1995年3月発売
妻のヘレンがひらいた女ばかりのパーティを逃れて、シャンディ授業はメイン州の海岸地帯にやってきた。目当ては名高き巨大ルピナスの観察。この世のものとも思えぬ咲きっぷりに仰天するシャンディだったが、二日めの夜、宿屋の食堂で思いがげない事件が突発する。えらそうに最後のチキン・ポット・パイをかきこんでいた男が青酸カリで毒殺されてしまったのだ。
推理作家同士が果たし合いを。新進作家佐々環が先輩作家若狭いさおを批判したことから、両者は剣呑な間柄となり、とうとう決闘宣言に。心配した編集者たちが小島にある若狭の別荘に駆けつけてみると、密室状態の室内で絶命している若狭を発見した。犯人はやはり佐々なのだろうか。二人の書いた短編ミステリを作中作として織り込むという趣向も楽しい、著者会心の長編推理小説。
危機管理の天才・藤堂高虎、情報分析の名人・細川藤孝、宿命のライバル・徳川吉宗と徳川宗春…そのほか、滑稽譚、冒険譚、怪異譚等々、面白さ盛り沢山の歴史短編集。
龍潭譚=母を亡くして間もない少年が、夢のような世界の中で、怪しいまでに美しい女と出会い、幻の乳房を吸い、幻の血を見る。さゝ蟹=彫刻の名人が亡くなって、その道具も売り払われた寂しい晩に、名人が心に懸けていた蟹の彫刻が、仏壇から走り出た。幻往来=大学病院の近くで医学生が見かけた美しい病人。やがて医学生は、その面影を遊廓の中でも見るほどにとり憑かれていく。高野聖=山中に迷いこんだ若い僧が、出会った美女に谷川での水浴びを勧められ、美女の肌に心惑わされる。しかし、その女こそ自分と交わった男を次々と動物の姿に変えてしまう妖女だった。
『野望の巨乳編』に続く大野木寛のギャグ小説第2弾。一段とパワーアップしたギャグの大嵐。(笑い)涙をながさずにいられない渾身の超笑い作なのだ。相変わらず脳天気なジャスティンとデカイおっぱいをもつプルセラ、フルムワットのネエちゃんたちの、笑いなしでは語れない可笑しくも楽しい旅は続いているのだが、今回はどんなことが彼らを待ち受けているのだろうか…。
サクヤ、ニルヴィア、ウリエルたち冒険者養成学校・女子部の生徒には次々と困難な実習が課せられていた。逃亡した人造人間の捕獲や、ミューロ解放同盟軍からの要人の警護、RMISと呼ばれる電脳空間への侵入などを通じて、彼女たちはこの世とあの世を二つながら支配しようと目論む巨大な敵を発見する。ハードな電脳空間で繰り広げられる美少女たちの冒険譚。人気パソコン・ゲーム『英雄志願』のノベライズ第2弾はなんと電脳小説だ。
若い日に遊んだフランス、ヨーロッパ、兵として戦時下を暮した南国・台湾…通りすがりの、エトランジェの眼に映る異国に潜むミステリー-本巻では、日影丈吉なららではのエグゾティシズム溢れる11編を集録。待望の短篇傑作選。
ここに描かれた老夫婦のあいだにも生涯をかけたロマンスがあった。その片方が欠けたとき、残された者は、どのような死を迎えればいいのか-。孤独な人生の同伴者として老人の生をじっと見守る白い犬とは。幻想的なこの小説には、真実を越えた真実がある。痛いほどにやさしい詩的小説世界。
エロティシズムの極限の形が、あるいは破滅への道であったとしても、一度踏み出した歩みを止めることはできない。愛と死の幻想の果てに行き着いた官能のステージで繰り広げられる情念のドラマが、いま始まる…。鬼才が描く性愛文学の極北。