1997年6月発売
20歳も年上のカメラマンとの関係に苦悩する都は高校の写真部長。彼女が絶好の被写体と狙いをつけた隆之は、ラグビー部の同性のチームメイトに秘かな恋心を抱いていた。傷つき悩みながら、互いにいたわりあうふたり。やがて、それぞれに決断の時を迎える。愛に悩み、性に惑いながらもひたむきに生きる18歳の、等身大の青春像をみずみずしいタッチで描く長編小説。
聡明で、魅力的な表情の女性だー十七歳の直樹が年上の早苗に抱いた第一印象である。高校生のバイオリニストの直樹は、音楽を愛しながらも、ピアニストの父と同じ道を進むことをためらう。そんなある時、美貌の早苗に出会った。その時から彼の生活に明らかな変化が起きる。高校生の愛と自立、人生の試練を流麗に描く青春小説。
常陸の山里、小生瀬の地へ急派された大藤嘉衛門は、悪い夢を見ているようだった。強烈な血の臭い、人影のない宿場-やがて「サンリン」と呼ばれる場から、老人、赤子にいたる骸三百余が見つかる。一体、この聖なる空間に何がおこったのか…。時は江戸初頭、古文書に数行記されたまま、歴史から葬り去られた事件の“真実”とは。
名探偵シャーロック・ホームズがもうあなたを離さない!!世界初!イラストで探る秘められたその生涯。日本を代表するシャーロッキアンが秘蔵コレクションを初公開。
もう二百年以上も前から、オーウェンズ家の女たちは町で悪いことがあると罪を着せられてきた。苔むした家、女たちが作る不思議な調合薬、不気味な黒猫たち。事故で幼親を失ない、伯母たちにひき取られたサリーとギリアン。学校では友達から“魔法使い”と恐れられ、イジめられ、孤立した二人はいつもこの家の“魔力”から逃れ、自由になりたいと願う。奔放な妹は家を出、慎重な姉は孤独な青春を送り、やがて結婚する。二人の女の子を産み、育てている姉の元に数年ぶりに妹が帰ってくる。しかし彼女の車には男の死体が積まれていた…。
エリート大学生が惨殺された。遺留品は名簿の一部と思える紙切れのみ。被害者は専門学校に通う息子の小学校時代の親友だったと知って、刑事は慄然とする。砂つぶのようにパラパラとして捉えどころのない若者、それを苦々しく感じている父親の世代。この二つの世代の狭間で暗躍する“裏情報社会の住人”。事件を解く鍵は、謎の言葉「羊ゲーム」にあった-。
桜田門外の変から4年ー守旧派に藩政の実権を握られた水戸尊攘派は農民ら千余名を組織し、筑波山に「天狗勢」を挙兵する。しかし幕府軍の追討を受け、行き場を失った彼らは敬慕する徳川慶喜を頼って京都に上ることを決意。攘夷断行を掲げ、信濃、美濃を粛然と進む天狗勢だが、慶喜に見放された彼らは越前に至って非情な最期を迎える。水戸学に発した尊皇攘夷思想の末路を活写した雄編。
1992年冬の東京。元IRAテロリスト、ジャック・モーガンが謎の死を遂げる。それが、全ての序曲だったー。彼を衝き動かし、東京まで導いた白髪の東洋人スパイ『リヴィエラ』とは何者なのか?その秘密を巡り、CIAが、MI5が、MI6が暗闘を繰り広げる!空前のスケール、緻密な構成で国際諜報戦を活写し、絶賛を浴びた傑作。日本推理作家協会賞、日本冒険小説協会大賞受賞。
CIAの『伝書鳩』とともに、父の仇である『リヴィエラ』を追っていたジャック。複雑怪奇な諜報機関の合従連衡。二重・三重スパイの暗躍。躍らされる者たち。味方は、敵は誰か。亡命中国人が持ち出した重要書類とは?ジャック亡き後、全ての鍵を握るピアニストは、万感の思いと、ある意図を込めて演奏会を開く。運命の糸に操られるかのように、人々は東京に集結する。そして…。
機械生命に追われ銀河中心のブラックホールを包む領域に進入した人類の末裔、ビショップ族。その一員トビーは仲間とはぐれ、時空を素材に造られたエスティ空間に迷いこんだ。さまよう彼の前に出現したのはナイジェルと名乗る謎の男。この男こそが人類として初めて機械生命と接触し、以来三万年余も人類を見守ってきたのだ。機械生命に打ち克つ鍵を求め、トビーはナイジェルと共に知識の源「銀河系図書館」に赴くが…。
一方、ビショップ族の長キリーンも、息子トビーの行方を探してエスティ空間を放浪していた。その途上、彼はマンティスと呼ばれる機械生命と遭遇した。マンティスによれば、どうやら機械生命は、キリーンの父を筆頭にした三世代のビショップ族の遺伝子に隠された情報を欲しているらしい。実はその情報こそ機械生命を破滅に導く切札だった…。
弁護士だったわたしはパートナーのロジャーにはめられ、今はしがないセールスマン。その彼の死体がわたしの部屋で見つかり、わたしは逮捕された。そこへ資産家のジーニーが保釈金を出すと言ってきた。かわりに、ロジャーに詐取され所在の知れぬ出資金800万ドルを取り戻すことが条件だ。ロジャー殺しにはこの大金が絡んでいるのかもしれない。わたしは無実を証明するため奔走するが…。
書きかけの原稿が2500枚を越えてもいっこうに収拾がつかず、途方にくれている作家のグラディ・トリップ。彼の長年の編集者でありながら、出版社のリストラでクビ寸前のテリー・クラブツリー。才能はあるがどこかズレてる、創作クラスの生徒ジェイムズ・リアー。三人の神童たちがスラップスティックに繰りひろげる、夜ごとのワイルド・パーティのはてに、一体どんな小説が書きあがるのか?奇才マイケル・シェイボンが、作家をめざすすべての人々に贈る、POPなメタフィクション。