1998年3月31日発売
情熱の都に散った、悲しいほど美しい毒の花。戦争が終わっても傷を負った人たちの悲しみは癒されない。ナチへの復讐を誓った友の狂気に巻き込まれ、レアは南米アルゼンチンへ。加速度を増すスリル!魂を撃つ、悲しみ。
オックスフォード大学の学寮長の引退を目前に控え、後継者争いが激化するなか、大学にほど近い閑静な住宅街で住人の女性が射殺される事件が起きた。さっそくモース主任警部は捜査を開始するが、被害者が人から恨みを買っていたとはとうてい思えない。糖尿病に悩まされながらも地道な聞き込みを続けるモース。うさんくさい新聞記者、耳の不自由な老婦人、詮索好きな主婦…一癖も二癖もある隣人たちの錯綜する証言から、モースは殺人事件と学寮長選挙との意外な接点を発見する!シリーズ終了との噂に、英米ミステリ界が騒然となった超話題作。
「異星人対策局」の三等事務官補トム・ペアレントは、ある日局長から特別命令を受けた。惑星オプリンキアからのお客様を妻のルーシーと共に接待しろというのだ。この接待いかんでは、いまだ銀河評議会に加盟できない後進惑星の地球にも、道が開けるかも…。気のいいオプリンキア人、狂暴なジャクタル帝国大使、銀河暗殺者ギルドの暗殺師など、さまざまな異星人が持ちこむ難題を見事に解決してゆくトムとルーシーの活躍。
写真家志望のメアリーは恋人に依頼され、ある男にロサンゼルス空港で鞄を渡した。代わりに彼女は重いスーツケースを受け取るが、その直後、渡した鞄が爆発、男は死亡した。爆破犯としてFBIと警察に追われ、スーツケースを奪おうとする二人組の男にも狙われる身となった彼女は、変装してポップアート画家のもとで暮らし始める。が、そこにも追跡者が!現代アート界を背景に描く痛快でスタイリッシュなパルプ・ノワール。
天才的な泥棒ドートマンダーが宝石店から盗んだ品物の中には、大きなルビーの指輪があった。それはアメリカがトルコに返却する秘宝で、宝石店の店主が奪ったものだった。不運にもドートマンダーはFBIと警察から追われる身に。しかも、仕事がしづらくなった彼の仲間たちが、捜査を終わらせるため犯人を探し始めた!『天から降ってきた泥棒』に続く爆笑作。
わたしは普通の私立探偵だ。ときおり、事件に関わる人物が放つオーラが見えたり予知夢を見たりすることを除けば。今回の依頼人は刑事だった。昔の友人が転落死を遂げ、警察は事故として処理したが状況に不審な点が多いので調べてくれという。わたしは殺人事件だと直感して真相を探り始めた。やがて被害者の天空図を調べるとそこには怪しい影が…超心理学と占星術の知識を駆使して調査にあたる女性探偵エリザベス初登場。
すべての発端は、四枚の花弁を持つ薔薇を中央と四隅とに一輪ずつ並べた“五輪の薔薇”の意匠だった。少年ジョンは、母メアリーとの散歩の途中で目にした豪華な四輪馬車を飾る紋章に、なぜか自宅の銀器類と同じその薔薇の意匠がほどこされていることを知る。ほとんど屋敷から出ずに母と二人で暮らすジョンにとっては、そもそも、半幽閉的な自分の生活そのものが謎だった。そして、自分に父親がいないことも。ジョンの問いかけにたいし、かたくなに返答を避けてきたメアリーだったが、ある日、自分たちには邪悪な敵がいて、ジョンの身の安全のために、今こそ重大な選択を迫られているのだと告白する-。出生の秘密、莫大な遺産の行方、幾多の裏切り、そして未解決の殺人事件と、物語文学のあらゆる要素をそなえ、読者を心地好い迷宮へと誘う、波瀾万丈かつ複雑に入り組んだプロット。文豪チャールズ・ディケンズ、ウィルキー・コリンズの作品世界をも凌駕する超弩級の大作が、ついにそのヴェールを脱ぐ。
屍体窃盗団同士の抗争、私設学校での残忍な児童虐待など、さまざまな危難をきりぬけたジョンを待っていたのは、愛する母メアリーの死だった。しかも、貧困の底で死んでいった母の遺した手記から、自分の父と思われる人物が祖父を殺害したかもしれないことを知る。ますます深まっていく謎に懊悩しつつ、ジョンの心に渦巻いていたのは、自分たち母子を陥れた者たちにたいする怒りだった。誰一人信用できる者もないまま、五つの旧家にかかわる莫大な遺産相続と、五輪の薔薇をかたどった五点図形をめぐる謎の解明にむけ、さらなる冒険に身を投じたジョンを、以前にもまして苛酷な試練が待ちうけていた-。立体ジグソーパズルを思わせる、知的で重層的な謎解きに加えて、19世紀ロンドンのアンダーグラウンドの息吹を現代に甦らせる、驚くほどの臨場感。大河小説、ミステリ、教養小説のすべての魅力をはらんだ大作も、いよいよ、呪われた一族の暗鬱たる過去の秘密が明らかにされる、衝撃のクライマックスへ。
物語は2002年のアメリカ。天才的遺伝子学者トム・カーターは、人間の設計図ともいえる遺伝子の内容をすべて解読する画期的装置を発明する。彼は、一人娘ホリーの遺伝子を自らの装置で調べ、まもなく彼女が脳腫瘍を発病して1年の命となることを知る。それが遺伝子情報から得たホリーの運命だった。しかし、カーターは諦められない。あらゆる可能性にしがみつき、娘の命を救おうとする。そして、最後に残された道は、奇蹟の治癒能力を持つイエス・キリストの遺伝子、すなわち「神の遺伝子」の謎を解くことだった-。神の遺伝子の謎が明らかにされるとき、ひとつの真理があらわれる-。最先端科学がもたらす恐怖を描いた傑作冒険ミステリー。
故郷のダムに弟の溺死体が上がった日、姉は下町の病院でひっそりと息を引き取った。戦争の忌まわしい傷跡をさらして生きる弟と必死で生きた姉-著者は、庶民の暮らしの目線で“戦争”を静かに告発している(お稲荷さんの横丁には-千住宿姉弟心中譚)。