売れっ子ビデオギャルたちがくり広げるちょっとHな実体験ノベル。
1997年に迫った香港の中国返還。南部を中心に発展する中国経済は、そこを通過点にしていっそう加速することは間違いない。21世紀の経済大国の姿が現実のものになりつつある。そのカギを握るのが今年90歳を迎える〓@68B0小平だ。「社会主義市場経済」という新語を流行らせ、中華民族本来の現実主義を蘇らせた。姿見せぬ老人の“最後の闘争”は実を結ぶのか。抗日戦争、国共内戦を経て四人組打倒まで、3度の失脚から復活した不死身の半生にメスを入れる。
温泉旅行に出かけようと長距離バス乗り場にやって来た三姉妹。ところがバスはとっくに出発してしまっていた上に、長女・綾子が強盗に遭遇、人質として連れ去られてしまった。次女・夕里子と、その恋人国友刑事、三女・珠美のドタバタ捜査が始まった。綾子は無事なのか?強盗の正体は?好評第八弾。
小さな社宅を出て、郊外のモダンな団地へ引っ越したナオコ一家。オリンピックを目前にして、エネルギッシュに変貌してゆく昭和30年代の東京を舞台に、少女の目を通して語られる街の表情、時代の息吹き、そして友だちや家族の肖像。団地第一世代の著者が、みずみずしい筆致で描くシックスティーズ・メモリアル。
国王によって、故郷ポアトウの邸に謹慎を命じられたアンジェリクは、地元の新教徒を弾圧する軍隊の暴虐に耐えかね、ひそかに反乱の首謀者たちと手を結んだ。しかし、そのためにある夜、竜騎兵の一群に自邸を襲われる。凌辱され無残に愛児を殺された彼女の絶望の闘いが、この時からはじまる。
ポアトウの反乱の首謀者として追われるアンジェリクは、幼い娘オノリーヌを連れて放浪をつづけていたが、港町ラ・ロシェルの新教徒の商人に救われ、その家庭に身をひそめる。だが、日一日と身辺の危険はせまり、ついに国外へ脱出する決心をする。その時、入り江に一隻の正体不明の船が…。
ハリウッド、ローマと映画界のきらびやかな世界に生きてきたジャック。中年にさしかかり実績を残し、煩わしいながらも平穏に結婚生活を送ってきた。ある日、仕事でヨーロッパを訪ねたジャックは旧友と会い、過去の記憶をたどっていく。過去は現在と重なり、魅惑的な恋物語を紡いでいく傑作恋愛長篇小説。
洋子の叔母・みどりは自由に、奔放に生きる女神のような女。洋子は叔母のように生き切れず、結婚を選んだ。しかし、その結婚が破れた時、洋子が戻ってきたのはみどりと、その仲間たちが棲む花園だった。既成の恋愛関係、男女関係という概念とは無縁に生きようとする男女の喜び、悲しみを描く恋愛小説。
デヴィッド・リンチの『ワイルド・アット・ハート』から闇という闇をぬぐいさったら?そんな白痴的な光の世界がここにはある。ヘヴィメタルな真夏の太陽の下、光の彼方へ駆け抜ける世紀末の最強ロード・ノヴェル登場。