1996年7月発売
三重の山林王の一人娘として何不自由なく育った葵は、従兄と結ばれ、二児にも恵まれた。しかし、その幸福な結婚生活も束の間、夫の急逝、両親の相つぐ死、二児の死と次々に不幸に襲われる。失意の底にあった葵が見出したものは、日本の香道の復興という大事業への献身であった…。度重なる不幸から立ち直り香道の復興に一身を献げた女の生涯。
背筋がちょっと寒くなるような美貌と優秀な頭脳のビジネスマン本条玲二は、もちろんナルシスト。そんな彼が弱虫で泣き虫の部下山辺雪彦に、イラつきながらも惹かれていく。でも、受け身の恋愛が得意な二人だから、どこかもどかしくて-。二匹の羊のラヴストーリー、たっぷりの書き下ろし続編が入ってBBNに登場。
大学生の掛川が街で出会った男、橋本は、顔は極上だが性格は最悪。大失恋したばかりの掛川にとっては、罪悪感も感じずに適当に付き合うにはちょうどいい相手だった。すぐに体の関係を持つ二人だが…。人気急上昇中の木原音瀬、書き下ろし最新作でBBNに初登場!!表題作ほか「水のナイフ」を収録。
遠州味方ケ原に住みついた流れ者夫婦に、天啓のごとき子ができた。生まれついての大器量、五、六歳ともなれば独り荒野を駆けて狐や狸を狩る怪童、後の大盗・石川五右衛門である。時は戦国。藤吉郎、家康、信玄らの血なまぐさい天下取りの裏で、野盗の女頭目をも配下におさめ、「人間どもの小賢しさに大砲をぶっ放す」神出鬼没の大暴れ!奔放な想像力と自在な文体で直木賞を受賞した痛快長編。
江戸幕府の頽廃の翳は、日本橋界隈の商人たちの一見平穏な暮らしをも蝕みはじめていた。惨殺死体が真実を暴く『大黒屋』をはじめ、捕物帳の形を借りた六編の物語は、爛熟の気配色濃い風俗の陰に生まれる不気味な犯罪のからくりに鮮やかな推理の光をあてる。仮借ない世相のなかの庶民のせつない生活感と憐れな人情。ミステリーの巨匠が、的確な時代認識をふまえて描いた時代推理小説の傑作。
昭和二十年七月、原爆を運ぶ米重巡洋艦インディアナポリスをグアム-レイテ線上で撃沈するべく待ち受ける海軍伊号五八潜水艦。太平洋戦争における艦艇同士の最後の戦いが開始された。索敵と待ち伏せ、追跡と反攻、そして撃沈。史実に加えられた巧みなフィクション、双方の指揮官・戦闘員の活写、詳細な戦闘描写、意表をつく結末。第一級エンターテインメント。
一匹狼の処刑人・北条貴は、国際刑事警察機構に協力させられることになった。天性の殺し屋であり、S機関のナンバーワン・スイーパー氷見子が、機関の幹部を殺してアメリカに逃亡したのだ。彼女は、アメリカである秘密結社に荷担し、想像を絶する悪夢の計画を進めていた。かつて貴を養成したS機関は、UNPODと手を結んだ!人気シリーズ飛躍の第十弾。
横浜外人墓地で、白昼、銀座のクラブ『久利』のママが殺された。どうやら彼女は、大がかりな贈収賄事件に関わっていたらしい。元警視で、今は気ままなルポライターの雨宮退介が、調査を開始した。とたんに、秘密を握る証人が消されてしまう。野心と欲望がもつれあう中で、退介は殺し屋たちの襲撃にも怯まず、事件の謎に迫る。
無頼学生を自認する加賀田省平は、大学の建物でこの世のものとは思えない光景を目にした。その衝撃が癒えぬ間に、恋人の玲子が怪異な現象に襲われる。叔父から渡された古文書を繙く省平は、彼の先祖が起こした身の毛がよだつような、血の事件を知る。その先祖の血を自身の体内にも感じた。やがて、想像を絶する展開へ…!?人間の恐ろしい「業」を描く。
はなやかに匂う大輪のボタンがしおれるように、三百年続いた「帝国」の寿命がつきた後の中華世界。国土は千々に分裂し、「律令(法律)」は失われ、悪鬼や化生の跳梁を押さえる道士の禁呪も効をなくした、何でもござれの妖しい時代の物語-。新興国家「迂漢」に反旗をひるがえす革命軍の青年首領、乱凌王は、妖異な母、九連玄女の戒めを受け、か弱い少女に変成させられる。そして、運命の糸がもつれるままに、迂漢の後宮におもむく。そこは、黄泉へとつながる怪異な世界だった。命の理はくずれ、生と死の境界が溶解した、トワイライトゾーンそのものだった。
