1997年10月発売
南米のボリビアはアメリカにコカインを売りさばく麻薬組織に蝕まれていた。潔癖な性格で、一部の兵士の熱い支持を受ける海軍中佐ゲレロは、米国公使フェザーストーンと共に密造業者を取り締まる。ある日、ゲレロの部下がマフィアに殺された。不正な裁判で犯人は無罪となり、言葉に出来ぬ怒りを抱いたゲレロは遂にクーデターを計画する。わずか数百名の兵士達は為政者を葬れるか。
ジェリー・フレッチャーは妄想癖を持つニューヨークのタクシー・ドライヴァー。彼は司法省で働く美人弁護士アリス・サットンに恋焦がれている。「世界には陰謀が渦巻く」と説く彼にアリスはなぜか優しかったのだ。そんなある日、ジェリーは何者かに拉致され、拷問を受ける。何とか逃げ出した彼はアリスを訪れた。はたして彼の妄想は真実なのか?手に汗握るラヴ・サスペンス。
広告代理店で働く美貌の野心家レスリー・スチュアートは、州知事を目指すハンサムなオリバー・ラッセルと出会って、一目で恋に落ちる。選挙キャンペーンを闘うふたりは、やがて愛し合い、結婚を約束する。だが、挙式直前、オリバーは上院議員の娘と電撃結婚してしまう。彼は義父である上院議員の強力なバックアップを得て州知事となり、大統領への段階を昇り始める。一方、裏切られ、捨てられたレスリーは、新聞社の社主をその美貌で籠絡し、オリバーを追い落とすべく、メディア世界に君臨しようとする-。
ついに大統領になったオリバー・ラッセルに対し、レスリー・スチュアートは自社の新聞の第一面に大統領のスキャンダルを次々と書き立てさせる。そんな折り、ホワイトハウスを見学したコロラド州知事の娘が、高級ホテルのスウィートで何者かと過ごし、催淫薬エクスタシーの過剰服用で死亡する。事件の鍵を握る者たちは謎の死を遂げていき、捜査はついに大統領自身にまでおよぶ。オリバーの女癖の悪さとエクスタシー使用を知るレスリーは、大統領の一大スキャンダルとして事件を取材し始める-。
名門音響機器メーカー、エンパイアを襲うリストラの嵐。副社長の独断で進められる管理職の「指名解雇」に、人事部の採用担当課長・木下真平は公然と異を唱える。しかし「事件」はマスコミの知るところとなり、世間の非難を浴びて会社は窮地に…。「終身雇用」とは?「経営者の器」とは?日本企業の本質をえぐる長編経済小説の傑作、待望の単行本化。
舞台は銀行。演目は『一億円詐取の胸騒ぎと空騒ぎ』。練りあげられた台本、完璧な演出、選ばれた役者たちと三拍子そろって、公演は大成功-のはずだった!?100,000,000円を騙し取れ!待望のコン・ゲーム小説。
自儘な性暴力を続ける義父と、見て見ぬふりをする実母に訣別し、16歳で家を出た主人公・静子の凄絶な青春時代。逃避行、東京への出奔、セックス、中絶、旅館の住み込みからスナックのホステスとなり、マンガ家や歌手への夢を抱いて再び上京、レーサー崩れの男との結婚・破局まで、激流のような、辛苦と希望が交錯する日々。
見合い話に苛立ち、後輩の若さがふと眩しい美也子の淡々とした日々に鳴り響く謎の電話。そして一年が過ぎて…「恋愛小説」。同僚に連れていかれた店で飲んだ水割りの不思議な味。ある切ない夜、わたしはその水の秘密を知る…「水に眠る」。人の数だけ、愛があるー様々な愛の形を描く短篇集。
風光明媚な歴史の町バースに住むルンギ一家は、親子三代にわたって探偵事務所を営む“探偵家族”。戦後、裸一貫から事務所をおこした親爺さん、優しいママ、放蕩息子の長男サルヴァトーレ、妻のジーナと事務所を切り回す次男アンジェロ、経理担当の長女ロゼッタ、そしてやんちゃ盛りの二人の孫だって立派なメンバーだ。そんな彼らのもとへ、ある日近所の主婦がやってきて台所の洗剤がいつもの場所とずれているので調べてくれという。雲をつかむような依頼は、やがて思いもよらぬ展開を…。
浪人生の和は東京・神楽坂にある老舗の芸者置屋の一人息子。ひょんなことから、和は無子の源氏名でお座敷に出ることになる。着物を着せられ、化粧をすると美しい芸妓に大変身!「オレって芸者!?」イヤイヤ出ていた和だが、新鮮味があるといって大人気。そんなとき、歌舞伎界の若手人気役者の京之のお座敷から声が掛かる…。
19世紀イギリスが誇る女流作家ジェーン・オースティン待望の新訳。南イングランドを舞台に、普通の女の子がヒロインになるまでー風刺性、喜劇性をあわせもつ、オースティンならではの恋愛世界が広がる。キャサリン・モーランドという十七歳の若い女性を主人公に、前半はファッショナブルな温泉保養地バースを舞台に、後半はグロースターシャーの裕福な地主の家ノーサンガー・アベイに場所を移して、繰り広げられる。バースでは裕福な地主アレン夫妻や新興ブルジョアのソープ一家を中心に、社交場や遊歩道などを舞台に都市小説風の展開を見せ、ノーサンガーでは怪奇小説的要素を加えて、地方地主の古い屋敷を舞台に裕福な地主の生活ぶりを浮かびあがらせるしかけである。
“家族のぬくもりがいつでも感じ合えるような、離れていてもすぐここにいるような存在感がある”そういう親子、夫婦であれたらと願うサキが単身赴任の夫を思い、2人の息子たちと過ごす日々は…。