1996年発売
リキとガイの出会いには…どれほど傷ついても、どんなに傷つけても、手放せない一途な『想い』がある…。人類の英知を極めた人工知能が支配する未来都市-タナグラ。束縛のない暮しを求め夢破れた人間の街-ケレス。そこに生きる若者たちの、重すぎる自尊心探すぎる想いに、魂が悲鳴を上げる時、引き返せない未来が口を開ける…。待望の『間の楔』番外編。
三千年に一度、長き眠りから人間界に蘇生するという伝説の超神。いまその覚醒のときが迫る。この超神を捜し出すべく、獣人界からやってきた天邪鬼。だが一方、超神の目覚め前に抹殺をたくらむ摩界族も、ひそかにこの人間界に潜入してきていた。私立盟神学園中等部の南雲辰夫は、はたして本当の超神なのか。いま妖気をいっぱいに充満させながら、超神をめぐる巨大なバトルが始まる。不可思議なパワーとエロティシズムが激しく噴出する、スーパーSFホラーの大作エンタテインメント第一巻、ここに完成。
悲劇の小国アルバニアの青年作家はなにを見たか。パステルナークのノーベル賞受賞をめぐってクレムリンの神々がまきおこすイデオロギーの嵐。民族の桎梏に破れさる恋。スラブ神話や民間伝承をモチーフに描く自伝的小説。
“秀吉天下取り”の一番槍。秀吉子飼いの桶屋の悴は、己の槍で50万石の大名となり関ケ原では東軍の先鋒を務めて家康にも可愛がられた…。二人の英雄に愛された男の魅力を描く歴史長編。侍になる夢を抱き続け、福島市兵衛の養子に入った桶屋の息子・市松の人生は木下藤吉郎に仕えたことで大きく転回した…世渡りが上手いわけではない。頭の回転が速いわけでもない。ただ、愚直なまでの勇猛さと、誇りの高さと己の腕で、激動の時代を生き抜いたのである。
合戦場の死人から腹当を剥ぎ盗っていた藤吉郎は、火付け・強盗・略奪・人殺し、なんでもやることを条件に、一椀のめしにありつくと同時に、野盗蜂須賀小六の子分となった。そして数日後、蜂須賀小六の弟分で、実は父が歴とした武士で、本名を石川五右衛門宗郷という文吾と知り合った。ここから、尾張中村生まれの流れ者藤吉郎の人生は転変する。やがて織田信長の下、金柑頭の明智光秀とともに、“秀鼠”と渾名された秀吉の出世競争が続き、信長本能寺の憤死、光秀討滅を経て“天下人”となった秀吉の前に引き出されたのは、かつての盟友石川文吾すなわち盗賊五右衛門であった。釜茹の刑に処された男とは…。-“太閤”と、おのれを敬称で呼んだ男、豊臣秀吉の“型破り人生”を描く長編傑作。
サハラ砂漠で純朴に生きていた羊飼いの美少年が、パリでCM映画やマネキンのモデルに仕立てられていく…。移民労働者の現実を背景に、映像文化に翻弄された人間の自己回復を描く、巨匠の最高傑作。
OLのマリアンにはピーターという恋人がいる。このままいけば、結婚し、世間なみの幸福な家庭が約束されている。だが、果してそれだけが自分の人生だろうか、マリアンのアイデンティティを求める悩みは深く、彼女は拒食症に…。人生の岐路に立つ若い女性が一度はかならず経験する心の迷いを、女性特有の生理からリアルに描く、フェミニズム文学の先駆けとなった著者の処女作。
雪のコペンハーゲン。イヌイットの血をひき、雪と氷と孤独を愛する女性、スミラ。友人の少年が雪の屋根から転落死する。が、雪が「読める」スミラに残された足跡は告げる、これは事故ではない-。真相を追う彼女にかかる検察の圧力。無言の脅し。そして、スミラが単身乗り込んだ謎の船は、氷に閉ざされたグリーンランドへ…。全く新しいヒロイン像が欧米で爆発的にヒットした、北欧産海洋冒険ミステリー。
2038年。若き天才物理学者アレックスはマイクロ・ブラックホールの生成に取り組んでいた。これが完成すれば画期的なエネルギー源となる。ところが思わぬ事故でブラックホールが地中へ落下、このままでは地球は内部から食いつくされてしまう。人口爆発や深刻な環境汚染などの危機的状況に加え、さらなる致命的な壊滅の危機に直面した“母なる地球”を救うべく、アレックスたち科学者チームは絶望的な戦いに乗り出すが。
ドイツの誇る無敵戦艦が二隻の巡洋艦を従えて出撃したーこの情報は英国海軍を震撼させた。折りしもカナダからは、大船団が英国を目指している。また、米兵二個師団を乗せた二隻の豪華客船も洋上にあった。出撃がこのいずれかを狙ったものであることは明白。強敵を捕捉すべく、英国海軍は全艦船に出動を命令。やがてキャメロン指揮する駆逐艦のレーダーに三つの影が浮かび上がった。巨艦との死闘を描くシリーズの白眉。
全米各地で動機のまったく不明な殺人事件が続発していた。被害者は赤ん坊から老人まで多岐にわたったが、手口は共通していた。そんな時、ミネアポリスに住む大学教授のフィルは、旧友サムの招きで孤島を訪れた。だがそこは、サムが指導者として君臨する教団の島で、彼はやがて驚くべき体験をすることに…カルト教団を題材に、気鋭が放つ衝撃のミステリ。
「私は無実です。真犯人を探し出してほしい」夫殺しの容疑で起訴された美しい女性は、元警官の私立探偵フェイガンに訴えた。情況は彼女に圧倒的に不利。だが高額の報酬、それに警官を免職された汚名をそそぐ証拠が手に入ると知り、彼は引き受ける。しかし、事件は驚くほど奥深かった。サンフランシスコを舞台に、意表をつく展開で描く出色のハードボイルド。
家族の絆に亀裂を入れたあの女が憎い…顔に醜いあざがあるためドリーは人づきあいを嫌い、母亡き後、父と弟の世話に喜びを見出してきた。が、父親が再婚し、すべてが変わってしまった。継母に罰を与えるため、彼女は弟と共に魔術で呪いをかける。直後、継母に恐ろしい災難がふりかかるが、やがてドリーにも無慈悲な運命の刃が。英国推理作家協会賞に五度輝く著者が、異常心理を極限まで追究した傑作サイコ・スリラー。
死ぬ瞬間、人の眼に何が現われるか。そのことに強い興味を抱く非常な美男子の医師ベッカー。彼は顔に傷痕のある男と出会い、妻を殺し眼を潰すよう依頼した。計画は成功するが、ミネアポリス市警のダヴンポート警部補はベッカーに嫌疑をかける。やがて鋭利な凶器で眼を潰された死体が次々と発見されて…狡猾な異常殺人者と一匹狼の刑事の息詰まる対決。骨の髄まで凍る衝撃のサイコ・サスペンス。
十セントの古本の山から、数百ドルの値打ちの本を探しだすーそんな腕利きの“古本掘出し屋”が何者かに殺された。捜査に当たった刑事のクリフは、被害者の蔵書に莫大な価値があることを知る。貧乏だったはずなのに、いったいどこから。さらに、その男が掘出し屋を廃業すると宣言していた事実も判明し…古書に関して博覧強記を誇る刑事が、稀覯本取引に絡む殺人を追う。すべての本好きに捧げるネロ・ウルフ賞受賞作。