1996年4月発売
京南大学大藤教授邸の新年パーティで惨劇が起きた。殺されたのは、現代の“和泉式部”と称される野川いずみ。同席した“清少納言”藤原彰子、“紫式部”嵯峨紫とともに助教授の椅子を争っていた。さらに同大学の有力教授が密室内で毒殺…。大学の人事をめぐる暗闘が、連続殺人の動機。『枕草子』を手に、キャサリンと浜口一郎の名コンビの、華麗な推理が冴える。
薬師寺小雪は才媛の誉れ高い29歳のピアノ教師。自宅のある神戸のニュータウンで殺人事件が。犯行当時、鳴っていたチャルメラの音色がいつもと違うことに気づいた小雪は…(「哀しきチャルメラ」)。そしてあの大震災。次々と起こる事件に、小雪は持ち前の向こう気の強さと正義感、行動力で立ち向かう。神戸在住の著者が自らの体験も投影させた異色ミステリー。
大学紛争後の荒廃したキャンパスで、英文学科教授ケイト・ファンスラーと地方検事補リード・アマーストの婚約披露パーティーが開かれた。その席上、社会人学部の廃止を強硬に主張していたカドリップ教授が倒れ、エレベータの不可解な事故も手伝って教授は息をひきとった。だが、調査がすすむにつれて、「事故」は次第に殺人の様相を帯びてくる。そして、あらゆる証拠があからさまにケイトの方を指さしている…。プロフェッサー探偵ケイトの人気を決定づけた魅力編。
ハーヴァード大学英文学科初の女性教授ジャネット・マンデルバウムは、危機におちいっていた。泥酔したあげく、大学内の建物にある浴室の中で、見知らぬ女といっしょのところを発見されたのだ。大学院時代、ジャネットと知り合いだったケイト・ファンスラーは、男性社会ハーヴァードにのりこんで調査をはじめる。しかしある日、男子トイレでジャネっトの毒殺死体が発見されて…。作家アマンダ・クロスが名声を確立した代表作。
志津野司の隣人、尾藤兄弟は顔がそっくりでまるでクローン人間。もちろん趣味も同じで、彼らはお隣の司が大好きなのだった。司の母親と尾藤兄弟の父親が親密な関係になり、彼ら三人は義兄弟になった。一つ屋根の下にアブナイ狼が。普段はニブイ司も包丁を握れば炎の料理人。司の貞操は守れるか。
「あ、おにいちゃん」故障したシャトルから宇宙船パーシング号に収容されたカイルの前に現われた少女は、そう呟いた。ハイパースリープから目醒め、失われた記憶が蘇るにつれて少女の想い出も形を成してゆく。魅惑の宇宙船を舞台に、兄・いもうとの禁断の性愛を描く近未来SFロマン・ノベル。
私も、齢八十になって悟ったのだ。生かしたろ、と神サンがいいはる限り、生きてやろう。やりたいことをし、会いたい人にも会う。老いては子に従わない。若い人には合わせない。今日はお習字、英会話、明日は社交ダンスにスイミング。老いてこそ勝手に生きよう、今こそヒト様に気がねなくー。息子たちの心配をよそに、いよいよ元気いっぱいに生きる歌子サンの人気シリーズ最終巻。
相談したいことがある-実家から呼び出されて久々に玄関をくぐると、居間には見たこともない美人が両親の間に坐っていた…。美容整形で変貌した妹を引き鉄に、世界の歯車が少しずつねじれてゆく。鼻に埋め込まれたシリコンは、家族に一体何をしようと企んでいるのか。
ニューオリンズのフェアモント・ホテルの豪華なベッドで、テレビ伝道師ジャクソン・ワイルドが死体で発見された…頭と心臓と睾丸に銃弾が三発。全米をまわり、ポルノ一掃の運動を続ける有名人のショッキングな死に、キャシディ検事補はみずから希望してこの事件を担当する。容疑者の筆頭は、通信販売の下着会社『フレンチ・シルク』のクレア・ローレンツ。オーナーで下着デザイナーの彼女は、自社のカタログがポルノだと名指しで叫弾されつづけ、動機は充分。だが、キャシディは初対面で、彼女の気品ある容姿と神秘的な雰囲気にひかれていく。アメリカで人気爆発の女性作家が描く、ベストセラー・サスペンス。
ミシシッピ川の近くのローズシャロン館。カタログ撮影中のクレアのもとへ、キャシディ検事補が姿をあらわした。黒人ファッション・モデルでカタログの製作者ヤスミンは、不倫の相手ピートリー下院議員とのあいびきで留守。バルコニーでキャシディに抱きしめられたクレアはもう抵抗できなかった。でもなぜ。キャシディは自白させるために自分を誘惑したのでは。悩むクレアに、信者をたきつけたエリエルの攻撃は続く。だがジョシュアはそのエリエルのアリバイをくつがえした。真犯人は誰だ。ヤスミンの衝動的な行動で、ついにクレアは決意する…。90年代のアメリカで最も注目されている女性作家の傑作小説。