1996年発売
借財は歳入の八十年分。貧窮の越前大野藩を蘇生させるべく、刀を捨て、天賦の商才と経済感覚を武器に改革する侍、内山七郎右衛門良休。藩直営の特産店「大野屋」の設立、流通革命、価格破壊を施し、蝦夷地への開拓投資など奇策を弄して、藩を復興させた新しい経済武士の生涯を描く。
連日の異常気象、多発する少女誘拐未遂事件…と、不穏な空気が漂う東京都世田谷区。ある日、パソコン売場のモニターに「悪魔の警告」から始まる予告文めいた怪文書が現われた。翌日、若き天才囲碁棋士・牧場智久の対局相手・桃井四段が失踪。さらに、十二歳の少女たちが次々と殺されて。牧場智久&武藤類子コンビの推理やいかに。驚愕の本格推理。
ホームズと警視庁の片山刑事の妹・晴美は、バスに乗っていた。見知らぬ少女が「おいで。降りるわよ」と声をかけると、ホームズがついて行ってしまったから、さあ大変。片山たちの必死の捜査でつきとめた少女は、今度は「ちょっと人を殺すだけ」と言ってナイフを買っていった。表題作のほか、「通信簿」、「殺し屋稼業」、「催眠術」と、ホームズ大活躍の3編を収録。
新聞記者の赤城寛は、陸上自衛隊の一部にクーデターの動きがあるという情報を入手し、密かに調査を開始した。が、どうみてもクーデターは不可能。一方、次期戦闘機F-X選定の裏面工作のネタが転がり込んだ。そうした折り、友人の手島記者が謎の事故死をとげる。赤城は、手島がF-Xとクーデターについて取材を進めていたことを知った。迫真の“平成”シリーズ第6弾。
-時は2010年、巨大財閥蔵石グループ総帥蔵石政章は、ふとしたことから響樹渉・愛兄弟の超能力を目の当たりにする。彼らの血の秘密を手に入れ、その力をあやつれば、世界は我が掌中で踊るやもしれない。罠は仕掛けられた-。つかわされた刺客はルドルフ・南雲。ルドルフVS渉・愛のバトルの果てに、渉のすさまじいエネルギーが炸裂した。抑え切れない怒りの思念が妖獣ドラゴンを現出させ、暗雲をまとって荒れ狂い始めた。読み始めたら止まらない、スクリューコースター・ハイパーノベル。
リキとガイの出会いには…どれほど傷ついても、どんなに傷つけても、手放せない一途な『想い』がある…。人類の英知を極めた人工知能が支配する未来都市-タナグラ。束縛のない暮しを求め夢破れた人間の街-ケレス。そこに生きる若者たちの、重すぎる自尊心探すぎる想いに、魂が悲鳴を上げる時、引き返せない未来が口を開ける…。待望の『間の楔』番外編。
三千年に一度、長き眠りから人間界に蘇生するという伝説の超神。いまその覚醒のときが迫る。この超神を捜し出すべく、獣人界からやってきた天邪鬼。だが一方、超神の目覚め前に抹殺をたくらむ摩界族も、ひそかにこの人間界に潜入してきていた。私立盟神学園中等部の南雲辰夫は、はたして本当の超神なのか。いま妖気をいっぱいに充満させながら、超神をめぐる巨大なバトルが始まる。不可思議なパワーとエロティシズムが激しく噴出する、スーパーSFホラーの大作エンタテインメント第一巻、ここに完成。
悲劇の小国アルバニアの青年作家はなにを見たか。パステルナークのノーベル賞受賞をめぐってクレムリンの神々がまきおこすイデオロギーの嵐。民族の桎梏に破れさる恋。スラブ神話や民間伝承をモチーフに描く自伝的小説。
“秀吉天下取り”の一番槍。秀吉子飼いの桶屋の悴は、己の槍で50万石の大名となり関ケ原では東軍の先鋒を務めて家康にも可愛がられた…。二人の英雄に愛された男の魅力を描く歴史長編。侍になる夢を抱き続け、福島市兵衛の養子に入った桶屋の息子・市松の人生は木下藤吉郎に仕えたことで大きく転回した…世渡りが上手いわけではない。頭の回転が速いわけでもない。ただ、愚直なまでの勇猛さと、誇りの高さと己の腕で、激動の時代を生き抜いたのである。
合戦場の死人から腹当を剥ぎ盗っていた藤吉郎は、火付け・強盗・略奪・人殺し、なんでもやることを条件に、一椀のめしにありつくと同時に、野盗蜂須賀小六の子分となった。そして数日後、蜂須賀小六の弟分で、実は父が歴とした武士で、本名を石川五右衛門宗郷という文吾と知り合った。ここから、尾張中村生まれの流れ者藤吉郎の人生は転変する。やがて織田信長の下、金柑頭の明智光秀とともに、“秀鼠”と渾名された秀吉の出世競争が続き、信長本能寺の憤死、光秀討滅を経て“天下人”となった秀吉の前に引き出されたのは、かつての盟友石川文吾すなわち盗賊五右衛門であった。釜茹の刑に処された男とは…。-“太閤”と、おのれを敬称で呼んだ男、豊臣秀吉の“型破り人生”を描く長編傑作。
サハラ砂漠で純朴に生きていた羊飼いの美少年が、パリでCM映画やマネキンのモデルに仕立てられていく…。移民労働者の現実を背景に、映像文化に翻弄された人間の自己回復を描く、巨匠の最高傑作。