1995年発売
若い日に遊んだフランス、ヨーロッパ、兵として戦時下を暮した南国・台湾…通りすがりの、エトランジェの眼に映る異国に潜むミステリー-本巻では、日影丈吉なららではのエグゾティシズム溢れる11編を集録。待望の短篇傑作選。
ここに描かれた老夫婦のあいだにも生涯をかけたロマンスがあった。その片方が欠けたとき、残された者は、どのような死を迎えればいいのか-。孤独な人生の同伴者として老人の生をじっと見守る白い犬とは。幻想的なこの小説には、真実を越えた真実がある。痛いほどにやさしい詩的小説世界。
エロティシズムの極限の形が、あるいは破滅への道であったとしても、一度踏み出した歩みを止めることはできない。愛と死の幻想の果てに行き着いた官能のステージで繰り広げられる情念のドラマが、いま始まる…。鬼才が描く性愛文学の極北。
大ベストセラーの痛快コミック・ミステリー。苦情処理係を務めるデパートで謎の連続爆破事件が起こり、疑いの目を向けられたマロセーヌ君。かくてはならじと捜査に乗り出すのだが…。
加奈子が名門の横沢家に嫁いできてから五年の月日が流れていた。家柄が違うといって義父はいつまでも加奈子を認めようとしないが、夫、淳一と四歳になる愛らしい政伸がいれば、幸福だった。しかし、アメリカから淳一の妹、茜が帰国したその日から、加奈子の運命は少しずつ狂いはじめる。妻と夫のあいだに微妙に芽生える不信感と背徳の香。父を巻きこみ、息子を巻きこみ、遠い昔に男と出奔した母を巻きこみ、人の心の変化のなかで、加奈子は翻弄された。結婚とは、愛情とは、男と女とは、加奈子の想いは揺れる…。
女子プロレスナンバー1は誰の手に。近未来女子プロレスアニメーションメタルファイターMIKUを小説化。未来の女子プロレスはこうなっているかもしれない。
王者アクアマリンを倒すのは誰だ。ネオ女子プロレス界NO.1を決する壮絶バトルが今繰り広げられる。2061年の女子プロレスを想定した近未来シュミレーションノベル。
安政七年(1860)三月三日、雪にけむる江戸城桜田門外に轟いた一発の銃声と激しい斬りあいが、幕末の日本に大きな転機をもたらした。安政の大獄、無勅許の開国等で独断専行する井伊大老を暗殺したこの事件を機に、水戸藩におこって幕政改革をめざした尊王攘夷思想は、倒幕運動へと変わっていく。襲撃現場の指揮者・関鉄之介を主人公に、桜田事変の全貌を描ききった歴史小説の大作。
水戸の下級藩士の家に生まれた関鉄之介は、水戸学の薫陶を受け尊王攘夷思想にめざめた。時あたかも日米通商条約締結等をめぐって幕府に対立する水戸藩と尊王の志士に、幕府は苛烈な処分を加えた。鉄之介ら水戸・薩摩の脱藩士18人はあい謀って、桜田門外に井伊直弼をたおす。が、大老暗殺に呼応して薩摩藩が兵を進め朝廷を守護する計画は頓挫し、鉄之介は潜行逃亡の日々を重ねる…。