1996年8月発売
竜泉郷へ足を踏み入れた竜堂四兄弟。茉理の姉という瑤姫に出会い、仙界へと向かう。だが、自分たちのルーツを解き明かそうとする彼らの前に立ちはだかったのは、四人姉妹に牛種。怪獣たちの攻撃に怒った四色の巨竜が空翔ける。「をーっほほほほほ!」の愛と正義の美女戦士・小早川奈津子も期待通り大活躍。
障害を持つわが子と妻との日常、そして夥しい読書。少年の日の記憶、生の途上における人との出会い。「文章を書き、書きなおしつつ、かつて見たものをなぞる過程でしだいに独特なものを作ってゆく」という方法意識の作家「僕」が綴る、表題作等九篇の短篇小説。切迫した震える如き感動、時にユーモアと諧謔をたたえて還暦近づき深まる、大江健三郎の精神の多面的風景。
モリー・ベアポウ。28歳。チェロキー族。アメリカ先住民擁護連盟調査員。ミステリー小説は大好きだけど、仕事で人の“死”に関係したことはなかった。ところが、ある老人ホームで先住民の男性が謎の死をとげ、モリーは調査を頼まれる。チェロキー族がもっともおそれる悪魔レイヴンモッカーの呪いだろうか?それとも殺人なのか?以前つき合っていた保安官助手D・J・ケネディとともに進める調査の果てに見たものは…。
天野水波は、母の再婚がきっかけになってアブナイ義兄と三人暮らし。長兄の祐里、次兄の猛、ふたりとも学園の人気者だが、なぜかふたりそろって水波に夢中になってしまった!いまや水波は貞操の危機を感じながら暮らす毎日。ところがある日、水波に病院から一本の電話が…。それがきっかけで三人の関係が動き始めた。
猫と競馬とともに生きる、ぼくと島田とアキラとよう子。四人の若者による、奇妙な共同生活が始まった。彼らの日常を独特の文体で描いた、芥川賞作家のデビュー作「プレーンソング」と、その続編ともいうべき野間文芸新人賞受賞作の「草の上の朝食」。文学界に新しい風を吹き込む、気鋭の作家の傑作二編。
数年前、偏執的な男チャールズから一方的に思いを寄せられ、命までも狙われた弁護士のサラ・フォーチュン。身も心もぼろぼろに傷ついた彼女を救ったのは、献身的な恋人マルコムだった。しかし、時が経つにつれてサラには、彼の愛がかえって重荷に感じられるようになっていた。そんな時、彼女はノーフォークの海辺の村で遺産問題を処理するように依頼される。地元の有力者パードウ氏が遺した巨額の遺産と奇妙な遺言をめぐって、未亡人と三人の子供が骨肉の争いを繰り広げているという。だが、その村はまた、かつて彼女をつけ狙ったチャールズが妻の後を追って入水自殺を遂げた因縁の土地でもあった。自らの過去を清算すべく、サラは進んで仕事を引き受けるが、そこには忌まわしい記憶をふたたび呼び覚ます、恐るべき事件が待ち受けていた。
ついにローダン一行は建造中の死の衛星に潜入し、六次元爆弾をしかけることに成功した!つぎの目標は宇宙港エクシロット。そこで脱出用の宇宙船をカピンから奪取しようというのだ。おりから宇宙港のあるコプタイト大陸でも、クロキソールをはじめとするツォイトの原住生物が冬眠から目覚めるや、エクシロットへの進撃を開始していた。かくてローダン一行と、ツォイトの野獣たちとの奇妙な共同作戦がはじまったが…。
「入居資格は伝統的家族制度に挑戦する家族であること」友朗が住む地園田団地は、設立者の大富豪の意向で、主夫のいる逆転家族や血縁のない契約家族、同性愛カップルなどが住む実験団地だった。そんな風変わりな場所に今度引越してきたのが小田島博士一家。しかし博士は到着早々何者かに誘拐されてしまった!友朗と団地住人たちは、博士の娘の美宇を助けて真相解明に乗り出すのだが…不思議な街のユーモアミステリ。
若い女性は誰だって白馬の王子さまを夢に見るもの。でもわたし、アンネッタは結婚しているから、もうそんな夢は見ない。結婚した相手の男はニコラ。ホテルの雑用係だけど、家に帰れば暴君と化し、夫婦の営みはまるで暴力沙汰。“愛”なんて少しも感じられなくて、あるのは、ただ動物的な肉体関係のみ。それでも、結婚したというそれだけのことで、いつのまにやら奥様にまつりあげられてしまったわたし。いったい、“結婚”ってなに?“奥様”ってなんなの?わたしだって、おもてで働きたいのに!いまだに古い因習が生活を支配するシチリア島の港町で、真の自由を求めてはばたこうとする少女、アンネッタの心情をみずみずしく描き、ヨーロッパ各地で記録的ベストセラーとなった『ズボンがはきたかったのに』の続篇。
香港の青年実業家としての顔を持つビンセント・青が、何者かに狙撃された。調査を進めるビンセントは香港の大物たちが連続して事故にあっていることを知る。被害者はみな香港華人商工会の発起人で、広州の出身だった。彼らは、九七年香港返還後の経済関係を憂い、英国が手を引いた後も現在の体制を維持するために広州と香港とを一体化し、独立国家にしようと計画していた。しかし、襲ったのは一体誰なのか。
ベーカーズフィールド出身のセス・キャメロンは、恋人も痴呆症の父も、週末の睡眠も犠牲にして、ひたすらサンフランシスコでトップクラスの法律事務所「ミラー&マグラス」で法廷弁護士としての栄誉ある地位を獲得すべく努力を重ねていた。が、事務所のボスは、セスが革新の空気をもたらしたことが気に入らず、上院議員の娘が持ち込んだ勝ち目のない訴訟を押しつけるー。大型新鋭の傑作法廷ミステリー。
欠陥のある秘密兵器X-215Aステルス爆撃機によって4人のトップガンが墜落死したことをひた隠す空軍と連邦政府。彼らはセスの行く手に立ちはだかり、やっとの思いで探しあてた証人たちは次々と口封じのために殺されてしまう。マスコミの報道によって全国的な関心が集まる中で、いよいよセスの運命をかけた公判が開かれるー。現役の全米No.1弁護士の一人が書き上げた迫真の話題作。
天下取りなどいじましき限り、日本中を跳梁し、唐天竺まで駆け抜けようぞ。秀吉、家康らの攻防を笑いとばす大盗石川五右衛門。京の隠れ家に数々の名器を集め、大茶会を催す放胆無類の風流ぶりには、秀吉も驚嘆するばかり。天地に悪業善行の別などあるものかと広言し、個性的な荒くれどもを引き具して戦国の世を傍若無人、痛快に暴れまわった希代の風雲児の一生を、伸びやかな筆で描破した雄編。