「会いたかったわ、ラリー。すごく会いたかったわ」サマンサは身を床にかがめると、ラリーの股間ですでに45口径マグナムのように堅くなったもの啜った。関係ができて一年たつ前から、事がスタートするとサマンサは大胆な行動をする。それがラリーには気持ちいい。「Mmm…この、この、このやろめ」(『奥様はマジよ』より)サマンサ・スティーブンス、香山リカ、夢野サリー、そして矢吹丈。今なお心に残るあの人たちの知られざる私生活を綴った、ちょっとシュールな短編小説集。書き下ろしカルトガイド付き。
南アフリカ-少女は、悪名高いアパルトヘイトの社会のなかで翻弄されながら育ち、女になり、やがて自分を探す旅に出る…海を越えてみよう…。父親が獄死した今、ひとり残されたローザ・バーガーには、知りたいことがある、それも自分の身体をとおして-バーガーの娘であることの意味。1991年、女性として25年ぶりにノーベル文学賞を受賞した作家の主著。南アでは一時発禁処分を受けたが、今では各国語に翻訳され、20世紀を代表する世界文学の金字塔になった。
「もし今年、あなたが忙しくて一冊しか小説を読めないとしたら、『バーガーの娘』を選ぶべきだ。私はこれまで、文学が人と世界を感動させたのは19世紀までだったと思っていたが、この本は、信じがたいことにそれを覆した」(デイリー・テレグラフ紙)「南アの歴史の描写は人を興奮させ、若くて勇敢な女性のポートレートは心にしみ込む」(ニューヨーカー誌)。ブッカー賞をはじめ、数々の賞に輝くゴーディマの本格的な長編小説をはじめて日本に紹介。
ブローニュの森に住むユダヤ人資産家、フランソワ・ダッソーの屋敷で、滞在客が死体で発見された。現場の三階東塔広間に通ずる扉は固く閉ざされ、鍵はダッソーの書斎の金庫に!さらに一階と二階にはそれぞれ監視の目が…。なんと、奇怪な「三重の密室」が構成されていたのだ!さらに被害者にも隠された謎が…。唯一の手掛かりは、東塔内に残されたナチ親衛隊の折れた短剣のみ…!?現象学を用いて、数々の難事件を解決してきた日本人青年・矢吹駆と、パリ警視庁モガール警視の娘・ナディアが、「三重密室」のトリックと事件の真相解明に挑む!二千数百枚の本格密室推理超大作。
ダッソー邸「三重密室」事件の被害者はナチ戦犯か?容疑がかかる屋敷の主と三人のユダヤ人滞在客は、コフカ絶滅収容所の生存者とその子供と判明。それをもとに事件を追う矢吹駆とナディアは、三十年前のコフカの大量脱走劇の裏で起きた、もう一つの「三重密室」殺人の存在を掴んだ。さらに、二人の前には新たな死者が出現し…。三十年の刻を隔て現われた「三重密室」の謎?二つの密室殺人に底流するドイツ人哲学者・ハルバッハの「死の哲学」の影…。二十世紀の思想史を根底から覆す衝撃の事実とは!ミステリーを世界史と哲学の領域にまで踏み込ませた驚愕の本格傑作推理。
遠い昔、はるか銀河の彼方で…。カーボナイト凍結され、悪の手に落ちたハン・ソロ。その行方を追う我らがルーク・スカイウォーカーは、ランド・カルリシアン、そして宇宙のはみ出し者ダッシュ・レンダーを仲間に加え、ハンを連れ去ったボバ・フェットの宇宙船が潜む星を発見、救出作戦を開始した。一方、悪の秘密結社「ブラック・サン」の首領プリンス・シゾールは、銀河皇帝とダース・ヴェイダーの結びつきを崩し、銀河の覇権を我が物にせんと企む。シゾールが描くヴェイダー失脚への恐るべきシナリオ、それはヴェイダーの息子であるルークの暗殺だった!-映画『帝国の逆襲』と『ジェダイの復讐』の間の空白の一年を埋める正統なる新SWサーガ、ここに登場。
ダース・ヴェイダーVSプリンス・シゾール、火花散る悪の対決!闇の誘惑に惹かれるレイアの運命は!?『帝国の逆襲』と『ジェダイの復讐』の空白を埋める冒険譚。