1997年3月15日発売
ビクトリアの丘に風は吹きすさぶ。香港の中国返還を機に、世界のビッグビジネスの激しい闘いが始まった。アジア衛星、香港第二空港計画…香港マーケットを狙って、思惑が入り乱れる。中国をいかにコントロールするか。日本、アメリカ・イギリスの巨大資本が、香港を舞台に展開する熾烈な市場争奪戦。
思いのままに吹く風のように自由な医者タイガ、大きな愛情で優しくいたわってくれるダイチ。一つを選ぶということは、一つをなくすということ。ふたりのあいだでゆれる杏奈。震災に裂かれた神戸と聖なるヒマラヤを舞台に描く書き下ろし恋愛長編。
ロンドンに今も残る、異様な様式の七つの教会で発生した連続殺人。捜査にあたるホークスムア警視正の前に立ちはだかるのは、十八世紀の建築師ニコラス・ダイアーが仕掛けた「謎」-過去と現在を二つの文体で往復しながら読者を迷路に誘い込み、イギリス読書界を慄然とさせた現代の「言葉の魔術師」ピーター・アクロイドの最高傑作。
敵はヤクザ、政治家、建設会社、狙うは数十億円の巨大利権、そして相棒は…疫病神!?建設コンサルタント・二宮啓之が巻き込まれた「産業廃棄物処理場」をめぐる熾烈なシノギ合い。襲いかかる容赦ない暴力、やがて姿を現す巨悪の構図-小気味よい会話で描く関西風味ハードボイルドの頂点。
夜のロサンジェルスに翼ある男が出現した。男の名はヴォロス。神に反逆して地上に降り、ロック・シンガーを目ざす美貌の天使。彼は望みどおりスーパースターの座をつかみ、その一方で、心優しき中年男や出世欲に燃えるゲイの若者、不思議な力をもつ女などとの絆を深め、人間としての愛と痛みを学んでいく。だが、そんなヴォロスを悪魔と呼ぶ者たちが現われて…現代ファンタジイの旗手が贈る感動のファンタジイ・ロマン。
フランス語教師の優しいハルと八歳の一人娘ケイトリンとともに幸せに暮らしているサマンサには悩みがあった。八年前、浜辺で倒れているところを発見された彼女にはそれ以前の記憶がまったくなかったのだ。私立探偵を雇い、過去の自分の正体を調べつづけているがままならない。やがて、ある事故をきっかけにして、サマンサは過去の記憶を取り戻しかけるが、謎の殺し屋たちが彼女に迫ってきていた…。
若くして図書館の館長を務めるジョーダン・ポティートは、わが身の不運を嘆いた。自分の図書館で殺人事件が起き、その容疑者にされたのだ。被害者は、ジョーダンや彼の母親などの名前を記した奇妙なメモを持っていた。真相を探るため彼は調査を始めるが…複雑な謎と感動的なラストシーン。アガサ賞、マカヴィティ賞の最優秀処女長篇賞を受賞した話題作。
1939年、砂漠で碑文の発掘を続けていたドイツ人考古学者ムラーは、ついにシバの神殿の発見に成功した。第二次世界大戦の勃発を目前にひかえ、折りしもスエズ運河の破壊をたくらんでいたヒトラーは、神殿を破壊工作の拠点とするべく、ムラーをベルリンへ召喚する。一方そのころ、アデン湾に臨む港町ダーレインをねじろにするアメリカ人船長ギャヴィンのもとを、イギリス人の女ルースが訪ねてくる。神殿をさがしもとめて行方不明になった夫を捜すため、協力してくれないかというのだ。かくして砂漠へ向かった彼らの行く手では、世界を揺るがすナチス・ドイツの陰謀が着々と進行していた。
ミックス&マッチ殺人鬼-被害者たちをバラバラに切断し、頭部や四肢を寄せ集めてつなぎ合わせては死体を遺棄することから、こう名づけられた猟奇殺人犯は、実はCIAが旧ソ連からひそかに亡命させ、保護・監視していた元KGBの大佐ジョン・マリクだった。事実の隠蔽を目論むCIAは、警察やFBIにはいっさいの真相を伏せ、内密裡にマリクを捕らえることを決定する。そこで白羽の矢が立てられたのが、亡命前からマリクの性向を熟知している元ベテラン工作員のマイク・カリーだった。CIAの秘密工作を擁護するため偽証罪に問われ、連邦刑務所に服役していたカリーは、かつて自分を裏切ったCIAに複雑な思いを抱きながらもマリク捜索の任に着いた。一方、この動きを察知したFBI側も心理分析官のジャック・マシューズを捜査に当たらせ、徐々に犯人像に迫りつつあった…。かくして、KGB仕込みの殺人、暗殺、拷問のテクニックを駆使して次々と犯行を重ねる恐るべきサイコ・キラーとCIA、FBIの三つ巴の闘いが始まった。
三田麻衣子は、広告代理店「北斗七星」四大卒入社五年目の二十八歳。今期の社内異動で社内最強軍団といわれる大原チームへの所属が決まった。配属早々、ドラゴンビールの経営する青山店オープニングのプロデュースと運営への参画を申し渡された。ドラゴンビールの宣伝に憧れて入社した麻衣子だったが、イベントまでわずか八ヵ月しかない。
冷たい空気の流れるアメリカ、ミネソタ州。ラスベガスのショーガールを夢見るフレディはギャングのレッドの金を盗んだと因縁をつけられ、その代償として愛してもいないサムと結婚させられようとしていた。そこへ20年ぶりにサムの弟ジャックスが舞い戻る。久しぶりに会っても冷たい家族に失望する彼と、絶望のどん底にあるフレディは激しい恋に落ちる。が、嫉妬に狂ったサムが許すはずもなかったー。
戊辰に始まった徳川幕府と薩長連合軍の戦いは、慶喜の意志を受けた榎本武揚が幕府艦隊を率いて脱走し針路を北に取り、北海道国を打ち立てたことで、日本を二つに割る大戦争となった。二度にわたる津軽海戦の結果、太政官軍が勝利を収め、両国は休戦条約を結んだ。分裂の危機を回避した日本に迫る新たなる危機-それは、北の猛獣ロシアの存在だった。1874年6月、樺太で監視につく男たちの目の前にロシアの装甲艦の姿があった。甲板にぎっしりとつまっていた兵はボートに分乗し、ついに上陸を開始した…。樺太からロシアを追い出すために開戦を決意した日本は、総力を結集し、北の海に向かう。対するロシアは、バルト海から最新鋭艦を回航した太平洋艦隊で日本に挑む。ついに、日本の命運を賭した壮絶なる艦隊決戦の幕が開く。
連合艦隊司令部が陸上から指揮をとる異例の事態で発令された作戦第一弾は、空母飛行機隊により米輸送船の強襲であった。ガダルカナル沖での日米の熾烈な攻防戦が始まる。米海軍の新鋭機F6Fの待ち伏せに遭い、緒戦は痛み分けとなった。再度、敵戦闘機を撃破すべく零戦隊が飛び立った直後、山本五十六連合艦隊司令長官に内地帰還の命令が届いた。超大鳳を核とする新機動部隊編制に山本の意見が必要とされたのである。山本は帰国すべく、急遽ラバウルを飛び立った。同じ頃、この緊急電報をキャッチしていた米空母ホーネットでは、山本機を撃墜すべく、80機のグラマンに出撃準備が命じられていた。日米の命運を分ける出来事が起きようとしていた。