1995年6月15日発売
父親のマーチ氏がわが家に戻って三年後、メグはジョン・ブルックと結婚して育児に追われ、ジョーは病身のベスに心を痛めながら作家修業に励み、エイミーは外国で絵の才能をみがく…。それぞれが自分にふさわしい愛と人生を、苦悩し、真摯な思いで見つけていく日々をみずみずしく描く。四人姉妹の輝く青春編。
ある晩、女性の悲鳴を聞いた僕は、駆けつけた部屋で美女の死体を発見。折悪しく住人に見つかり犯人と間違われてしまう。満月の夜に歪んだ欲望をたぎらせて、白いマンションに住む独身女性を次々と襲う恐怖の暴行魔と僕の熾烈な闘いが始まる。最後の一行まで真犯人がわからない超弩級のホラー・ミステリー。
法月綸太郎のもとに深夜かかってきた電話。救いを求めてきたのはあのアイドル歌手畠中有里奈だった。ラジオ局の一室で刺されたはずの自分は無傷で、刺した男が死体で発見される。恐怖と混乱に溢れた悪夢の一夜に耐えきれず、法月父子に助けを願い出た。百鬼夜行のアイドル業界で“少女に何が起こったか”。
若き二人の特攻隊員は、ベートーヴェンの名曲「月光」を、小学生たちの前で弾き、南溟の空に出撃していった。ある夏の日のピアノの響きは、痛切な思い出として刻みこまれた。そして今、過酷な運命に翻弄された青春の行方をさぐる一人の女性がいた。愛と哀しみの感動にあふれるドキュメンタリー・ノベル。
人類最古のDNAを求める探索行で深傷を負ったマロリーは、海洋生物の形態をしたアガサン人のもとで、半人間半機械として再生した。だが「氷瀑」へ戻った彼は伝説的パイロットであるソリの暗殺計画で無実の罪を着せられ、投獄されてしまう。はたして悲惨な獄中生活を生きのびられるのか、そして銀河の究極の謎は。全人類の存亡を左右する謎解明に命を賭けるマロリーの、波瀾に満ちた半生を描く傑作長篇。感動の完結。
18世紀、女王アンの命もあとわずかとなり、イングランドやスコットランドでは王位継承者について取りざたされていた。スコットランド高地地方に住む誇り高き男ロバート・ロイ・マグレガー、通称ロブ・ロイは、飢えに苦しむ一族を救おうとモントロース侯爵から千ポンドの金を借りた。だが、そこに思いもよらぬ罠がしかけられていた…おのれの名誉を守り一族を助けるため、雄々しく戦うロブ・ロイの愛と冒険を描く話題作。
連邦が戦乱に揺れるなか、惑星ハイペリオンでは「時間の墓標」が開き全ての謎が解明される時が近づいていた-人気作家シモンズが雄渾の筆致で描く傑作SF叙事詩ハイペリオン二部作の完結篇。1991年度ローカス賞受賞作。
東西製薬広告部長・宝田十一郎は出張帰りの電車の中で、広告代理店の東京エージェント専務・桂巴絵に声をかけられた。過去に一度だけしか逢ったことのない巴絵の色香に惑わされた宝田は、誘われるままに途中下車し、一夜を共にしてしまう。ほんの遊びのつもりだった宝田は、「もう二人は他人ではなくなったのだから、今度売り出す新製品の宣伝を担当させて頂けません」と迫る巴絵に、愕然となるー。
民族学校からの親友、李哲博と朴政道は、ともに歌舞伎町のホテトル経営者。一攫千金を狙ったポーカーゲーム屋が大当たりし、やがて韓国クラブ、焼き肉屋、ノミ屋、ビル乗っ取りと法の網をかすめて事業を拡大していったが、好事魔多し、裏切りと暴力団の介入で、全財産を失ってしまった。傷つき倒れながらも、若者は今夜も、欲望の街・新宿の夜の河を渡っていく…。傑作長篇。
「好きな時に魚雷を撃って好きな時に逃げられる」「あんな潜水艦だったら、いつかは乗ってみたい」開戦当初に解体された幻の艦がよみがえろうとしていた-。極秘の海底艦隊司令として迎えられたのは、誰であろう、あの源田実…。根っからの航空屋で飛行機乗りにとっては神様の予期せぬ就任。謎の司令のもと、第一次大戦時ドイツ海軍が造った南海の基地を秘匿の海軍工廠として改造、米太平洋艦隊との決戦準備が進められる。米駆逐艦を得意の高速戦法で撃破、初陣を飾った伊900型潜水艦隊。敵艦に追随を許さぬスピードで圧倒、混乱させ、仕留める-。これこそ源田実大佐究極の秘策、海底の絶体国防圏構想を完成させる日本海軍“最後で最強”の秘密兵器だったのである。
V号改作戦の初動作戦によって日本連邦軍は沿海州から樺太にかけてのソ連軍拠点を奪取。第二段階である轟二号作戦を発令し、満州でソ連軍と激突。2029年からの思念投射により開発された35式80ミリ噴進無反動砲、双発ガンシップ“撃虎”が敵戦車部隊を粉砕。ヨーロッパでは、ドイツ軍がドーヴァー海峡を制覇。マラッカ海峡でも英艦隊は枢軸国に完敗する。一方、明石機関は巧みに中国共産党に擦り寄り、華作戦を開始。その成就を受けて、遂にV号改作戦の最終段階が発動された。世界を震撼させることになるこの最高機密に包まれた作戦とは-。
ポルトガル沖合はるか遠方の、アソーレス諸島に繰り拡げられる、クジラと難破船と愛の物語-。幻想味が絶妙の鬼才が、その実験的小説作法を極限にまで押しすすめ、織り上げた、詩的で象徴性豊かな小品集。