小説むすび | 1995年6月30日発売

1995年6月30日発売

殺害者のK殺害者のK

未解決の殺人事件の犠牲者は、生と死の間をさまよい、嘆き悲しんでいる-わたしにはそう見える。ローナ・ケプラーもその一人だった。十カ月前、彼女は死後二週間と思われる腐乱死体となって発見された。警察は殺人事件として捜査したものの、充分な証拠がつかめず、捜査を打ち切ってしまった。が、ローナの母親は娘が殺害されたと確信し、わたしに事件の再調査を依頼してきた。ローナの死後、差出人不明の、彼女が出演しているポルノのヴィデオテープが送られてきたという。調査が進むうち、次々とローナの不可解な面が明らかになってきた。極端な人嫌いにもかかわらず、深夜に男と出歩く癖があったこと。出所が分からない大金を所持していたこと。そして、密かに売春をしていたこと…謎めいた美女は、巧妙な殺人計画の犠牲となったのか。しかも、わたしの身辺にも、何者かの卑劣な罠が迫っていた。女探偵キンジー・ミルホーンの鋭い観察眼が、謎に包まれた事件の裏にある人間心理の暗部をえぐりだす。百万人に愛読されるミステリ界のトップ・シリーズ、待望の最新作。

エイリアニスト(上)エイリアニスト(上)

三月の寒い夜、《ニューヨーク・タイムズ》の記者ムーアは、友人の精神科医クライズラーからの使いに叩き起こされた。呼び出された先は凄惨な殺人現場で、殺されたのは少年男娼。特異な手口の同様の犯行が、過去に何件も起こっていることが判明した。時に1896年。ニューヨーク市警の総監に任命されたばかりの、のちのアメリカ大統領セオドア・ルーズヴェルトは、この連続殺人事件解決のため、画期的な特別捜査班を設置した。「あらゆる人間の行動は、幼時の経験に左右される」という革新的な理論を唱える精神科医クライズラーを長とし、マンハッタンの犯罪社会にくわしい記者ムーア、市警初の女性職員サラなど、異色のメンバーが集まった。心理学を捜査に応用するなど、「殺人者は生まれつきのものだ」と信じられている社会にあっては異端そのものだったが、彼らは少年男娼を血祭りにあげる犯人の生い立ちを犯罪現場から推理し、混沌とした世紀末における異常殺人者の実像に迫っていく。だが、ある謎の勢力が彼らの捜査に妨害の手を伸ばしてきた…。世紀末のニューヨークを舞台にリアリテイとイマジネーションをみごとに融合させた、心理学的プロファイリングの事始めともいうべきサイコ・スリラー。

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