1995年4月1日発売
雑誌社に勤める美和子が異性として意識しはじめたのは英会話教室の講師で痩せていて頼りなげな青年、大道治だった。妹のように面倒を見ていた従姉妹の梢が酒場に忘れてきたのは片方だけのイヤリング。裏には‘FROM OSAMU,WITH LOVE’と彫られていたー。人を傷つけても手放せない愛がある。想うだけでも苦しい恋がある。哀しくも美しい様々な愛の陰影を写し出す6つの連作恋物語。
アメリカを西海岸から中西部へとドライブしながら、ダイナーの紙ナプキンやタブロイド新聞の端っこに書き留める。そんな風にしてこの本は書かれた。感謝祭に行き場のない男達が集うバーの盛衰を描く表題作はじめ、移動への憧憬を結晶させた13編のロード・ノヴェル。
港を作り、航路を短縮して江戸の流通を革命的に変えるー伊豆大島は波浮の築港計画。かつて火付け盗賊改として勇名を馳せた剣の達人、呑海と暗い過去の記憶に怯える青年、鉄之助は、勘定奉行石川忠房の力を借りて、この大工事に奔走していた。そんな彼らに、謎の刺客が襲いかかったとき、幕閣に蠢く巨大な陰謀が姿を現し始めた…。期待の新鋭が放つ超大型時代サスペンス。
その時、日本に近代が始まろうとしていた…。すべてに、新しい「意味」と「かたち」が求められた動乱の幕末、人は何を信じて生き、そして死んでいったのか。高杉晋作、小栗上野介らの強烈な光芒を放つ生涯から、歴史の底より微かに漏れる無名の人々の慟哭までを、名手たちの筆は激しく、優しく描き出す。国家とは、そして人生とは。現代に問いかける13編を収めるシリーズ第9巻。
鷹取俊太郎は、稀に見る色男。十代将軍・家治の目に留まり、半ば公然となった御庭番の裏役として、初代・陰の御庭番を拝命した。いきなり美女の罠に嵌まりずっこけるのだが、岡っ引の孝次、公事師の彦佐衛門、そして、俊太郎に惚れた清国の美女に助けられ、紙問屋に身をやつし、なんとか密命を果たしていく。身分を明かせぬ苦闘が続くが、騙し騙され、将軍直々の隠密御用が始まった。
寄宿学校の水浴び場で起きた不可解な水死事故ーそれが四半世紀にわたる、ピラスター銀行をめぐる暗闘のプロローグだった。7年後、同窓生だったピラスター一族のエドワードとヒューは銀行に勤め、事故当時エドワードをかばったコルドバ人、ミッキー・ミランダは、エドワードの母オーガスタを誘惑し、密かな野望を育んでいた…。ロンドンの金融街に渦巻く欲望を活写した注目作。
左遷させられたアメリカでめざましい業績を挙げたヒューが勇躍帰国。エドワードの頭取後継を望む母オーガスタは狡智の限りを尽くし、ヒューをふたたび失脚させる。だが肝心の息子はミッキーにそそのかされ、ピラスター銀行は創業以来最大のピンチを迎える。事態は緊迫の度を加え、ついに血で血を洗う闘いが…。そして24年前の奇怪な水死事故の真相も、白日の下に曝される時がきた。
パリー米人外科医オズボーンは、28年前に父を殺害した男を発見した。ロンドンーロス市警刑事マクヴェイは、首なし死体の謎に挑んでいた。ジュネーヴー美貌の研修医ヴェラは、運命を塗り変える恋に落ちた。そしてベルリンードイツの名士たちはある祝賀会を準備していた…。無秩序や出来事の裏に潜む、巨大な陰謀とは何か。全世界を震撼させた、大型新人の冒険サスペンス長編。
次々に起きる惨劇を切り抜けながら、父親殺害の真相究明に執念を燃やすオズボーン。刑事マクヴェイも、各国捜査機関と密に連絡を取りつつ、数十年にもわたるおぞましい計画の核心に迫っていた。メディアの帝王アーウィン・ショールの正体とは。そして、《明後日》という謎のコードネームの意味とは。猛火と黒煙に包まれたベルリンを後に、オズボーンは氷雪のユングフラウに向かう。
半導体の中枢部をなす超高純度シリコンは、日本のハイテク産業を支える“戦略物資”であった。ノルウェーの孤島にあるその第一次精製工場が、元米軍特殊部隊の精鋭を中心とするテロリスト集団に武装占領された。ノルウェー国軍による救出作戦は犠牲者を出して挫折。日本では政府の黙認を受けて危機管理会社主導の制圧部隊が編成され、彼らは暴風雪のなか、氷の断崖へ向けて急襲降下し、奪還作戦を決行する。
鎌倉幕府を牛耳る北条一門に反旗をひるがえして挙兵し、幕府の滅亡、南北朝の動乱のなか、勇将・楠木正成、新田義貞らを倒して征夷大将軍となり、室町幕府の礎を築いた足利尊氏。幾多の合戦と政略・政争に明け暮れた尊氏の一生を陰で支えた多くの女たち。妻・登子、白拍子の花夜叉、藤夜叉、阿野廉子をはじめとする美しく妖しい女たちと尊氏との濃密な色模様を円熟の筆致で描き上げた長篇官能時代小説。
右、中国街道。左を下れば京…老の坂わかれ路光秀、決断の時。森蘭丸は蘭ではない。世を乱す乱臣、侫者、乱れ丸が本性。明智一族の女に邪悪な情念の炎をもやす。そして、魔王信長の非道な仕打ちが、光秀の上に雨と降る-。決断の時、老の坂わかれ路。あなたは決断できるか。
木谷幸喬は学生時代に「tear」という香水に魅されて、その香水を調香した研究所に入る。魅惑の香水を調香した天城綾司と逢う為に…。調香のファイルを調べてていくうちに香道梓川流宗家の孫の宮野夏衣という男、そして天城の右目が見えない事を知る。二人の関係はなんだろうか。「tear」に秘められた想いは…。新しい香水の完成がすべてを明かす。春原いずみが貴方に贈る危険純愛物語。
人知の及ばない運命の取捨選択。吉凶は思わぬときにやって来る。愛する者の激変に、巻き添えを食う家族。逃げる者、黙する者、苦闘する者。ひたひたと押し寄せる波は、やがて努濤となって読者を呑み込む。普通の生活の中に潜む人間の偉大さ。ヒーローはあなたの周りにいる。
人知の及ばない運命の取捨選択。吉凶は思わぬときにやって来る。愛する者の激変に、巻き添えを食う家族。逃げる者、黙する者、苦闘する者。ひたひたと押し寄せる波は、やがて怒濤となって読者を呑み込む。普通の生活の中に潜む人間の偉大さ。ヒーローはあなたの周りにいる。