1998年12月15日発売
孤島のハイテク研究所で、少女時代から完全に隔離された生活を送る天才工学博士・真賀田四季。彼女の部屋からウエディング・ドレスをまとい両手両足を切断された死体が現れた。偶然、島を訪れていたN大助教授・犀川創平と女子学生・西之園萌絵が、この不可思議な密室殺人に挑む。新しい形の本格ミステリィ登場。
電話はマリーノからだった。昨晩、農場で火災があり、何万ドルもする馬が二十頭焼け死んだという。バスルームで発見された身元不明の死体の顔には、無数の傷が。自殺か、事故か、放火か?それはスカーペッタを襲う身も凍る惨劇の前触れだった。事件の背後にちらつく脱走犯キャリーの影。検屍官シリーズ最大の危機。
バーニイが経営する「バーネガット書店」でのある日。カウンターのバーニイが目をあげるとハンフリー・ボガートに関する本を差しだしている絶世の美女が立っていた。一目惚れしたバーニイとその美女イローナは、ボガートの話題で意気投合し、その夜から十五夜連続でボガート主演映画を上映する映画館に通うことになった。ポップコーンを分かちあいスクリーンに魅せられるふたり-でも、もちろんバーニイは泥棒稼業を忘れてやいません。キャンドルマスという変な名前の男に依頼されある高級アパートメントに書類鞄を盗みに忍びこみますが…。
第二次大戦中、毛沢東とチャーチルの間で、香港租借期限の百年延長を記した密約書が調印されようとしていた。がだ書類をのせた飛行機が墜落、密約書は行方不明に。時は流れ1993年、密約書の存在を知ったマフィアは、利益を守るために香港返還を阻止せんと書類を探し始める。その企てを阻むため英情報機関の長ファーガスンは元テロリストのショーン・ディロンとともに、密約書が眠るというスコットランドの城にのりこんだ。
不世出の実業家、根津嘉一郎。県会議員時代に同郷甲州政財界の重鎮、若尾逸平から示唆された言葉「株をやるならば、これからは『乗りもの』か『明かり』だ」が彼の関心を実業界へと向けさせた。倒産寸前の東武鉄道再建に乗り出し、強気の経営哲学のもと消極派を押し切って成功に導く。数多くの企業に関わりながら一族経営を排し、利益の社会還元を忘れなかった嘉一郎の波乱の生涯を辿る。書下し評伝小説。
1942年8月15日、日米両国はついに交戦状態に突入した。開戦と同時に、フィリピンのマッカーサーは台湾への戦略爆撃を敢行する。しかし、日本軍の反撃で甚大なる被害を受ける。逆に日本軍は、空母航空隊による比島南部一帯への連続空襲に成功。マッカーサーをコレヒドール島に追いつめた…。開戦から3カ月、キンメル司令長官率いる米太平洋艦隊と連合艦隊の決戦の時が刻一刻と近づいていた。独立作戦行動を許可された猛将ハルゼーが、空母部隊を率いて南洋諸島に布陣した日本軍部隊を引っかき回す作戦に出た。迎え撃つ海軍航空隊と戦火を交えている、その頃、キンメルは小笠原諸島攻略を最優先する決断を下した。
奇しくも開戦一周年を迎えた昭和17年12月8日、ビアク島をめぐる戦いで戦死した吉村真理子中将の葬儀がしめやかに行なわれていた。一方、母艦兵力に甚大なダメージを受けた米太平洋艦隊ではあったが、正規空母エセックス級の就役で息を吹き返しつつあった。翌18年夏、アメリカは“超空の要塞”B-29の完成と共にマリアナ諸島を日本本土空爆の出撃基地にすべく準備を開始する。これに対し日本は、基地化を断固阻止する作戦を企図した。浅井めぐみ中将を新長官に迎えた第一機動艦隊はグアム島を目指し、攻略部隊をふくむ大船団で、沖縄名護湾を出撃していく。日本の新鋭空母群を迎え撃つは、猛将ハルゼー中将率いる高速機動部隊。日米両機動部隊の激突は、どちらに凱歌が上がるのか。
冬の京都で現金輸送車が襲われ、一億円が強奪された。犯人たちは車で逃走、その後一味と思われる男の絞殺死体が発見された。だが初動捜査の遅れから有力な手がかりも得られないまま、事件は膠着状態におちいり、九年の歳月が流れた。焦る捜査本部は数々の未解決事件を手がけたベテラン警部に最後の望みを賭けた。時効成立まで捜査陣に残された時間はあとわずか…。