1997年7月発売
何もかも輝いていたあの頃のセピア色した思い出の街。さらば、帰らざる日々。そして青春の坩堝(ゆめ)よ、永遠に。石原裕次郎、渥美清、伊丹十三。若き日のタモリ、往年の寺山修司…。有名人たちが彩る、懐かしのTOKYOセンチメンタル・ジャーニー。こころの印画紙に綴られた初の長編小説!甦る70年代グラフィティ。
持っているスーツは1着、パジャマは40着。現実から逃れ「眠り」の世界を追求する不眠治療医ジョゼフは、謎の中国人骨董商から買った古いジャズレコードにヒントを得、「眠りの装置」を発明する。毎夜パジャマに身を包み、真の眠りを目指した彼が彷徨った夢と現実の世界とは?古今の文学的伝統と教養から広く着想を得、幅広い知識を作品にちりばめて、エスプリとウィットに富んだ独自の文学世界を築いている著者の鮮烈のデビュー作。
英国推理作家協会賞長篇賞候補となった本邦デビュー作。建設計画検査官バーバラは、息子の身の安全とひきかえに係争中の計画の認可をせまる脅迫電話をうけた。そればかりか、実家近くで起きた殺人の容疑までかけられてしまう。二つの事件は、はたして建設計画と関連があるのか?いっぽう、建設側証人の女性心理学者フィデリスもまた、事件に疑惑を抱きはじめていた。二人の女性にかかわる事件は、やがて、ハートの輪郭をなぞるように一つの悲劇へと収斂していくが…愛にたいする悲しいまでの渇望を描く、ミステリという名の人間ドラマ。
犬人間のタクシー運転手が殺された。しかも、口から大量の花を生やした奇妙な状況で。捜査にあたる女刑事シビルは、テレパシーで被害者の最期の意識にアクセスしそこで読み取ったボーダという少女の行方を追いはじめる。だが、それはのちに街を騒がせる「花粉侵入」事件の、ほんの序章でしかなかったー混血種やロボットが闊歩する未来世界を舞台に、英SF界の寵児が特異な感覚で描いた傑作サイケデリック・ノヴェル。
ニューヨークのマンハッタン総合病院で、不審な病気が流行しはじめていた。糖尿病で入院した患者が、強い伝染力をもつ原因不明の感染症により死亡してしまったのだ。ニューヨーク市の監察医ジャック・ステープルトンは、院内感染による肺ペストを疑って、調査を開始する。だが、真相解明もままならないうちに、病気は患者だけでなく病院スタッフにまで広がっていく。しかも、ジャックには恐るべき魔手が迫っていた…。
元捜査官のケイトに、新たな調査の依頼が持ちこまれた。半年ほど前、漁船から二人の乗組員がボートで近くの島に向かったまま行方不明となった事件の真相を探ってくれというのだ。二人は悪天候で島に渡れず、海中に沈んでしまったのか?ケイトは身分を隠して漁船に単身乗りこみ、調査を進める。が、やがて失踪事件の裏に潜む驚くべき秘密が次々と…極寒の海で男たちを相手にケイトがタフぶりを発揮するシリーズ第三作。
時は31世紀初頭、海王星の軌道付近において、宇宙船ゴライアス号は奇妙な漂流物を発見、回収した。だがそれこそ、はるか一千年前、HALの陰謀によって宇宙船ディスカバリー号から放擲された副長フランク・プールその人であった!やがて地球の軌道都市「スター・シティ」に運ばれ、蘇生させられたプールは、驚嘆すべき科学的進歩にとまどいを隠せなかった-手を触れあうだけでたがいに情報を交換する人びと、とてつもない情報量を瞬時に脳から脳に伝達することも可能なブレインキャップ、慣性場を利用した超高速宇宙エレベーター、高さ三万六千キロの摩天楼最上階の庭園で庭師をつとめる恐竜ラプトル…。だが、こうした驚異を満喫する日々にもやがて終わりが訪れた。ゴライアス号船長から、ガニメデへの旅に誘われたのである。かつて木星の名で知られていた世界には、フランク・プール中佐がやり残した仕事が待っているのだ、そしてかつての僚友デイブ・ボーマンも…。
「この世には神も、仏も、ロン・ハバードもいないのか!?」とジョンは天を仰いだ。愛車’64年型マスタングがネヴァダ砂漠でオーバーヒートしてしまったのだ。明日の午前0時までに、ラスベガスのギャングのところまで借金1万3千ドルを返しに行かなければならないというのに。身から出たサビ、八百長カードゲームでこしらえた借りだが、返さないことにはこの身が危ない。マスタングをなだめすかし、ようやくちっぽけな町、シエラにたどりついたが…熱さにさらされた町の住人は、どこかが変だ。鄙には稀な美貌の人妻グレースはいきなりジョンを誘惑し、冷たい飲み物を飲みに入った店では強盗に大事な1万3千ドルを奪われ、そのためにマスタングの修理代も払えず町を出ることすらできない。ギャングとの約束の時間は刻々と近づいてくる。そして、ジョンの運命は際限なく悪い方へ転がり落ちていった。オリヴァー・ストーン監督、ショーン・ペン主演により映画化された、新しいノワール小説。
世界最古とされる切手「ペニー・ブラック」が、郵便博物館から盗まれた。数日後、ミステリ愛好会「猟犬クラブ」の会合では、会員のマイロがジョン・ディクスン・カーの密室講義を読み上げようとしていた。ところが、開かれた『三つの棺』には、盗まれたはずの切手がはさまれていたのだった。窃盗容疑をかけられたマイロが疑いをはらし、ようやく運河に停泊させているナロウボートの自宅に戻ると、船室内には「猟犬クラブ」の会員の死体が置きざりにされていた。南京錠のかかった、まったくの密室状態での殺人事件。エイヴォン・アンド・サマセット警察の警視の座に返り咲いたピーター・ダイヤモンドは、「猟犬クラブ」の推理中毒者たちを相手に、独自の推理で密室トリックに挑んだ-。ミステリの蘊蓄をたっぷりと盛り込み、すべてのミステリ・ファンに捧げる、英国推理作家協会賞シルヴァー・ダガー賞受賞の、シリーズ第4作。