1995年12月15日発売
凍てつくような冬のニューヨーク。ひらひらと雪の舞うセントラルパークで名もなき女が無惨な死体で発見される。恐怖の殺人鬼ゴールトが遂にその姿を現わす。スカーペッタ、マリーノ警部、ベントン捜査官の必死の追跡が続く。やがて明らかにされるゴールトのおぞましい過去。
最果ての地でめばえた炎のような愛と憎しみー青梅の料亭旅館の女将雅代は、年来の愛人である流行作家の麻生と芸者駒太の仲に疑いを抱いていた。そんな折、近くの渓谷で駒太の夫が撲殺死体で発見される。そして今度は、雅代の親代わりの番頭甚助が行方を絶って…。旅情ミステリーの名手が贈る会心の長編。
ヴァートとは、新手のドラッグ。効用によって色分けされた羽を口のなかに差し入れて喉奥をなでれば、眼前にヴァート世界が出現する。マンチェスターの片隅でヴァート浸りの日々を送るスクリブルには、呪わしい過去があった。謎の黄羽でトリップし、妹をヴァート世界に置き去りにしてしまったのだ。最愛の妹を取り戻したい一心で、スクリブルは絶望的な探索を続けるが…A・C・クラーク賞に輝く、新鋭の超話題作。95年には最優秀新人賞にあたるジョン・W・キャンベル賞を受賞。
超能力を科学的に検証し、“ペガサスを乗りこなす”ように上手に操ろうという理念のもと、超心理学センターが設立された。人類の宇宙進出とあいまって超能力はますます重要になり、所長リューサは超能力者の人権保護に忙殺されている。そんな彼女の睡眠中に心に“侵入”してくるものがいた。強力なテレパスである彼女の心のシールドを破るとは、どんな能力者なのか…。超能力者の活躍を描く『ペガサスに乗る』姉妹篇。
貧しい下駄職人の息子平吉は、一家心中の企てが失敗した結果、サーカスに入団した。そこで師と仰ぐ丈吉に出会う。丈吉は手品や曲芸を平吉に仕込むが、ある日、忽然と姿を消してしまう。それからしばらく後、魔法のような手口で美術品を盗んでは世間を騒がせる謎の怪盗が出現したー昭和初期の風景のなか、明智探偵と怪人二十面相による数々の名勝負の真実が、いま二十面相の側から明らかにされる。痛快無比の冒険ロマン。
ダンカン・エアクラフト社のヘリコプターが墜落した事故の原因を究明するため、エンジニアのアランと整備士のティムは、アフリカのケニアに出張した。事故機のなかで死亡していたのは、悪名高い密猟者と世界的に著名な動物学者サーシャだった。調査をつづけるうちにアランは、19世紀に絶滅したはずの貴重な動物をめぐる陰謀の渦中に…アフリカの大草原を舞台に、人間の欲と思惑が交錯する、波瀾万丈の冒険アクション。
ある年の春、スティーヴンとアンジェラは、アイオワに家つきの農場を購入して幸福な結婚生活をはじめた。だが、16年後のふたりはそれぞれの人生を歩んでいた。スティーヴンと離婚したあと、アンジェラは、ふたりめの夫の浮気癖と不良娘の言動に悩まされ、いっぽう、スティーヴンは農場で牛を育てながら、子連れの女性リアとつきあいはじめている…。人生で避けてとおれない、出会いと別れ、愛と死を鮮やかに描く傑作。
いったい、何があったの。ミセス・ポッターは、彼女が所有するアリゾナの牧場の管理人から電話を受けて愕然とした。重要な会合を開くので至急来てほしいというのだ。彼女は現地へ赴くが、到着早々、管理人と彼の孫娘が突然行方不明になった。さらに、ポッター特性のチリコンカルネを食べた男性が謎の死を遂げて…料理好きの未亡人ミセス・ポッターが腕をふるって殺人事件を料理するとびきりおいしい謎解きミステリ。
スペンサーのよき理解者で、二十年来の友人でもある、ボストン市警察殺人課のフランク・ベルソン部長刑事。その彼の若き新妻リーサが、ある日、何の痕跡も残さずに突然姿を消し、さらには単身で調査を開始したフランクまでもが、何者かに撃たれて重傷を負ってしまった。かつてのスーザンとの離別経験からフランクの心中を察したスペンサーは、病床の彼の前で、調査を引き継ぐことを誓う。捜査が進むにつれ、しだいに明らかになるリーサの秘められた過去。やがて、フランクとの婚結前につきあっていたヒスパニック系の男が、リーサをボストン郊外に監禁していることを突き止めたスペンサーは、ギャングの縄張り抗争に乗じて彼女を救い出すべく、ロス・アンジェルスから強力な応援を迎え入れた。ますます円熟味を増した筆致で、極限状態におかれた人間の絶望と勇気を描ききる、シリーズ中屈指の感動作。私立探偵スペンサー・シリーズ第22弾。
西暦2109年、火星のアマチュア天文家が太陽に接近しつつある未知の小惑星を発見した。惑星間天文学連合による追加観測の結果、おそるべき事実が判明する。この天体は約240日後に地球と衝突するというのだ。そうなれば爆発の被害はもとより、粉塵による太陽光の遮断と硝酸雨のために、地球は今後数十年間、居住不可能な死の星と化してしまう。小惑星は死と破壊の女神にちなんでカーリーと名づけられた。この危機に際して地球は、最新鋭のマスドライバーを搭載した宇宙船「ゴライアス」に特殊任務を命じ、カーリーへ派遣する。カーリーにマスドライバーを設置してその駆動力で軌道を変え、地球衝突を回避しようというのだ。だが、その計画がいよいよ実行に移されたとき、次々に思いもかけぬ障害が…。宇宙から飛来する鉄槌の一撃をいかにして防ぐことができるのか。現実に起こりうる災厄を、該博な科学知識と迫真のストーリーテリングを駆使して描きあげる、ファン待望のクラーク最新長篇。
めったに訪れる者もいないアラビダの僧院にシェイクスピアの血筋を研究するアメリカ人学者マイケル・パドヴィックと妻ヘレンが、パリから到着した。彼らを迎え入れた管理人バルタールは一目で美しいヘレンの虜となって言い寄り、博士には助手の若い女性ピエダーデを近づける。孤島の僧院でひそかに繰り広げられる善と悪の内なる闘い。巨匠オリヴェイラがカンヌ映画祭を感嘆の渦で包んだ同名映画の原作。
彼の目に浮かんだ一瞬の暗い影に心惹かれた彼女は、六区のアパルトマンの魅力的なしつらえの住まいに彼を迎え入れる。思いがけないほどの優しさに満ちた一夜を過ごしたふたりに、この世のすべての恋と同じ、甘く情熱的な日々が訪れる。愛のささやき、南仏での夜と昼、そして弁護士としての輝かしい未来への予感…何もかもが恋人たちの幸福を表わしていたが。この世のすべての恋と同じように、ふたりの恋にも、終わりが訪れる。知的で自立した女であったはずの彼女の落ちた嫉妬という残酷な罠…。
ジェーンはためいきをついた。せっかく女二人になれたというのに、娘のケイトときたら朝寝はする、バイトはする、そのあとだって門限一秒前までお出かけくださる。弱気の虫がうずいたそんな折り、ジェーン自身の母親が遊びにやってくる。滞在中、つきあって自分史執筆の講座を受けることにしたが、思いがけず毒殺事件が勃発し…。主婦探偵が生きがいと殺人犯を探索する第三弾。