1995年発売
トレドにある酒場「ロコス亭」に集まる奇妙な人々は、物語の内と外を、またそれぞれの物語の間を自在に行き来し、読者を虚構と現実のはざまに誘う。ナボコフ、カルヴィーノ、そして多くのラテン・アメリカの作家たちの原型ともいうべき、知的で独創的で、とてつもなく面白い小説集。
日本が初めて体験する海外からの侵攻ー元寇(文永・弘安の役)。日本の存亡をかけたこの最大の国難に、鎌倉幕府8代執権・北条時宗はいかに悩み、そして決断をくだしたか…。蒙古侵攻をひかえながら、北条一族の政権争い、朝廷の分裂に巻きこまれる時宗。さらに暗躍する海商、そして日蓮の不気味な予言。内憂外患の中で一国を預かるリーダーの姿を描く長編歴史小説。
1999年7月-その世紀末の日本において、話題の中心は二つだった。1年ほど先のトータチス飛来と急速に勢力を伸ばすシャンバラ教団。シャンバラ教団とは、現史に生きる“あの敷島英二”が率いる宗教団体だった…。10月23日夜、首相官邸や陸海空軍基地が一斉に制圧された。それは、シャンバラ教団による軍事クーデターだった。クーデターの目的は、トータチス迎撃を阻止し、もう一度時空転移することによって、日本を世界の先導者に育てあげることだった。教団に対する反撃の切り札は帯広実験基地。しかし、北海道沖には乗っとられた最新鋭の攻撃型潜水艦「玄海01」が姿を潜ませていた。はたして、日本は、そして世界は破壊から逃れることはできるのか。クライマックスへ向け、いよいよ最後の戦いの幕が開く。
1998年12月、大統領府へ向けモスクワの町中をリムジンが走り抜ける。国家情報相から大統領に、ロシア極東地域でのクーデターが報告された…。年が明けた、1月9日の日本。北関東地方は断続的に襲ってきた寒波によって山間部は積雪が徐々に増えつつあった。夜明け前の赤城山の北面道路の駐車場に、一機のヘリコプターが舞い降りた。それは陸上自衛隊の縮小改編にともなって結成された第一空中機動団に配備された新型機AH-3Fの訓練飛行だった。その頃、ウラジオストクでは反政府軍の反乱を逃れた巡洋艦・駆逐艦・強襲揚陸艦など20隻ほどの艦隊が流氷に閉ざされた港を脱出。日本海を南下し、日本政府に対し、救援を要請した艦隊は、平和という長い眠りにつく日本を無理やり覚ますべく新潟港を目指す…。
なぜかまだ続くカクテルショートストーリー。フランス人数学者が書いた、ご存じ笑いあり、ユーモアあり、恋もあり、そしてちょっぴり涙あり…の34話。舞台はニューヨークの場末のカクテル・バー“ジェイズ”で、いつもの3人の待つ店に、妙なお客が今夜も舞い込む…。1991年タイド・モニエ文学協会賞。1992年美食文学賞受賞。
警視庁歌舞伎町分室の警視・村木正は、妖刀“村正”と恐れられる強者。その村木の許にOL全裸殺人の知らせが入った。だが、被害者の藤咲霧子は、過去に傷害事件を起こし、村木が更生させた女だった。新しい就職先で、順調に勤めていたはずの霧子に何があったのか。彼女を殺した憎き犯人を追い、村正が闇の世界に戦いを挑む。長篇バイオレンス・アクション。
22歳になる美貌の青年フィオリーナは砂漠の国クシュの王の愛人だったが、次期国王のレイファムと許されない恋に落ちてしまった。王に身を弄ばれる日々に堪え、彼は密かにレイファムと逢引を重ねる。しかし、二人の仲にフィオリーナを慕う少年エリシュアが気づいて…。ひと味もふた味も違うファンタスティック・ロマンス。
英雄色を好む、という。だが、色を好むために英雄をめざす男もいる。信長の妹・お市の方の美貌に魂を奪われた瞬間から、名もなき軽輩の天下取りへの夢は始まった。巧みな弁舌と憎めぬ猿面の陰の冷徹な権謀術数。ライバルを蹴落とし、敵同士を反目させ、はては本能寺の変をも演出した希代の謀略家・秀吉。確固たる歴史眼と人間洞察力をもとに、無類の想像力で描く風太郎版太閤記の魅力。
悪意のない、ほんの不注意から起ってしまった事件。しかも自分が手を下したわけでもなんでもない不可抗力的事故…。きっかけはそんな曖昧な出来事だった。しかしその残り火は、東京周縁部の町や村を炎でおおい尽くしていった。あたかもかつての田園地帯が近代に復讐するかのように…。社会心理の、微妙な、しかし本質的な変化を捉える名手・本岡類が放つ、新感覚ミステリー。
灰の国はいかにして甦ったか。九州高鍋の小藩から養子に入り、十七歳で名門上杉家の藩主の座についた治憲は、自滅か藩政返上かの瀬戸際にある米沢十五万石を再建すべく、冷メシ派を登用し改革に乗り出す。藩主や藩のために領民がいるのではない、との考えのもとに人びとの心に希望の火種をうえつけてゆく…。
重役の反乱を克服し、家臣や領民一人ひとりの共感をかちとりながら、地域と人を活性化してゆく鷹山の経営手腕とリーダーシップのすべて。“最も尊敬する日本人はウエスギ・ヨウザン”と、かつてケネディ大統領が語ったように、「愛と信頼の政治」を貫いた鷹山の不撓不屈、信念の生涯を描く。
死体の額には鋭い角で突かれたような痕があった。衆人環視のなか行なわれた謎の殺人。伝説の一角獣の仕業なのか。フランスの古城を舞台に、稀代の怪盗、警視庁の覆面探偵、HM卿が三つどもえの知恵比べを繰り広げる傑作本格推理。
郷里の先輩東大生を慕って東大受験に上京した美少年・米倉初穂であったが、先輩のマンションでハードセックスを見せつけられて価値観一変、受験などなんのその、大企業会長夫人にデートに誘われ熟女からの個人授業に欣喜雀躍、その楽しさを満喫し尽したかと思ったが、社内抗争・権力闘争の渦中に放り込まれるはめに…。若さあふれる悦楽フルコース志願。