1996年発売
「パール・ハーバー」の記憶をいやでも呼び覚まされる12月のワシントンDC。はじまりは、ある不幸な交通事故だったー。被害者の母である現職警察官は、加害者の日本人留学生カオリ・オザキへの復讐を誓い、姿を消す。そして、日系FBI特別捜査官タミ・スギムラら警察当局と暗殺者との一大攻防戦の幕が切って落とされた!日米両国の狭間で翻弄される三人の女性の運命は。
激しくセックスに溺れ、こね回されたり、舌を這わせたり、痙攣したりするのが気持ちイイ。愛したり、愛されたりするのは、相手が男でも女でも、SでもMでも心地イイー。真由美は、マレーバクみたいな婚約者よりも、涙が出るほど佐和子に夢中だ。亜紀は、妻子持ちの男に緊縛されながらも、蓮子の愛撫を忘れない。性の快楽を貪る女性たちの姿をリアルに描いたアヴァンポップな恋愛小説集。
友人と会社を共同経営するマール・ケイトンが、出張先のモテルで射殺体となって発見された。警察は自殺と断定。しかし自殺では保険金が支払われない。マールの妻パットに提訴を依頼された弁護士エリクソンは調査の結果、奇妙な点に気づく。これは他殺ではないのか。犯人は?動機は?-元検屍官の著者が豊富な知識と経験を駆使して描く異色ミステリー。全米探偵作家クラブ賞受賞作。
ミルドレッドは27歳の時に飲んだくれの暴力亭主に見切りをつけて、女手ひとつで五人の子供たちを育てている。人に頭を下げるのは大嫌い。気の強さは誰にも負けない。まだ若くてセクシーで、いつか理想の男性に出会いたいと思うけど、今は命より大切な子供たちのために、たとえ盗みだって何だってー。『ため息つかせて』の著者が、パワフルでタフな愛すべきママを描いた自伝的小説。
ロンドンで中華料理店を経営するニューエン・ニョク・ミンは、どう見ても風采の上がらない東洋人。だが最愛の家族を爆弾テロで失うと、彼は心に復讐を誓った。警察、新聞記者、代議士の元へ足を運び続け、遂に犯行の秘密を握る大物政治家にたどり着くと、ヴェトコンの優秀なゲリラ兵だった彼はあらゆる手を尽くして犯人を追い詰める。果して復讐は完遂するのか?著者渾身の代表作。
1955年、17歳のわたしはその後の人生を変える人たちと出会った。憧れの女性に一生を捧げた不思議な老人と親友になり、あるユダヤ人の少女と激しい恋に落ちた。ひと夏の恋は結局実らなかったが、今、38年ぶりに、老人の死がわたしと彼女を再びキャッツキルに引き戻した。二人に与えられた時間はたったの3日ー美しい自然と情熱的なアリアを背景に語られる、大人の恋の物語。
シンシナティのリヴァーフロント・スタジアム、ワールドシリーズ最高の盛り上がりをみせる最終戦九回裏。アレックスは、ずっと願っていたあの瞬間を手に入れたー。永遠に人々の記憶に残る偉大な行為「プレイ」を成し遂げたひとりの大リーガーの妻や息子との関係、友情、セックス、そしてちょっとした悲劇…。彼が生涯求め続けた、いつまでも失われず、色褪せない完璧なブルーとは。
ロンドン郊外の田舎町に暮らすベネット家には年頃の五人姉妹がいた。ある日の舞踏会で長女ジェインは近所に越して来た青年ビングリーと互いに惹かれ合う。一方、次女エリザベスは、資産家の美男ダーシーに出会う。彼の態度は高慢だったがそう見えたのはエリザベスの偏見にすぎぬのか。
匠千暁達が迷い込んだ無人の山荘。家具も内装もないからっぽの室内にあったのは、一台のベッドと、なぜかクローゼットに隠された冷蔵庫の中にある、冷えたビールのロング缶96本とジョッキ13個だけ。誰が何の目的で?匠千暁と仲間達はビールを飲みつづけ、推理に推理を重ねる。果たして真実に辿り着けるか。
小説家の日記には素顔の魅力が覗くと言う。『オレゴン夢十夜』は、一見、日本文学を講ずる為にオレゴン州に滞在した“私”の日記という形を装う。滞在中の瑣事を書き、あらゆる感懐を述べながら、これまでの外国体験が物語られて時に夢とうつつが交錯し、そして幼時、両親、先祖への懐古へと遡ってゆく。小説家、詩人大庭みな子の底深い精神の原風景の幻。
機知とユーモアに富んだ会話が紡ぎだす奇妙な事件の真相は?英国本格推理小説の名匠マイケル・イネスが生みだした滋味あふれる世界。訳者独特の訳文。本邦初訳のアップルビィ警部捜査ファイル6編。
平和な森でののびのびと暮らすセルマ、ロジャー、ジェームス、そしてハリエットの仲よし4兄弟。喧噪の街に残るお母さんが気になって飛んでいってみるとーー。こわされる直前のビルのかげに小さな翼をはやした影。それがジェーン、彼らの小さな妹だったなんて。『空飛び猫』につづいて、おたのしみください。
昼は弁護士として男社会の中で虐げられた女性の人権を擁護し、夜は講釈師として阿部定やモンローの凄絶な女の生涯を語るスーパーレディ・村崎紫子=大神田紫。彼女はシャブ漬けのヘルス嬢ミサを救い、暴力団に純潔を奪われそうな処女達を助けにいくが、敵も侮れない。紫水晶付の拳銃が火を吹くのはいつか。
衝撃のデビュー作「キューポラのある街」をはじめ「私が棄てた女」「青春の門」などの傑作をのこした映画監督・浦山桐郎。23年間で9本しか撮らなかった全作品に、若くして世を去った母と父への追慕の念、ふるさと相生への熱き想いが籠められている。54歳で逝った鬼才の壮絶な生涯を描く、渾身の長篇小説。
「余は諸葛孔明である。現代の魏、アメリカを討つため、我が知恵を貸す」ミッドウェー海戦で大敗北を喫した連合艦隊司令長官・山本五十六は、失意の底で幽鬼のごとき声を聞く。別人のごとく変化した長官は全艦反転を命じ、アメリカ太平洋艦隊を叩く!歴史の熱きロマンを描く究極のシミュレーション戦記。