1996年発売
南の島ボルボダで、映画のロケ中に起こったグラビアクイーン上月ミミの変死事件。翌朝、祠にある魔神の壺の封印が破られているのが発見される。映画ロケが中止になり島から帰ってからというもの、清純派アイドル水田真澄は人が変わったように艶かしい行動をとるようになる。からめ取られるように真澄の虜になる者たち。やがて、TV局の周りで猟奇的な殺人事件が頻発。七生の元には、魔神を連れ戻すのを手伝って欲しいとボルボダの少女マナが訪ねてきた。
一瞬の内に訪れた不幸。幸せの絶頂から奈落の底へ。清純な約束に結ばれながら悪魔の契約に引き裂かれる若い男女。友情に乾杯する青年たちの行く末は?一人息子に入れ込む母親。邪険にされながら愛にしがみつく適齢期。寒いニューヨークから温暖なサンフランシスコへ移って物語は展開する。感動が新しい。ダニエル・スティールの出世作。
明治時代の終りに東京の下町に生れたるつ子は、あくまできものの着心地にこだわる利かん気の少女。よき相談役の祖母に助けられ、たしなみや人付き合いの心得といった暮らしの中のきまりを、“着る”ということから学んでゆく。現実的で生活に即した祖母の知恵は、関東大震災に遭っていよいよ重みを増す。大正期の女の半生をきものに寄せて描いた自伝的作品。著者最後の長編小説。
スペインの稀覯本狩猟家コルソは、中世に出された奇書の真贋鑑定を持ち込まれるが、その矢先著名な料理本出版社オーナーが売却したデュマの名作『三銃士』第42章の肉筆原稿の調査も依頼される。しかし、その後、オーナーは不可解な自殺を遂げ、コルソも何者かに襲われる。彼は危険を承知で、ポルトガルのシントラ、パリに飛び原稿の調査をすすめるが、周囲で殺人が次々と!「悪魔を呼び出す呪文」-奇書には恐るべき秘密が隠され、それが現実に…。そして、デュマをめぐる謎の組織の存在が…。17世紀の「悪魔の書」、19世紀の『三銃士』、そして現在。時空を超えて絡み合う、謎また謎。
コンスタンスは炭坑を所有する貴族クリフォード卿と結婚した。しかし夫が戦争で下半身不随となり、夫婦間に性の関係がなくなったため、次第に恐ろしい空虚感にさいなまれるようになる。そしてついに、散歩の途中で出会った森番メラーズと偶然に結ばれてしまう。それは肉体から始まった関係だったが、それゆえ真実の愛となったー。現代の愛への強い不信と魂の真の解放を描いた問題作。発禁から46年、最高裁判決から39年。いま甦る20世紀最高の性愛文学。約80ページ分の削除箇所を完全復活。
2028年、6月。いまや国際政治において絶大な権力を誇る国連は、北極海に核兵器を隠匿するシベリア連邦への制裁のため、基地の空爆を行なった。ところが北極の海底には、温室効果をもたらすメタンガスが大量に閉じこめられていたのだ!爆発のエネルギーで大気中に放出されたメタンは、徐々に気温と水温を上昇させてゆく。やがて夏が訪れ、暑さが最高潮に達したとき、北太平洋にかつてない激烈な風が吹きはじめた…。
北太平洋に発生した史上最大のハリケーンは、ハワイ諸島に深刻な打撃を与えたのち、次々に新たな嵐を生み出しながら、北半球全域で猛威をふるっていた。嵐の発生に最適な気候自体を変えないことには、人類の居住域は破壊しつくされてしまう!この危機に際し一人の宇宙飛行士に託された大胆きわまりない作戦とは…?情報ネットワーク網と地球環境問題を背景に、未曾有の災厄に立ち向かう人類を描く近未来サスペンス。
