1998年4月発売
農業を主たる産業にしている小さな町グッドランズは、深刻な災厄に見舞われていた。もう四年も、まったく雨が降らないのだ。それが尋常の旱魃でないことは、すでに皆が悟っていた…。その若者は、ふらりとやってきた。彼を呼び寄せたのは、若き銀行支店長のカレン。彼女は瀕死の町を救おうと、この得体の知れない男の不思議な能力にすべてを託す。若者の名はトム、職業は雨降らし屋-さっそく雨を降らせにかかったトムは、すぐにこの町の異常さに気づいた。なにか理解できない力が町を覆い、天候を支配しているのだ。雨を寄せつけようとしないのは何ものか?彼は全力を挙げて見えない敵に挑んでゆく。その頃町では、家屋倒壊や放火など次々に不可解な事件が起こり、住民たちの視線は、よそものであるカレンとトムに向けられた…。意表を突くスリリングな展開、度肝を抜くスペクタクルな対決、そしてかつてない異様な興奮が襲うクライマックスへ!期待の新鋭が放つ、超話題作。
何十万年も昔、地球から248光年の彼方、想像を絶する高度な文明によって建造された巨大環状世界-リングワールド。それは、中心に太陽が置かれ、自転することによって重力を得る、地球の三百万倍の面積を持つ居住可能惑星だった。29世紀、二百歳の冒険家ルイス・ウーは、崩壊した文明の上に群居する様々な亜人種と邂逅し、数々の伝説を残していった。23年後、再度リングワールドを訪れたルイスは、太陽面との接触による破局の危機からリングワールドを救い出すことに成功し、新たなる探索に出発した。だが、環状世界の表面上で待ち受けていたのは、大挙して押し寄せてくる吸血鬼軍団と原住民との血みどろの死闘、さらには自らの遺伝子系列を保守することを唯一の行動目的とするプロテクターの暗躍だった。そして、リングワールドへの接触を試みてきた宇宙船が相次いで撃墜された時、プロテクター同士の覇権闘争はついに全住民を巻き込んだ異種族間抗争へと突入していった!ヒューゴー、ネビュラ両賞受賞に輝く不朽の名作『リングワールド』から20年余、リングワールド最大の危機を救うべく、ルイス・ウーが伝説の彼方から再び立ち上がる。
すべては大蔵大臣の失言が発端だった。国会の予算委員会において、蔵相の瑞田が、かねてより経営難が噂されていた日本不動産金融銀行の状態が「極めて危険なレベルに達しつつある」と発言したのだ。議場は騒然とし、記者たちはニュースを社へ報ずべく出口へ殺到する-まさしく、「昭和金融恐慌」の再現だった。日本不動産金融銀行は倒産へと追い込まれ、未曾有の金融パニックが日本全土に波及する。大蔵省は対応策を策定すべく、緊急チームを編成、事態収拾に向けて動きはじめる。その一方で、驚くべき事実が判明する。瑞田が読み上げた答弁書の中身は、何者かの手によって差し替えられていたのだ。となれば、蔵相の問題発言は「失言」などではなく、周到に仕組まれた陰謀だったことになる。いったい誰が、何の目的で-?現実の日本を襲う「危機」を現在進行形でシミュレートする、驚愕の金融経済サスペンス巨篇。
大蔵省銀行局の紀村隆之は、大蔵大臣の失言があった翌日、突然官房長に呼び出され、主計局への異動を言い渡される。異動を隠れ蓑に、「蔵相失言事件」を仕組んだ犯人を調査しろというのだ。しかし、紀村に許された時間はあまりにも少なかった。一両日中には、失言に端を発した金融パニックへの対応案が政府から発表になる。その前に犯人をつきとめ、犯行の目的を明らかにしなければならない。残された証拠から犯人を特定することは無理だと判断した紀村は、反対に動機面から事件を探っていく。だが、これほどの金融パニックを引き起こして、いったい誰が得をするというのか?やがて事件の裏に、謎の人物による経済クーデター計画が浮かび上がるが-膨大な情報と最新の政治・経済理論を駆使して描く、空前の金融経済ミステリ。
平凡な大学生、滝寺治は、軍事マニアの先輩床井謙二に誘われ、硫黄島の自衛隊基地に皿洗いのアルバイトに出向くことにした。好待遇のもと、青春を謳歌する二人であったが、基地周辺では、米軍最新鋭空母「ロナルド・レーガン」や、艦戦機F/A-18「ホーネット」が、何やら不穏な動きを見せていた…。日米安保条約の“新ガイドライン”が想定する『周辺事態』に巻き込まれ、自衛隊の臨時業務支援隊に“志願”させられてしまった治たちの運命は!?最新の軍事情報を駆使した、近未来シミュレーション決定版。