1997年2月20日発売
孤児院を設立し脚光を浴びる男の愛人問題。工場をつくった男の金銭欲。戦闘で活躍した男の名誉欲。グルメ団体会員の美食ぶり。嫉妬のすえに決闘を申し込む男。彼らの行状を見た隠者が魔王に命じた。「魔王よ、人間から七つの罪を消滅させよ」こうして七罪は消えた。工場は閉鎖され、美貌の女はみすぼらしく、金持ちは貧乏に、世界は一変する。すると人々は叫び始めた。「魔王よ魔王、罪を返してくれ」人々はわかったのだ。傲慢でなければ国王はなく、強欲でなければ文化は発達せず、色欲がなければ女は男の気を引いて子を産むことも忘れ-人間にとって、社会にとってこの罪こそがかけがえのない大事な柱であることが。
二人は隣同士の家で、双子の兄弟のように育った。親の期待どおりの人生を歩んだ男と、親を裏切るように道を外れた男。彼らを結ぶものは、友情と嫉妬と一人の女。そして嵐の晩、一人は海で溺死する。突然の死の理由は?ふたつの家族を結びつける過去の事件とは?神戸、鎌倉、東京を舞台に、見えない糸が繋がってゆく。
「人斬り鍬次郎」「隊中美男五人衆」など隊士の実相を綴った表題作の他、稗田利八翁の聞書、近藤勇の最期を描いた「流山の朝」を収載。菊池寛賞に輝いた幕末維新作品の出発点となった新選組シリーズ完結。
元禄の好景気に浮かれた経済から低成長経済へ、時代の転換を直視し、さまざまな政策や組織の活性化と改革の先例を打ち立て、つぎつぎに成功させていった幕府中興の名将軍吉宗の、目前の困難に果敢に立ち向い、「心の赤字」の克服と、「日本の心」を取り戻していった姿を描く。
「粗大ゴミのように私を放りだそうとしたのはあなたじゃないか」大下は常務に怒りをぶつけた。組織改革によって“社内失業者”と化していた三矢不動産部次長・大下の許に届いた、突然の「解雇通知」。自分を引き抜いた常務に対し、裏切りの気持ちを抱いた大下は、「日本管理職組合」に復職を訴えるが…(表題作より)バブル崩壊後の苛烈な企業の実態を描く、傑作七編。
名アンソロジストとして数々の怪奇小説集を編纂してきた鮎川哲也と、本格ミステリ作家としての作風とは対照的に、熱狂的な怪奇幻想小説のマニアである芦辺拓の二人が、自信を持って選び抜いた幻の怪奇探偵小説傑作集!染色体を改良して食用蛙の巨大化を計る老科学者の、隠された恐るべき企みとは?マッド・サイエンティストテーマの怪作「人喰い蝦蟇」や、戦時中に海の藻屑と消えたはずの妻が、魚の姿になって夜ごと夢枕に現れる鷲尾三郎の名作「魚臭」の他、鮎川哲也自身の珍しい怪獣小説「怪虫」を特別収録。
星のまばたきは、ちまちまと生きる人間を見ての涙だという。他人さまの金を利用する逆ピラミッドに賭けた怨念のヒロイン。愛唱する詩に導かれて理想の男性を追い求めるが、彼女の前に現われたのは…無人のパーティー会場に立ち尽くすララ・キャメロン。世紀の傷害事件の糸を引くのは誰か?はたして神の裁きは。
星のまばたきは、ちまちまと生きる人間を見ての涙だという。他人さまの金を利用する逆ピラミッドに賭けた怨念のヒロイン。愛唱する詩に導かれて理想の男性を追い求めるが、彼女の前に現われたのは…無人のパーティー会場に立ち尽くすララ・キャメロン。世紀の傷害事件の糸を引くのは誰か?はたして神の裁きは。