ハーディの若い友人エディ・コクランは、夜の駐車場で拳銃を片手に頭を撃ち抜かれ、横たわっていた。車には書き置きめいたものがあり、警察は自殺との見方を強めていた。だが、その夜彼は妻フラニーから妊娠を告げられていた。前途洋々とし幸福なはずの若い夫がなぜ自殺を?自身中年の危機にあるバーテンダーのハーディは原因調査に乗り出したが…『物的証拠』『十三人目の審判』の主役ハーディの輝かしい初登場作。
奇妙な酒を飲んで意識を失ったアンダーソンは、気がつくと何者かに湖で殺されそうになっていた。彼は危うく難を逃れるが、ふたたび恐怖に襲われる。テレビで自分が殺されたというニュースが報じられていたのだ。いったい何が起きているのか?別人になりすまし調査を進める彼を、やがて正体不明の男が襲撃してきた!新鋭が放つ謎と戦慄のサスペンス小説。
クープはシェヴィに乗って、夜の街を狩りに出ていた。彼は夜盗にして殺人者だった。本屋やギャラリーで、内気で孤独そうな女性を見かけると声をかけた。読書会に来ていたハリエット・ウォナメイカーもそんな女性のひとりで、クープの誘いにのった。女はナイフで腹を切り裂かれ、見るも無残な死体となってごみ収容器に捨てられた。深夜、クープはセーラ・ジャンセンの部屋に忍び込み、宝石を盗んだ。そのときベッドルームで眠る彼女のあられもない姿を覗き見て、火のような恋心を抱いた。彼女は証券業界で働く三十代の魅力的な独身女性で、クープはかつてないほどの性的興奮を感じた。その想いが他の女性への殺人衝働となって彼を駆り立てていった…。
もし、あなたがコンピュータとモデムを持っているとしたら、あなたはすでに、殺人者を自宅に招いてしまっているのかもしれない…。ヴァーバ-コンピュータとモデムを持つものであれば、誰もが接続し参加することのできる、ヴァーチャルな電子会議室。だが、ひとりの殺人者がそこに侵入して、殺しの獲物をさがしているとは、誰も気づきようがなかった。警告・あなたの生命は危険にさらされている。これを読みながらも、あなたは殺人者の手の届くところにいる-そんな殺人メッセージを電子掲示板で見たとき、ほとんどの人はただの悪質ないたずらだと思った。やがて、ヴァーバの利用者たちが次々と異常な方法で殺害されはじめるが、非力な警察は何の手がかりも見つけることができない…。コンピュータ・ネットワーク上を徘徊する、顔のない殺人者の恐怖をあますところなく描き、全米を震撼させたサスペンス話題作。
スコットランドの片田舎でテクノロジーを拒否して、信仰を守りながら暮らす人びとがいた。彼らはラスケンタイアリアンと呼ばれた。癒しの超能力を持つ19歳の少女アイシスはこの教団の次期指導者である。4年ごとの「愛の祝典」が間近にせまったある日、従姉のモーラグから手紙がきた。改宗して教団を離れるという。モーラグを翻意させるため、教団はアイシスをロンドンに派遣することにしたが…テクノロジーの産物である自動車を使うことを禁じられているアイシスは、タイヤチューブの筏に乗って旅に出ることになった。教祖である祖父サルヴァドルの秘密、モーラグの真の生活の秘密、教団創設の秘密、消えた大叔母の秘密、アイシスの超能力の秘密。さまざまな秘密がやがて真実の姿を現わしてくる。
ホームレスの「ヤス」が何者かに鈍器で後頭部を一撃されて殺された、との報らせを受けた警視庁捜査一課の美人刑事・今野真弓は驚愕した。「ヤス」こと野口靖夫は真弓の大学時代の先輩で、その変わり果てた彼と偶然再会したばかりであった。野口はS工機を経営する大金持ちの川田家に婿入りし、将来を約束されたも同然であったが、なぜか一年前に失踪して行方がわからなくなっていた。早速、真弓は夫で泥棒の淳一と共に捜査を開始するが、ホームレスとなって潜入捜査をしていたはずの部下の道田刑事に危険が迫り…。