1994年発売
男にとって“処女”は永遠のあこがれ。喰べれるものなら、ひとりでも多くの処女を食してみたい…。学生たちからの信頼度も高い大学教授でありながら、香坂鉄夫は、もうひとつの顔を持ったいる。それがバージン・イーター。
悲しくてやりきれない思い、透明で優しいやすらぎの日々。生きることはこんなにも素晴らしい…人は皆、心の故郷を求めている…全米で社会現象にもなった90年代アメリカの象徴。全米ベストセラー第1位。
『ゴーリキー・パーク』『ポーラー・スター』のアルカージ・レンコ捜査官がついにモスクワに帰ってきた。だが、久しぶりに見るモスクワはすっかり様変りしていた。共産党の解体、ルーブルの大暴落、そして組織犯罪の氾濫。闇市で、レンコの情報屋だった両替商が乗った車が爆破され、さっそく捜査に乗り出した彼は、背後にうごめくソヴィエト・マフィアを追ってドイツへ飛ぶ。そこにはかつての恋人イリーナのすっかり西側の人間になりきった姿があった。
モスクワ・ミュンヘン・ベルリンと真相を追うアルカージ・レンコ。彼の到着を待ち受けるように次々と起こる殺人…。混乱するモスクワでは、遂にクーデターが起こり急遽モスクワへ帰るレンコに、逮捕を覚悟で同行するイリーナ。ポスト・ペレストロイカのモスクワを舞台に「ゴーリキー・パーク」「ポーラー・スター」と続くアルカージ・レンコ・シリーズ、堂々の完結。
ニューヨーク、グラマシー広場内で裕福な老婦人ばかりを狙った酸鼻を極める連続殺人事件が発生した。犯行は白昼にもかかわらず、目撃者は一人としていない。異常な通り魔の核心に迫ったベテラン捜査官のマーコヴィッツが3番目の犠牲者になったとき、キャシー・マロリー巡査部長が真相の究明に乗り出した。人づきあいよりもコンピュータを相手にしてきた犯罪分析者マロリーーマーコヴィッツの養女で、ストリート・チルドレンだった彼女にとって、それは自分自身の損傷を受けた魂を曝け出すことであり、病んだ都会に踏みこんでいくことでもあったー。彼女は泥棒の魂をもつ警官。全世界で絶賛され、ベストセラーを記録し、ハリウッドでの映画化も噂される大型ミステリー。
メロンの温室、煙草の畑、広がるれんげ草の群れ。香り高い茶畑、墓場に向かう葬列、立ち並ぶ霜柱など。学校までの道のりに私が見た自然も人間もあまりにも印象的であった。心を痛めることも、喜びをわかち合あことも、予期しない時に体験してしまうのを、私はその頃知った。永遠の少女詠美の愛のグラフィティ。
愛する夫ジョフレがフランスへ旅立った後、アンジェリクの許に恐ろしい知らせが届く。あの魔女アンブロワッサンは生きていた。しかもケベックに姿を現した魔女は、モンリアルに住む娘オノリーヌの命を狙っているらしい。そして、奥地の砦にたどり着いたアンジェリクを襲う、極限の危難…。
飢えと寒さが迫る山中の砦。子どもたちととり残されたアンジェリクに、何者かが瀕死の男を投げつけた。無惨な躰でなお力を失わないその男こそ、最悪の敵オージュヴァル神父であった。神に見捨てられたような廃墟で、息づまる二人の対決。男と女の永遠の絆と愛の勝利を描く、感動の最終巻。
エジプト・ギザの大ピラミッドを原寸大で再現したピラミッドで起こる怪事。冥府の使者アヌビスが500年の時空を超えて突然蘇り、空中30メートルの密室で男が溺死を遂げる。アメリカのビッチ・ポイントに出現した現代のピラミッドの謎に挑む名探偵・御手洗潔。壮大なテーマに挑んだ本格推理の名作。
17世紀末、尾張・紀伊・水戸の徳川御三家は、五代将軍綱吉の後継者の座をめぐり、水面下で激しい争いを続けていた。それは、紀州藩部屋住みの庶子である源六にとって、ほとんど無縁のはずであった。しかし運命の歯車は、すでに大きく動き始めていた。
どうにかシンジケートを撃退したとはいうものの、メイの不運はまだまだ続く。豪華客船に拾われたまではよかったが、そこで会ったのが昔の女房。しかも凄腕の司令官になっていようとは。ただでさえ気まずいこの状況下で、狂暴化したデュークが異星の大使に怪我を負わせてしまい、メイの立場はますます微妙になってゆく…おなじみ悪運コンビが、今度は美女やエーリアンを向こうにまわして大暴れ。好調シリーズ第二弾。
28世紀、人類は二百にのぼる惑星を転移網で結び連邦を形成していた。その辺境に位置する惑星ハイペリオンで、人びとの畏怖と信仰を集める遺跡〈時間の墓標〉と怪物シュライク。この謎を解明すべく、迫りくる宇宙の蛮族アウスターの脅威のもと、最後の巡礼七人が惑星を訪れた。その途上で語られる、それぞれが背負う数奇な宿命とは…。1990年度ヒューゴー賞・ローカス賞受賞作。
演劇好きなスーザンはボストン近郊の港町ポート・シティにある著名な地方劇団の理事をしていた。その劇団の責任者で美術監督のクリストフォラスが得体のしれぬ人影に後をつけまわされているらしいのを案じたスーザンは、スペンサーに尾行者の正体を突き止めてほしいと頼み込む。ほかならぬ恋人からの依頼にスペンサーはさっそく現地へ赴くが、町を牛耳る警察署長デスペインや、中国人ギャングたちに締め出されそうになる。そして、スーザンに誘われ一緒に観劇していた最中に、主演男優クレイグ・サンプスンが舞台上で射殺されてしまった。スペンサーは犯人をつきとめるために、劇団の関係者に聞き込みを始める。理事の一人であるリッキイ・ウーに質問すると、彼女は過敏に反応して敵意をむきだしにする。彼女は町のチャイナタウンの顔役ロニイ・ウーの妻で、スペンサーは事件の調査を強引にすすめるためにも、相棒ホークと凄腕のもと悪党ヴィニイ・モリスの協力を求めるのだった…。複雑なプロットと新たな展開でボリューム・アップした、私立探偵スペンサー・シリーズ第21作。
桐村美沙は二十八歳の女盛りで、突然夫の死に見舞われた。夫の清行は山洋証券札幌支社へ単身赴任していたが、ススキノのバーのママとドライブ中、事故死したのだ。夫の友人金井は、美沙の美貌と類まれな才能を見出し、秘書として迎える。やがて美沙は株の世界に身を投じ、「女」を武器に大口投資家を篭絡する術を知る。その矢先、金井が死亡ー政界を巻き込むスキャンダルの序章だった。長篇官能サスペンス。
「トラブル・コンサルタント」なる会社を経営する伊夫伎亮吉は、天性の知恵と機知を発揮し、巧妙に法の目を掻い潜りつつ、団体や個人間の揉め事を内済し、巨利を得ることに生き甲斐を感じている。-ある日、彼が以前勤めていた“世界レーヨン”の八木専務から依頼があった。取引先である金沢の繊維メーカー“東西織物”が倒産寸前らしいので、その原因を調査してほしいという…。異色企業長篇。