1995年4月発売
両親の死後、主人公・大里健也は女だけの一族、速水財閥のお屋敷に突如迎えられることになった。屋敷内唯一の男である主人公をめぐって姉妹たちやメイド・さよりなどの女たちに繰り広げられる誘惑に惑いつつも、この一族の不可思議な掟にのめり込んでいく…。インモラル美少女AVGの大ヒット作を、いち早く小説化。
「あ」が使えなくなると、「愛」も「あなた」も消えてしまった。世界からひとつ、またひとつと、ことばが消えてゆく。愛するものを失うことは、とても哀しい…。言語が消滅するなかで、執筆し、飲食し、講演し、交情する小説家を描き、その後の著者自身の断筆状況を予感させる、究極の実験的長篇小説。
それは、フィリピンのリゾート地開発に日系企業が関わったことを発端とする、日本人少年誘拐事件だった。マスコミが取りあげ、現地の警察が動き、軍隊まで出動する仰々しさの陰で、少年はテログループに自由を奪われ、樹海のなかをあてどなく歩き続けた。再三の脱出行、そのつど味わう挫折と恐怖。哀しくそして熱い-。冒険小説大作1500枚。誘拐サスペンス。
とがった顎、不釣り合いなほど大きな目、そして細い指…。君の残像が気になり始めた頃、22歳の僕の周りは急に騒がしくなった-。不倫の果てに自殺騒ぎを起こした姉と、不倫がばれた親父、そしてこんな困った家族のためになぜか奔走する羽目になる僕。いつもと変わらぬはずの11月に起きた、つむじ風のような事件を描く青春ストーリー。
馬運車の中で藁にまみれた祐天寺スタリオンステーションのオーナー・祐天寺豪の死体が発見された。刑事の秋山左門は殺人事件として捜査に乗り出す。その頃左門の双子の兄であり、探偵の右京は事件の捜査を浮島香奈から依頼されていた。まったく性格の違う双子の兄弟がこの不可解な事件の謎に挑むのだが、事件は意外な方向へと進展していく…。冒険文庫初のミステリ小説。
故事・ことわざにはないが誰でも知っていることしていること…でもその本当のことが知りたい。おばあさんと孫との人間性(ヒューマニティ)を画く。
株式会社ユーキの宝石鑑定士・伊藤木綿子のところへ専属デザイナー・白木美奈子が相談を持ちかけてきた。彼女がデザインした宝飾品に粗悪な石が混在していたらしい。しかも美奈子は木綿子の恋人塩野満の素姓まで訊ねてきた。塩野と美奈子の関係は。木綿子の胸に一抹の不安が…。数日後、美奈子が死体となって発見され、塩野も事件発生の翌日、木綿子に連絡を残して、消息を絶った。日蓮聖人のルポを依頼され、山梨県を訪れていた浅見光彦はこの怪事件に深く関わることにー。
「日蓮の生まれ給いしこの御堂」木綿子の恋人塩野が残した謎の伝言。真相を追って浅見光彦は聖人ゆかりの地を訪れるが、重要な手がかりは得られない。ところが、その浅見に怪しげな人物がつきまとい、さらに木綿子の父親も「イトウのお寺には行ったのか」という言葉を遺して、突然の死を遂げた。果して犯人の目的は、消息を絶った塩野の行方は。そして日蓮聖人生誕に隠された秘密とは。名探偵浅見光彦さえも窮地に追いこむ驚愕の真相。伝説シリーズ超大作、待望の文庫化。
おなじみの女子大生・亜由美のもとに、高校時代の友人・ゆかりから、結婚式の招待状が届けられた。なぜか同時に三通ーしかもそれぞれ相手の男性の名が違っている。おっとりして世間知らずなゆかりは三人からのプロポーズを断りきれず、とりあえず全員と式を挙げることにしたのだという。何とか思いとどまらせようとする亜由美だが、三人のフィアンセのうちの一人が式を目前に殺されてしまったから、さあ大変。亜由美と愛犬ドン・ファンの名コンビがまたまた活躍、お待ちかね“花嫁”シリーズ登場。
イースでの冒険を終えたアドルは、元盗賊のドギとふたりで気ままな旅を続けていた。南方のフェルガナ地方にさしかかったふたりは、とある女占師の店に立ち寄るが、不吉な予言を受ける。ドギの故郷レドモントの街に足を踏み入れたふたりは、その予言通り、古代の邪神をめぐる戦いに巻き込まれていく…。『イース3ワンダラーズフロムイース』ノベライズ化を求めるファンの熱い要望にこたえ、いよいよ登場。
帝の名代として伊勢神宮に仕えた皇女たちの生涯は、儚い哀しみの歴史に包まれている。その斎王伝説を題材に、滋賀県土山町で映画のロケが行われていた。ところが現場付近のダムで、男性の水死体が発見され、容疑がロケ隊のメンバーにかかってしまう。監督の白井は高校時代の旧友、浅見光彦に嫌疑を晴らして欲しいと依頼するが、その直後に第二の殺人が発生した。真相を追う浅見は、やがて三十四年前の皇太子御成婚前夜に起きた惨劇に辿りつくー。歴史の闇に葬られた悲劇を、緻密な取材と大胆な構想で描いた白眉の長編本格ミステリー。
兄たちの相次ぐ死により二十二歳の頼方は、紀州五十五万五千石の国主徳川吉宗となった。一方、将軍家では、五代綱吉の後を受けた六代・七代将軍がともに短命、財政破綻の危機に陥る幕府はますます混迷の度を深める。紀州か、それとも尾張か、次期将軍の座を賭けた息詰まる抗争の果て、吉宗はついに八代将軍となる。幕府の、そして日本の命運は彼の手に委ねられた。NHK大河ドラマの出版化。