1996年7月1日発売
万人が幸せになれる“千年王国”を創るため、奥軽井沢で悪魔召喚の研究を重ねる少年、悪魔くんこと松下一郎。彼のもとに派遣された家庭教師・佐藤は、悪魔くんの策略により、醜い顔を持つヤモリビトの魂に取り憑かれるハメに。東大卒のエリート佐藤は、奇妙な運命の前にとまどうばかりだった。はたして、悪魔くんは、救世主なのか。奇怪な世界に迷いこんだ佐藤の運命は。水木しげる原作の傑作長編のノベライズ。
古美術店「故渓」の女主人、氏家蔦代は茶人だった父から受け継いだ確かな眼と気っぷの良さで、同業者からも一目置かれる存在。男に縁がないわけではないのに、独身を通しているのが周囲の人間にとっては不思議だったが、実は深い訳があった。情けを交わした男には決まった不幸が訪れるーそんな数奇な宿命が蔦代にはつきまとっていたのだ。その始まりは、初恋のあの人だった…。
人は一遍は死ぬけん、怖がることないきにー鰹船に乗り、命を張って富を求めようと少年は水平線を見据える。土佐・中ノ浜の貧家に生まれた彼が歩むことになる破天荒な人生を、このとき誰が予想しただろうか。時化の海での遭難、無人島漂着、捕鯨船による救出、そして異郷アメリカでの生活…時代を越えて記憶され続ける“ジョン万次郎”の壮大なドラマが今、始まろうとしている。
東京郊外に暮らす美術大学の講師、川久保悟郎。その娘でララという名の猫にだけ心を開く孤独な少女、桃子。そして、家庭教師として川久保家にやってきた画家志望の雅代。微妙な緊張を抱きながらもバランスのとれた三人の生活はそれなりに平穏だった。そう、あの日、あの女が現れるまでは…丹念に描かれた心の襞と悲劇的なツイスト、直木賞作家の隠れた名作待望の文庫化。
強大なる経済力のため、多国籍軍の猛攻を受け『永遠に経済力を保持しない』という条文をのまされた日本国の底力を描く表題作。父を五輪のメダリスト、母をノーベル賞受賞の物理学者に持つIQ186の天才青年が凡庸なる日本人を目指す悲喜劇「インドから来た青年」など、抱腹絶倒のパロディカル・コメディーとも痛快無比の知的文系SFとも大絶賛された愉快な愉快なケッサク9編。
米国連邦政府証人保護機関の腕利き、イレイザーは、うら若き美女の生命保護を命じられた。大手軍需企業筆頭重役の彼女は、同社が政府の要請で開発中の新兵器の、他国への密売計画を追うFBIに協力したのだ。たちまた彼女に襲いかかる殺し屋の影。彼らは既にその新兵器、高性能電磁波銃を手にしていた。辛くも敵を倒したイレイザーと美女を、更に恐るべき第二、第三の罠が…。
白亜紀、北米ユタ州。一頭の恐竜が悲しみに沈んでいた。彼女は狩りで、つがったばかりの夫を失ったのだ。高度の知能を持ち、体系だった社会生活を営むラプトルたちは、ひとりでは暮せない。自己の遺伝子を残すために、より良い伴侶を捜さなければ…。恐竜は絶滅しなかった、鳥に姿を変えたのだと主張する著者が、最先端の学説と大胆な想像力で再現する、太古のラブストーリー。
明日のスターを夢見る彼女はバイトで暮らしながらオーディションに通う毎日。ところが今をときめく有名監督の面接をしくじって、エージェントからクビを宣告されてしまった。行き詰まった彼女が飛び込んだのはなんとテレホン・セックス・サービスのオフィス。瞬く間にナンバー1になったはいいけれど、だんだん深みにはまって…夢と現実、奮闘と努力。NY娘のクールなコメディ。
ルームメイトで親友で、そしてそれ以上の存在として俺が思う相手、榊原祐二。その存在感が、希薄になった。浮世離れした容貌の彼が見つめているのは-空だ。苛立ちとも不安とも言い得ない不安感を抱えて俺は、『何か』から彼を奪い取ろうとした。そして、訪れた結果は-。オール書き下ろしで贈る月夜野亮のメルヘンチックなロマンス。
超怖がりなのに、なぜかお化けを引き寄せちゃう体質の拓哉。そんな彼をいつも守ってくれていた、誰よりも強くてカッコイイ凌馬が、三年間の修行を終えてついに帰ってきた。でも二人の入った高校には、拓哉を狙って次々と魑魅魍魎の皆様方が…。満員御霊オカルト・ラブコメディ、書き下ろし番外編を加えてBBNに見参。