1995年4月発売
「あ」が使えなくなると、「愛」も「あなた」も消えてしまった。世界からひとつ、またひとつと、ことばが消えてゆく。愛するものを失うことは、とても哀しい…。言語が消滅するなかで、執筆し、飲食し、講演し、交情する小説家を描き、その後の著者自身の断筆状況を予感させる、究極の実験的長篇小説。
とがった顎、不釣り合いなほど大きな目、そして細い指…。君の残像が気になり始めた頃、22歳の僕の周りは急に騒がしくなった-。不倫の果てに自殺騒ぎを起こした姉と、不倫がばれた親父、そしてこんな困った家族のためになぜか奔走する羽目になる僕。いつもと変わらぬはずの11月に起きた、つむじ風のような事件を描く青春ストーリー。
馬運車の中で藁にまみれた祐天寺スタリオンステーションのオーナー・祐天寺豪の死体が発見された。刑事の秋山左門は殺人事件として捜査に乗り出す。その頃左門の双子の兄であり、探偵の右京は事件の捜査を浮島香奈から依頼されていた。まったく性格の違う双子の兄弟がこの不可解な事件の謎に挑むのだが、事件は意外な方向へと進展していく…。冒険文庫初のミステリ小説。
故事・ことわざにはないが誰でも知っていることしていること…でもその本当のことが知りたい。おばあさんと孫との人間性(ヒューマニティ)を画く。
株式会社ユーキの宝石鑑定士・伊藤木綿子のところへ専属デザイナー・白木美奈子が相談を持ちかけてきた。彼女がデザインした宝飾品に粗悪な石が混在していたらしい。しかも美奈子は木綿子の恋人塩野満の素姓まで訊ねてきた。塩野と美奈子の関係は。木綿子の胸に一抹の不安が…。数日後、美奈子が死体となって発見され、塩野も事件発生の翌日、木綿子に連絡を残して、消息を絶った。日蓮聖人のルポを依頼され、山梨県を訪れていた浅見光彦はこの怪事件に深く関わることにー。
「日蓮の生まれ給いしこの御堂」木綿子の恋人塩野が残した謎の伝言。真相を追って浅見光彦は聖人ゆかりの地を訪れるが、重要な手がかりは得られない。ところが、その浅見に怪しげな人物がつきまとい、さらに木綿子の父親も「イトウのお寺には行ったのか」という言葉を遺して、突然の死を遂げた。果して犯人の目的は、消息を絶った塩野の行方は。そして日蓮聖人生誕に隠された秘密とは。名探偵浅見光彦さえも窮地に追いこむ驚愕の真相。伝説シリーズ超大作、待望の文庫化。
おなじみの女子大生・亜由美のもとに、高校時代の友人・ゆかりから、結婚式の招待状が届けられた。なぜか同時に三通ーしかもそれぞれ相手の男性の名が違っている。おっとりして世間知らずなゆかりは三人からのプロポーズを断りきれず、とりあえず全員と式を挙げることにしたのだという。何とか思いとどまらせようとする亜由美だが、三人のフィアンセのうちの一人が式を目前に殺されてしまったから、さあ大変。亜由美と愛犬ドン・ファンの名コンビがまたまた活躍、お待ちかね“花嫁”シリーズ登場。
イースでの冒険を終えたアドルは、元盗賊のドギとふたりで気ままな旅を続けていた。南方のフェルガナ地方にさしかかったふたりは、とある女占師の店に立ち寄るが、不吉な予言を受ける。ドギの故郷レドモントの街に足を踏み入れたふたりは、その予言通り、古代の邪神をめぐる戦いに巻き込まれていく…。『イース3ワンダラーズフロムイース』ノベライズ化を求めるファンの熱い要望にこたえ、いよいよ登場。
兄たちの相次ぐ死により二十二歳の頼方は、紀州五十五万五千石の国主徳川吉宗となった。一方、将軍家では、五代綱吉の後を受けた六代・七代将軍がともに短命、財政破綻の危機に陥る幕府はますます混迷の度を深める。紀州か、それとも尾張か、次期将軍の座を賭けた息詰まる抗争の果て、吉宗はついに八代将軍となる。幕府の、そして日本の命運は彼の手に委ねられた。NHK大河ドラマの出版化。
親友のプライドにつきあって、やる気もしないのに野球チームをはじめたオケたち。めざすは市長杯争奪戦。と言っても目的はひとつ。因縁のイーグルスとのラフ・ファイトのみ。ところが、ひょんなことからコーチを頼むハメになったのが謎の老人。このおそるべきジイさんは、なんとオレたちの長年の天敵だった。ジイさんの孫娘マキちゃん、無敵の野球犬トラをチームの一員に加え、ひくにひけないハードな友情の日々が始まった…。
芸能界に続発する事件をマネージャー探偵が名推理。赤面症ゆえ表舞台に立てない朝館吾郎は、「芝山プロ」で元宝塚の大スター、神宮寺園子のマネージャーを務めている。このギョーカイは海千山千の猛者ばかり。だからさまざまな思惑がぶつかりあって、果ては殺人事件へと発展する。朝館吾郎、通称「オッタチ」は園子とのコンビで事件を推理、解決。
中国人マフィアと対決する警視庁刑事。東京都知事室へ、男の声で電話がかかってきた。「東京を火の海にしてやる…」。犯人は何者か。狙いは。その夜、入国管理局の収容所から、不法残留でつかまっていた中国人が集団脱走した。二つの事件を結ぶ意外な真実を知った刑事は、怒りに燃えてー迫力の書き下ろし。
ロシアのキラー衛星を無事破壊して帰還した篠原達に衝撃的にニュースが届いた。ロシアで革命が勃発、軍事政権が樹立され日本に宣戦布告した、というのだ。緊張した状況の中で、日本初の有人スペースプレーン・天翔の第二回フライトを目指し訓練を続ける天翔隊。しかし、ついにロシアはレーザーで根室を攻撃、街は焦土と化した。日本政府は遅ればせながら、天翔に出撃を命じた。