1995年9月発売
三ページ目から、わたしは憎しみに満たされた…憎悪の奔流に溺れながらも、わたしは、この新作がニコラ・ファブリをフランスで第一級の作家に押し上げることをはっきりと予感した。彼の以前の作品と比べて、テーマは新鮮で感動的だし、文体は力強く活力がみなぎっている…復讐の成就のために、この小説の成功を利用できる、とわたしは一瞬のうちに悟った。本が凶器となる犯罪。ページに毒が塗られることもなく、ましてや鈍器として使われるわけではもちろんなく、その存在こそが凶器となる…。「エル」読者賞、ジョワンヴィル市シネレクト賞、フランス推理小説大賞受賞。
ペニスが生えた人妻。洗練された〈悪趣味〉に満ちた諧謔と皮肉が炸裂する感傷的恋愛小説&茶番劇。仰天、狂騒、欲情のセックス・コメディ・イン・ザ・U.K.。ヴァギナが出来たラガーマン。
グリーンコーディネーターの菜央は、ちょっと年上だけど、自称天才映画監督の聖人とめでたく結婚。オシャレで、ステキな結婚生活を送るはずが、ひょんなことから聖人の実家のお寺の仕事を手伝うことになっちゃった。愛する聖人のために、がんばっちゃう菜央。でも現実は、キビシ〜のです。
「神様お願いします。今、僕の隣にいる人と両思いになれますように」-愛する人を失ったばかりの竹原七重が、山崎勇一郎と出会ったのは再就職の仕事先。年下だが現場を仕切る勇一郎は仕事に馴れない七重に何かと絡んでくる。最初は反発を感じたものの、自分とは正反対の容姿性格の勇一郎に七重はいつしか恋をしてしまう…。互いに愛する者を失った二人のセカンド・ラブの結末は…。
記紀の謎を大胆に解く瞠目の歴史小説。乙巳の変、白村江の大敗、そして壬申の乱。日本誕生へ混沌の時代、飛鳥の地を舞台に繰り広げられる権力闘争に大唐帝国と韓三国の巨大な影が覆う。書き下ろし三部作、第二部。
少女マンガ『ローウェルの密室』の作中で密室殺人事件が発生。『コミケ殺人事件』の著者が、前代未聞の密室トリックで読者に挑戦する二次元本格推理・書下し800枚。休みのある日、真っ暗な森に迷い込んだ恵と保理は、不思議な老人の手で、少女マンガ『ローウェル城の密室』の世界に送りこまれ、マンガの登場人物・メグとホーリーになってしまう。蛮族が跋扈し、奇怪な風習に支配されたその世界で、密室殺人事件が発生した。二次元世界での殺人を描き、史上最年少の十六歳で江戸川乱歩賞最終候補に残った幻の超本格推理ついに登場。
メガドライブ、メガCDなどで大ヒットとなった『シャイニング』シリーズ。そのサターン版『シャイニング・ウィズダム』が、いよいよ小説化された。舞台はパルメキア大陸の小国オデガン王国。周囲を外界から隔絶され、平和と繁栄を誇るこの地には、実は大きな謎が秘められていた。そこに忍び寄る魔導師パゾートの魔の手。オデガン国を救うため、主人公マルスの冒険が、今、始まる。
いま、最後の戦いが始まる。父アンシュラーク王によってヴァンクールにテレポートされたことを知った王子フリンは、故郷アインシュタットへと向かう。そこで彼を待ち受けたのは、父王アンシュラークとの王座を賭けた壮絶な戦いであった。また宿命のライバル魔界の悪魔インダールと大吸血鬼ギルバルスにも決着の時がきたのだ。壮大なるウィザードリィ・サーガの物語がいまここに完結する。
過去に受けた心の傷から、二十五歳の優美子は、何かに一生懸命になって生きることや、夢見ることを忘れかけていた。しかし、ある日出逢ったミュージカル女優の卵・カンナのダンスに心を揺さぶられてから、優美子の毎日は明るく輝きはじめる。性格も育ちも仕事も正反対なふたりは、ひょんなことから同居生活を始め、お互いに新しい自分を発見していく。しかし、カンナがずっと片想いをしていた一也が、優美子と恋におちてしまったことから、ふたりの友情は…。女同士の友情を瑞々しく描いた、かけがえのない出逢いの物語。
新直木賞作家の最新小説集。街で偶然出会った男との逢びきに胸をときめかせる人妻…「うつせみの夢」。一年ぶりに思い出の土地にやってきたセールスマンの哀しみ…「入り日」。映画を観ているうちにスクリーンに突入していった男の不思議な体験…「ワイルド・シング」。仕事場のビルの窓から作家が目撃した出来事とは…「窓」など、名作映画を素材にした八編の作品集。